第47話幕間 レイア
私は、自分が本当に嫌になる。
私は無鉄砲な事をしてるつもりはないのに。
出来てるつもりなのに。
いつもシュン君からは、無理するなって、叱られる。
この前も、イノシシに近接攻撃を仕掛けて、楽勝で頭を炎で打ち抜いたのに、怒られた。
けど、最近、シュン君の叱り声すら嬉しく感じてしまっている私がいる。
シュン君は多分私たちの前からは、いなくなると思う。
この恋心も消えないけど、彼には多分届かない。
本当は、もっとやんちゃな性格で、あまり周りを見たり、考えたりする性格じゃなかったのに。
杖を抱えて、にへら と笑っている幼なじみを見ていたら、自分がしっかりしなきゃいけなくなってしまった。
全部、この色キチガイが悪いんだっ!
「ひひゃい、ひひゃい、れにあひゃ」
つい、にやけ続けてるライナの頬っぺたをひっばってしまった。
ロア先輩にこてんぱんにされて、気を失ったシュンくんの世話をかいがいしく焼いているライナを見ると、女の子してるなぁと感じる。
女の子らしい事なんて一つも出来ない私からしたら、ライナが羨ましい。
時々シュンにくっつくから、腹立つけど。
シュン君はすごいと思う。
私達のフォローをしながら、魔物を狩ったり、私達の苦手なところ、得意なところをしっかり分かって訓練をしてくれる。
学校の授業の何重倍の濃い訓練をさせてもらっているのが分かるし、一年で、魔法対戦出場、初優勝なんて、夢みたいだった。
ほんとうに最近は初めてばっかりの事で、楽しくて仕方ない。
けど、最近は、泣く事も多くなってしまった。
ロア先輩に怪我をさせられて、シュン君が担ぎ込まれた時、ライナより泣いていた気がする。
本当なら私は、泣き虫なんだと思う。
けど、泣くのは嫌いだった。
小さい頃に、両親が帰って来なかった時も。
ライナのところにお世話になっていた時も。
私は有名冒険者の娘。
むやみに泣くのはみっともないと思っていた。
顔は笑顔で、いつも、心で泣いていた。
けど、シュンがベッドに寝てる姿を見て、泣いてしまった。
ライナも大泣きしてたけど。
シュン君がいなくなる事が怖かった。
もう、私の半分はシュン君で埋まってる気すらしてる。
けど、私じゃ彼には追い付けない。
絶対足手纏いになる。
彼は、私たちといたら、飛べなくなる。
分かってる。けど諦められない。
「こんなにいろいろ考える性格じゃなかったのにな」
ぼそっと呟き、顔が赤くなる。
ライナが、またシュンのところに行くために部屋を出て行く音がした。
私は、自分の頬っぺたを叩いて、気合いを入れる。
私は、爆炎の女神。
この思いも、恋も、爆発させてやればいい!
砕け散るまで、燃えてやる!
気合いを入れて、シュンの部屋に入ると。
「ライナっ!シュンくんが、シュンくんが消えちゃった!」
と叫んでいた。
いや、ライナ。ライナはあなただから。
私は腹が立つやら、入れた気合いをどこに持って行けばいいのやら、とにかく困惑しながら、ライナをなだめる事を優先する。
けど、シュンくん。
帰って来たら、覚悟しなさい。
私は、貴方の、、、、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます