第19話幕間 兄たち。

「なあ。ちょっといいか」

「なあに?」

隣で寝ている恋人に声をかけるカイル。

「ちょっと相談なんだけどな」

「あら。まだやってなかったの?」

レイアはカイルの顔を撫でながらからかうように微笑む。

「早いなっ!」

「どうせ、いろいろ考えていたんでしょうけど、ゴブリンアサシンがいるとしたら、、当然でしょ」

「まあ、な」

「あの子は、もう私たちの子供と一緒。違う?」

「違わねぇ」

「でしょ?」

カイルは、恋人を引き寄せる。


「王都までついて来てくれると嬉しいんだがなぁ」

「それで、キシュアに頼んで、学校の話なんてしてもらったの?ほんと、不器用と言うか、、」

「うるさい」

「けどね。あの子が冒険者になるか、私たちについてくるか。それを決めるのは、あの子次第。私たちはできるだけ、あの子を見ていてあげましょうよ」

「そうだな」

ぐっと恋人を引き寄せる。

「あら、また?」

「本当の子供を作るのも必要だろ」

「せっかちね」

ベッドの上の二人はゆっくりと、夜を過ごしていた。


「4パーティが行方不明」

調べを終えたキシュアはゆっくりとため息を吐く。

ゴブリンアサシンに暗殺されたと思われるパーティの数だ。


「藪から蛇どころの被害じゃないけどね。これは。相変わらず騎士はプライドだけでなんでもできると思っているみたいだね」

キシュアはあきれた顔をしながら、目の前のメモを見つめる。

「その上で、討伐隊を出そうとか。アーチャーとかいたら、被害は計り知れないですよ」

それだけを言うと、いつもかけている首飾りを引っ張り出す。

「君の事。まだ吹っ切れないみたいだ」

少し笑う。

「シンは強くなったよ。多分、もう冒険者として、活動できるくらいだ。僕たちが彼にして上げれる事はもう少ない。ねぇ。

アリン。もし僕がそっちに行く事があったら、自慢してあげるよ。僕にも、自慢の子供。それとも弟かな。できたんだって」

キラリと月明りを反射するように明るくなるお守り。

「ありがとう。まだ、君の所に行くのはもう少し先にしてみるよ」

キシュアの顔は寂しく、独り言は闇へと消えていくのだった。



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