第15話 行かない行く

「ねえ、拓真さん。」

「何?今忙しいんだけど?」

「何が忙しいのよ。ゲームしているだけじゃないの。」



 まあ、確かにそうだ。俺はゲームをしているだけだ。しかしだ。俺はゲームで生かした知識を使いダンジョン攻略に挑もうとしているのだ。まあ、嘘だが。


「要件はなんだ。」

「あれから、全く配信していないでしょ。だけど、エッジっていう迷惑系配信者殴ったことでチャンネル登録者数今10万人超えているじゃない。」

「うん」

「だけど、あれから何の動画とかあげてないじゃないの。だから、ちょっと登録者数減ってきているのよ。」

「うんうん。」

「だから、配信しよおうよ。」

「え〜」



 俺は、確かにチャンネル登録者数が増え嬉しかった。だがな、目標である1万人を超えて10万人になり、なぜかあまりやる気が起きないんだよ。


 配信しなければ、お金は入らない。登録者は減る。


 わかっているのだが、めんどくさい。


「お願いよ!!私、あんなに褒められたり崇められたり注目を浴びることに喜びを感じてしまったのよ。だから、配信をしてもっとみんなに褒めてもらったりしたいのよ!!おねがいよおおお!!」


 どうやら、リリスは注目を浴びることに快感を得るようになったらしい。

だが、まあ、わからなくはない。いろんな人にチヤホヤされたり英雄呼ばわりされるのは気持ちがいい。


 だけど、普通に期待が大きいのも嫌だ。



「1人でやってこいよ。」

「いやよ。だって、拓真さんがダンジョンマスターなのだからどんな事があってもある程度は何とかなるじゃない。ねえ、ねえ、拓真さん!!行こうよ!!」



 俺の体を揺らし、わがままを言って来る。



 これが、休日に子供に遊ぼうとたかられる気持ちなのだろうかと、ふと思ってしまった。

 まあ、お金を稼げなければならない。そんな状況なのは、違いない。めんどくさいが、俺は重し腰をあげダンジョンに向かうことにしようとした。


「シュポ」


 行こうとした時、一通のメッセージが来た。送り主は、ロリなエリスちゃんだった。

 何だろうと、内容を見てみると。


『スタンピード発生警報しているので、是非援護しに来てください』


 スタンんピードは、大量のモンスターが発生して地上に溢れ返る可能性がある現象だ。

 スタンピードは、数年に一度起こるぐらいなのだが、去年も起きていなかったか?


 もし、ここでエリスちゃんに恩を打っておけば色々と関係が発展してくれるかもしれない。俺は、エリスちゃんの為にダンジョンに行くやる気が出た。

 

「よっし、いくぞ!!」

「ようやく、やる気が出たので。早く行くはよ拓真さん!!」

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