第8話 ダンジョンカード

「ねえ、拓真さん。このダンジョンに入る時に発行される『ダンジョンカード』ってもってるの?私持ってないんですけど?」

「え、何それ?」


  リリスがこの世界について知りたいと言うのでパソコンをしばらく貸してあげることにした。リリスがパソコンで色々と検索して調べているのだが、俺も知らないような情報まで知識を蓄え検索している。


 マジで、ダンジョンカードって何?


「ほら、これ」

「え〜なになに。このカードはダンジョンに入る為に非常に大事なカードです。もし、発行せずにダンジョン内に入ると犯罪になる可能性があります。それと、このカードがなければダンジョン内で獲得したアイテムやドロップアイテムを換金することが出来ません!?」

「ねえ、私思うんですけど、これって持ってなきゃいけないやつじゃないかしら?」

「ああ...そうだ。俺、犯罪者になっちゃうかも....いやいやいや!!だ、大丈夫だ。大丈夫なはずだ!!」


 俺は知らなかった。

 

 それに、最近できたルールらしいから、何とか誤魔化せるはずだ。それに、ダンジョンに入る時とか何の提示とか求められなかったし。


 確かに、事前にダンジョンに行く時に調べておけと思うだろう。しかし、俺は一攫千金の文字しか見えなかったのだ。


 よっし、俺は今からダンジョンカードを急いで発行しよう。


 ダンジョン課サイトから、ログインアカウント作る。リリスは個人情報とかがないが、幸いにもメールアドレスだけで作れる。


 これも、ダンジョンで誰が入って何日くらい出てきていないのか確認する為に導入されたらしいので、個人情報とか証明書が不要。


 二人分のダンジョンカードを5分で作ることが出来た。


 ダンジョンカードはデジタルなので、スマホさえ持っておけばいい。


 ただし、アイテムなどを換金するのは個人情報を入力する必要があるので、俺の分だけ作って紐付けることにした。


 こっちは、1日位かかるらしい。


「ふう、これで大丈夫だろ。」

「ねえ、本当に大丈夫なの?」


 不安そうに、俺の顔を見てくる。


「ああ、これで完全犯罪だ。」


 俺は、安心させるためにダンジョンカードを見せニヤッとした。


「ねえ、私たちなんか悪いことしているような気がするんですけど?」

「ば、バカを言うな。本当に悪いことしている感じがするだろ。」


 俺達は、明日早速ダンジョンに向かうことにした。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る