第6話 スキル

「ねえ、拓真さん。私って、顔バレしたら危ないんですよね。」

「そうだよ。」

「じゃあ、私の動画を投稿するのも危ないっていうことなんじゃ〜」

「ッチ、バレたか。」

「ねえ、バレたかって言った!?私、命の危険しかないんですけど?」


 俺の顔を覗き込み質問をしてくる。

 

 アホだから、騙し切れると思ったのだが、流石に気づくか。


「まあ、大丈夫だろ。テレポートしたって言っても、見ている人は少数だし。それに、もしテレポートしたってわかってもダンジョンマスター(元)だったことなんてバレないよ。ダンジョンは、どんな隠し要素があるのか判明しているのは全体の20%くらいって言われてるんだから、いくらでも誤魔化せるよ。このブレスレットでテレポートしたってことは。」

「じゃあ、私に言ったのは。」

「ああ、少し話を盛った。」

「こにょおおお!!本気にしたじゃない!!私の純情を弄んで!!」

「これは、お前の為でもあるんだ。ネットに投稿する時に、安易にしてはいけないって」


 っと、ネットの怖さを教えてあげた。


「それより、拓真さんは、ダンジョンで何が出来るの?」

「え?剣を振ったり、殴ったり?」

「違うわよ。スキルよ。スキル。人間が弱いから、ダンジョンに来た人限定でスキル与えられるようにしたから、あるでしょ。」

「え、そんなのあるの?知らな...」


 あ、そういえば、ダンジョン行く時にダンジョンサイトでそんなこと書いてあったようなきがする。 


「ちなみに私は、スキル『操る者』で、いろんな魔法を操れるのよ。どう、最強でしょ!!」


 っと、なんか鼻を伸ばして威張っている。


「俺はっと、なあ、これってどうやってスキルを見るんだよ?」

「頭の中でイメージして、自分の情報スキルって」


 そうあやふやな感じで、俺も頭の中で浮かべてみると『ダンジョンマスター』っと出てきた。


「俺がダンジョンマスターか〜」

「本当は、私のだったのに、本当は...」

「お前が、ブレスレット落とすからだろ。それに、こんなヤバいスキル持て余すし、何らかの表紙にバレたらヤバいな。」


少し泣きそうだったのに、急に元気になって煽ってくる。


「あ〜ら〜」


ムカついたので、リリスの鼻をつまんでやった。


「イダダダダ!!」

「ふん。」


俺は、お金にしか目が行かなかった。そのせいで、スキルとか知らなかったので、改めてダンジョンについて調べようと思った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る