第9話【崩壊と怒り】

悪魔A「オラァ!弱い!血を与えるしか能がない種族はよ!」

アリウス「ま...まぁ落ち着けって!ここからが本番だって!」

私はこれ以上力を使うと命に関わるから力を扱うことができないんだ。だから悪魔の攻撃をただ受け続けるしかできない。

アリウス「くっそ!力さえ扱えれば...!」

そのとき舞い続ける光線が私の左肩を貫く。

ピューン...グサッ!!

悪魔A「悪魔族は再生能力が高いから自分ごと貫かせられるんだ!死にそうなお前にとっては都合が悪いよなぁ!だって血を失えば寿命は縮まるからな!」

悪魔C「手応えきたああああ!キモチェー!」

アリウス「気持ち悪っ!!」

私はまず光線を放ち続ける悪魔に攻撃しようとする。しかし

悪魔A「おっと!そっちはダメだな!」

バゴーン!!

アリウス「グハァ!?」

私は悪魔の蹴りによって大きく吹き飛ばされてしまった。私は力を少しでも使うと死ぬ。だから血に頼ることはできないんだ。だから弱体化した状態で勝つしかない。でも

悪魔C「あれ?倒れてるな!なら光線をまとめて撃つか!」

シュウウウウウウウウウウウン...バーン!!

巨大光線が私に向かって放たれる。私はそれを転がって回避した。しかし

悪魔A「地面に寝るお前は首を蹴り潰されろ!」

悪魔が私の首に向かってかかと落としをしようとする。しかし

アリウス「ああああああ!負けられないんだあああああああああ!」

バゴーン!!!



...使ってしまった。いや、正確には、使わざるを得なかった。

悪魔A「あ...あ...」

アリウス「あ...しまった...」

私は手から放たれた黄色の閃光で悪魔を貫いてしまった。そしてそのとき、私の身体に異変が起こる。

ドクン...

アリウス「うっ!?苦しい!」

私は呼吸ができなくなってしまった。そして視界がぼやけていく中で、私に向かって光線を放とうとする悪魔が見える。

ーああ...私、死ぬんだー

そう思ったとき、

「やめろおおおおお!」

ドガーン!!!ザシュッ!!!


アリウス「...え?」

私は驚いた。だって、その光線が貫いていたのは私じゃなくて...カイだったのだから

カイ「俺は...どうせ死ぬ運命だ...だったらアリウス...君が生きるんだ...」

私は動かない身体を奮い立たせ、無理やり立ち上がる。私の前には、血を滴らせるカイ。これは絶望的かと思われたが

カイ「でも...ただで死ぬのは面白くないよね」

なんと貫かれたカイの腹の傷口が光る。そして

カイ「カウンターだ。せめてお前は消えろ」

ビュゥゥゥゥゥゥン!!!

悪魔C「あああああああああ!?嘘だああああああああああ!」

なんと悪魔がカイのカウンターによって木っ端微塵となったのだ!そして残った悪魔は2人。カイは意識が朦朧としている。これはまずい。私が絶望したとき、上から嫌な気配がした。

悪魔B「俺の存在を忘れられたら困るね。さあ村ごと破滅しろ」

なんと上空を舞う悪魔が紫色の超巨大魔弾を放ったのだ。それは村、いや周囲の山すらも破壊するほどの火力だろう。私はそれを防ぎきれずに、魔弾に押しつぶされる。

ーあああああああああ!!ー

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

アリウス「うわあああああああああああ!?」

カイ「うおおおおおおおおおおおおおお!!」



魔弾が放たれてどれほどが経っただろうか。辺りは焼け野原となっている。そしてそこには肉体が散らばった村の人々達がたくさん転がっていた。

アリウス「あ...あ...みんな...」

私は下を見る。するとそこには見たことのある服の切れ端が落ちていた。爆風で舞って、ちょうど落ちてきたのだろうか。私はそれを見て誰のものかすぐに察する。

アリウス「カ...カイ...ああああああああ!!」

しかし不可解な点があった。なんで私だけ生き残っているのか、周りを見てみると何か光っている痕跡らしきものがあった。おそらくシールドだろう。カイが私を守ってくれたけどカイは助からなかった...

私は自分が情けなさすぎて崩れ落ちた。しかしそこに悪魔が現れる。

悪魔B「まだ生きていたのか。往生際の悪い女だ。とりあえず死ね」

こいつはクズだ。関係ない村の人々まで巻き込んで、しかも私を救った仲間まで殺した。そんなやつ、許せるわけがない!!

アリウス「貴様...私を怒らせて生きてられると思ってんのか?」

ジャギィィィィィィン!!!!ブワァァァァァァァァァ!!

悪魔B「な...!?」

私は怒りのあまり手から閃光を大量に放ち、熱で悪魔の肉体を焼いていた。

アリウス「おい。なんか言ってみろよ。村の人々を殺したこと、私の仲間達を殺したこと...命をもって償えよ...!」

私は血涙を流していた。怒りのあまり、私は悪魔の肉体が消えるまで殴り続けた。力を使えば寿命が縮まるなんて知ったことじゃない。けど今の私には...そんな足枷は存在しない。

だって、怒りのあまり種族の限界を超えてしまったんだから...

アリウス「償えよ!おい!クソが!命を返せよ!」

悪魔B「ガハ!グフッ!ゴハァァァ!!」

悪魔B(バカな...この無限に強くなり続ける力...まさか...伝説の...!)

アリウス「血だけ吐いて何も言わねえのか!おい!もういい!死ね!」

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!

悪魔B「クソがああああああああああ!」

アリウス「返しやがれええええええええ!」

パリィィィィィン...



終わった...この村の悲劇と引き換えに悪魔を消した...でも失うものが大きすぎた...私は力を得た。おそらくもう悪魔に血をあげる種族としての器じゃなくなった。でもそんなことより村の人々とカイを失ったのが何よりも辛いんだ。そんなことを考え、泣いている私のもとに誰かが声をかけてきた...

「おい。泣いてんじゃねえ。戦いは終わってないぞ」

アリウス「...え?」

次回に続く!

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