第7話【初めての涙】
カイ「アリウスが俺を守る代わりに俺がアリウスの血に関する問題を解決する。これが俺たちの同盟だ。といっても同盟関係というよりは仲間って感じがするけどな」
アリウス「...何言ってるんだ。私のこの忌々しい血の問題を解決...?無理だろ!」
アリウスは叫ぶ。その血はアリウスに力を与え、アリウスの寿命を縮めていく。そんな諸刃の剣である血をアリウスは失うわけにもいかない。なぜならその血があるおかげで村の治安を守れているのだから。
アリウス「この血は人々を救い、私を傷つけてきた!この血の力を使い始めてもう2年以上が立ってるんだ!もう私の寿命は...3か月あるかないかだ...そして力を使えば使うほど寿命は縮む!だから私はもう...」
一週間も生きられない。そんな言葉が木霊したとき、急に雷が落ちる。
アリウス「あ...雷...ははは...もう時間がなかったのか...」
カイ「どういう...ことなんだ?」
カイは驚く。だって雷が落ちることとアリウスの寿命、関係性はないはずだからだ。
アリウス「分かるんだよ。今、雷が落ちたとき私の目の前に一瞬だけ光が舞った。この光は私の命の最後の灯火。そして時間が無くなっていくたびに雷の頻度は増える。明日は...どれぐらい落ちるのかな...」
カイ「バカ野郎!その問題を今解決してやるって言ってんだ!お前にとって最高の結果をもたらすためにh」
アリウス「無理だよ。無理。だってこの力は...この血は力の源であって寿命の象徴だ。それを消したら力を失うことはもちろん、最悪死ぬ。だったら最後まで村に貢献して死んだ方がマシだ」
アリウスという少女は、悪いやつに見えて優しいやつだ。いつも村のために自分の命を削って戦っていた。そして最後まで村のために戦おうとしている。
しかし俺がそう思っているとカイはアリウスの前に立ち、アリウスに言い放つ。
カイ「なあアリウス。俺は最近研究をして見つけたんだよ。お前にとって都合が良すぎる細胞っていうのをな。簡単に言うと、身体の機能を維持する細胞っていうのをだ。そしてそれがあれば短命というハンデも乗り越えられる。実際、それがあれば最近亡くなった家族も生きられた」
アリウスはそれを聞いて、目に光が宿る。
アリウス「それは...本当なのか...?私は力をたくさん使えるのか...?」
俺が出る幕ではないと思っていたのだが、タイミングが良かったから出ることにした。
セブン「なあアリウス。それがあれば俺の提案もよりうまくいく。俺は最期ぐらいは愛されるようにと居場所を与えてやろうとしたんだが、今のカイの提案のおかげで俺が本当にお前としたかったことができる。そしてそこにはお前の居場所がある」
アリウス「長く生きられる...居場所がある...」
この2つはアリウスが本当に望んでいたものだった。
生まれたときから孤独で、忌み嫌われて、そして短命で、こんな苦しみから解放されるのだ。そしてカイは言う。
カイ「俺の提案とセブンの提案。どちらも受けてみないか?それならアリウスには最高の景色が見られるはずだ」
セブン「なあアリウス。俺たちと一緒に...頑張ってみようぜ?」
その言葉を聞いたとき、アリウスの目から涙が零れ落ちる。
アリウス「あ...あれ?なんで...今まで泣いたことなんか...」
アリウスは生まれたときから涙を流すことはなかった。当たり前の日常、それが嫌われることだったのだから。しかし心の奥底では幸せに暮らしたいと思っていたはずだ。そんなアリウスは今、新たな人生への一歩へと踏み出せるチャンスを得たのだ。
そうしてアリウスは...俺らの提案を受けることにするのだった...
次回に続く!
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