最後の精戦 サトル編〜大人の世界はサトルオークの股の下

 カエデとは最終的にセフレなのか?

 いや、そんな事は無い。

 子供が生まれて俺も育てた。

 偶然、カエデとカエデと俺の娘の睦月と一緒に買い物に行った事がある。

 その帰り道、踏切の所でカエデが急に泣き出した。

『どうしたカエデ?』『お母さん、どしたの?』

 

『ごめんね睦月…でも…手を繋いで…サトルと…睦月と…三人で…こんな日が…うわぁ…うぅ…グズ…』


 最初泣いた時は、何でこんな人生に…とか思われたら俺のせいだから、踏切に子供と俺と三人で飛び込むとかやる前に謝ろうと思ったが、どうやら感動して泣いたらしい。

 説明を求めたがメイプルが見たカエデの過去の選択がどうしたとか言い出したから、おかしくなった時のカエデは子供の教育に良くないと思って『分かってるよ』って言った。


 過去の自分を思い出す。いろんな裏切りやクソみたいな事をお互いにしたが、俺は乗り越えた。

 それを肥やしにして、今はそれ以上にヤバい奴を妻にしている。

 まぁ、本人が幸せなら、良いんだ。まぁ良しとしよう。





 だが…そうだ、俺は結局ヤバい奴を妻にした。

 浮気しなければ何やっても良いってもんじゃない。

 いざとなったらキレて離れられるものでも無い。


 セツコ…一般人には到底及ばない武術の達人

 セツコ…外見はハタチ前後にしか見えない美人

 セツコ…年齢だけ重ねた思春期恋愛モンスター

 セツコ…過剰に人の行動を制限するメンヘラー

 セツコ…自己肯定が低く、強く言えない小心者

 セツコ…奇跡に奇跡を重ねて遭遇した性欲化物

 木山 雪虎…俺の妻、嫁、奥さん、伴侶…


 先程までカエデへの恨み節を爆発させていたが、アイツに関してパラメーターが偏っているというか、本当に頭が悪いけど努力すると凄いとか、危機管理能力が無いけど人に好かれるとか、まぁとにかく色々あった。

 でも、それでも、一緒に歩んできた人、だから道を見つけた時、才能のままに走って欲しかった、飛んでくれて良かったんだよ、より速く、更に高く。


 だが、セツコにはそれが無いんだよな。

 何があるんだろう?


 ヒントは近くにあった。

 卒業してから今まで、よくタツの事が好きなんじゃないか?と言われたが、そんな理由無い。

 アイツの奇行はヒロに同情する程だ。

 

 それでも、認める部分が沢山ある。

 何でだろうと思った時、セツコさんと出会って分かった。


 芯の様な、軸の何か、誰にも理解できない何か。

 それは誰にでもある、それは人格や思考も同然。

 多分、俺も、タツも…その大切な何かを押し通す事がとても困難で、言い方を変えれば不運な訳で。


 それでも諦めなかった、ずっと持っていた大切な何か諦めず、捨てず、生きてきた。

 小さい時から大きく育てていく、大樹の様に。


 多分…〝我〟みたいなもの、言葉に出来ないもの

 タツはセツコと違い小さい所から、何かをコツコツと育てていった。

 それがとても強く誰にも譲らず、大切なものを育てて来た同い年の女、好きになれるわけ無い。

 普通は皆、多かれ少なかれ自分を犠牲に、妥協して生きていくのにな。


 何故ならアイツは多分、ヒロだ。恋愛に生きたんだ。

 だったら応援したい、ヒロと言う大切なものを諦めず進んで欲しい。


 そして俺も…未だに〝我〟を諦めてなかったから、何か自分だけのものがあるんじゃないかって思っていたのが笑ってしまう。

 この年…もう初老か?こんなになって、それでもそれが、今の俺に繋がる。

 

 それはカエデも、ヒロも、ネトも、デリの皆も、多分同じだ。

 だから応援する、間違えていても、俺に出来る事を。


 しかし、セツコは違った、違ったんだ。

 大切なものを失った獣。巨大で歪な森林。

 何だか分からない、Unknownとでも言うのか?

 とても大きな感情や力が、芯を失い、行き場失った、哀れな獣みたいな何か。

 いつも疑い、何かあると泣き叫び、興奮して壁に全力でぶち当たり、血塗れで暴れる。


 優しくするだけじゃ駄目、厳しくするだけじゃ駄目、何やっても駄目、答えがない、だから皆、居なくなる。

 なのに…それなのに、人に何か期待してその巨大なエネルギーで突っ込んでくる。

 泣いて叫んで狂って暴れて、まさに不条理の極み

 それを真横でやる、近くでやる、決して離れないで行う

 俺の思考を、我を奪う、奪うのに、学ばない


 それが俺の…最後に愛して、最後まで愛する妻だ。


 それを知人に言うと、奥さん、メンヘラだよそれ(笑)と笑いながら言われた。

 

 思い出せ、あの日々を…


―何で怒ってるの?―

 怒ってねぇって言ってんだろ?まぁコレはよくある事


―そうやってすぐ他人優しくして、浮気じゃない?私浮気が嫌いなの…知ってるでしょ?― 

 新人さんが入ってきた時でもコレだ


――ヤダッ♥サトル君ってどこでもエッチしたいんだね?―

 だから仕事中の給湯室で、手が当たっただけで大きい声で喋るのをやめれ


―今、私の前で私以外の人とキスしたでしょ?私、そういうの嫌いだな―

 職場のおばちゃんから食いかけの煎餅貰った時だな


―私に仕事中ウンチ漏らせって言ったのサトルくんでしょッ!!―

 そんなこと一言も言ってないのに仕事中によくも大声でまぁ…


―子宮を見せれば浮気してないって証明出来るからっ!―

 証明出来ないし、どうやるんだよと思ったら俺のローン中のスマホを…


―私、サトル君の一番でしょ?それ、口に出さないと分からないから―

 二人の時に百万回ぐらい言っても納得しねぇからアレを口に出したら百万回ぐらいしろと言われ…


―そうやっていつも心のこもって無い抱きしめ方アアアアアアア!!!―


 色々思い出す、色々思い出せ、色々…うるせぇないつも

 出会ってから、付き合って…本当は付き合っていると言う認識は無かったが…結婚して…そして。


 サトルオークとは男のやるせない怒り、股間が中の下だから浮気されたんだなと思い込む様な男の怒り…いや、それは俺、個人の怒り。


「やってやるぁっ!やってやるぞ!!」


 俺は肩からかけている精力剤を全部飲んだ。

 精力剤と言ってもただの精力剤じゃない。

 パンちゃん特製の【右肩上がり悟昇り】と言う謎の薬だ。

 していくたび、出していく度に大きくなり3回目でピークを迎える。


「セツコとする前に…強欲な罪深き者を差し出せいっ!」


『なんでぇッ!?次は私って言ったのに…んっ!?散華!?やめなさい!』

『スーパーヒーローサトルさん、マジヤバい!それを守る婆ちゃんはどんくらい強いかな?』

『孫とおじいちゃんなんてプレイは看過出来ません!引きなさい!散華!』

『私は無太郎一筋だし?サトルさんはリスペクトだよ(笑)』


 何かギャーギャー煩いが、俺はカエデのおかげでブチギレモードだ。

 二人の嬢には犠牲になってもらおう…


「さぁ我が世界へ!いざハメぃ!」


『ギャアアアッッ!!嫌だああああ!!アガッ!?オゴッ【ゴプッ】ぐぼっ……………』


 いきなり男の娘か…もうちょっと楽しみたい嬢が来ると思ったが、それも一興。

 きっと同人モノみたいにキレイな男の娘なんだろうな。

 俺は乱雑にする、所詮生贄、逝ければ良い。


「よっしゃ!一発目!さぁ次の生贄はだれかな!?」


『ミヨ…お前…良いのか!?』

『たっぴ…ごめんなさい…私はもう…どんな罰を受けても足りない…自分が許せない…情けない…騙されて…皆幸せになった気になって自分だけ…それも結局…本当に…ごめんなさい…』


 おや?ストーリー上、龍博を巻き込んだイメージプレイかな?良いね。


「龍博…お前は俺と違っていつか許すかも知れない…だから恩情を与えてやる。そしてこの女には罰を…カエデぇ゙!!暴風ルドラをもていっ!」


 そう、ルドラ。愛する者しか受け入れない暴風の様な愛、そしてもし心変わりがあった時、それは絶対に許されない枷となる。

 俺に興味ない嬢が喰らえばどうなるか?

 つまりはサトルオークに壊される事になる。


 と、格好良く言ってみたものの、ルドラはパンちゃんの会社のライバル会社の商品なので用意出来るわけ無い。しかも今は違法、つまり言ってみただけ。


「パンちゃん!今の俺のボルテージは!?」

『大体子供用のカラーバトぐらいダヨ♥』


 子供用のカラーバットだと大分ヤバいな。

 基本、右肩上がり悟昇りの二段階目は、七人の嬢以外は受け入れられないからな。

 ちなみに三段階目はバットぐらいになるのでセツコとガブ以外は受け入れられない、最早ただの暴力に近い。


「よっしゃぁ!後ろの穴!行くどーっ!」


 二段階目で嬢とは言え、流石に赤ちゃんの部屋がおかしくなったら可哀想だからね。


『さよなら…たっぴ…でも…たっぴの事…ごめんね…本当に…ごめ…ぎっ!?んぎゃあああアァアァアァアァアァあ!?!!!!』


 凄い叫び声だ。俺も何か悪い事してる気になって来たからささっと終わらせた。

 新人の嬢にはしっかり教育して頂きたいと思ったが、そもそもこんな棒前提で来ないか…あ、出そう


『いだいっ!こわれっ!じぬ!ゴッ!?ガボ!?グッ!ゲボボボボ…』

『ミヨっ!?ミヨオオオオオオオオオオ!!!』


 投げ捨てる様に嬢を外す。そしていよいよ三段階…滾ってきたゼ。確かにボンヤリ見えるシルエットが野球バットだ。


 ガブちゃんが一度コンディションが悪く一度この状態で『アシ デ スル』というので任せてみたら、枝に止まる本物の鷹みたいになったから鳥のポーズ取らせて自撮りして、会社で見せたら問題になったな。

 小山さんが『本部長は…そう、人殺し棒ですね(汗)』とか韻踏んできたからウケると思って笑ってたらウケてたのは俺だけだったとかあったな。


 さて、セツコは…


『散華!引きなさい!おじいちゃんと孫は駄目だと何度言ったら…!!』

『うおおお!?婆ちゃんつえぇぇ!?無太郎モードでも無理だ!ヤバヤバ!!あ!?サトルさん終わったよ!早く行ってあげて!』

『え!?』


 来たよ…やってくれたよ…散華ちゃんはマジで俺のアイドル。

 勿論アイドルだからエロい事なんて一切考えない。 

 気が利く、優しくて何やっても引かない、ヨイショが上手い、一人の恋人…無太郎を愛する乙女、いや、素晴らしい若者だ。

 気が利くからついつい専属ハイヤーのドライバーにしちゃうぐらい、恋人の無太郎ごと会社で引き取っちゃうぐらい仕事出来る若者。

 何でタツから生まれたのか、よくわからないぐらい出来る。

 つまり散華ちゃんから与えられたパス、スチュエーションは…


「セツコオオオオオオッッッ!!お前、俺の事忘れて遊んでたな!?この淫売がああああ!!」


 キレればキレる程滾るこの俺の棒。

 

『違う!コレは違うの!?お願い!聞いて!話を聞いて!?』


「男勃ちを放置して友達と遊ぶのは浮気同然!散華ちゃんも同意見!?」

『え?あ、はい!そう思いまーす!』


 メンヘラ…造語だが的を得ている。

 メンヘラの良い所は、例えば喉では人間は生物的に逝かないと思うが、メンヘラは可能にする。

 精神状態が悪いと言うか、脳内変換が並外れている…と言うかイカれているからだ。


 人間的に枠を外れた人、メンヘラ、それが…セツコ。

 その攻略はマウントを取られない事だ。

 コイツラはすぐ、マウントを取ろうとしてくる。

 思い通りにいかないとキレる。

 そしてコチラを肉奴隷みたいなメンタルにしたら飽きる。

 少しは我慢しろ。


 だから相手の土俵に上がって、投げ飛ばす。

 しかし、誰だってそんな生活続けば嫌になる。

 だが俺は…


『違うの!コレは!「やかましいっ!言い訳はきかん!死ねえええええええあ!!!」


 妻に死ねと言う夫、だがコレぐらいしないと駄目なんだ。貫一お宮を越えろ、俺はコレを繰返して20年、伝統の(カキ)タレ。

 歴史上の英雄だってよ、おかしいじゃん?

 多分メンヘラなんだよな、きっとそうだ。


『怒らないで!すぐ変身するから!白雪結晶!セフォルおあ!?あごごご!?』


 俺は変身中のセツコの口に親指を突っ込んで変身を中途半端に止めさせた。

 首ぐらいまで光ってたが、多分、首から上はセツコのままだ。


『ななんれ?これりやぁしゃとるくんろぼうにぃ!?』

「貴様には生身の肉体のまま…俺の怒りを受けてもらう!果たしてどうなるかなぁ!?」

 

 どうもこうもない、セフォルニアって、ただ髪の色が変わってコスプレしてるだけなんだからいつもと変わらないとタツから聞いてる。

 

「死ねええええええええええええええええええ」


 そして俺は、根本まで後ろから一気に挿した。

 

『ぎっ!?ギョァアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ♥♥♥♥』


 俺は欲のままに、無心で俺をぶつける。

 セツコの良いところは何やっても良い所だ。

 本当は旦那失格だろう。

 だから他の嬢には子育てに参加したし、優しくするし、愛情を与える以外の事も率先してやった。


 だがセツコは愛情一本の女、だから愛情も続ければ憎悪にもなる。

 全てを情をセツコにぶつけた…この20年…いつかこの話はしたい。どうしょうもねぇし、存在が消されそうだから今はしない。

 視界でボンヤリ見えるセツコはまるで俺の股間から生えたヘビが死ぬ前に藻掻くかの如く動き回っている。


『あが♥おぐ♥ギイ♥ごあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!♥♥♥♥』


 死ぬまで一緒だ、セツコ。

 死ぬまでぶつけてやる、セツコ。

 さぁ一緒に行こう、イケるところまで。

 そして俺は更に3回程出し、果てた。


「ハァ…ハァハァハァハァハァハァハァ…」


 セツコと繋がったまま息が切れる…だけど賢者じゃない。

 俺は…これが俺の〝我〟なんだと、やる度に知る。あぁ、俺はこれが…これだけが俺の…


 ズルズル…


 目隠しが取れた。視界が開けてくる。

 さて、スッキリした所で美味しいご飯と今日は久しぶりに熱燗でもキューっと…


「え?」


 え?何で?


 俺は何処にいるんだ?ラブホではないのか?

 娼館は?何で人がいっぱいいるんだ?

 何でどいつもこいつも、グッタリして…白濁まみれになっているんだ?

 何で皆そんな目で見るんだ?


 それに…何で目の前にタツがいるんだ?

 クソ漏らし…その顔は何だ?

 お前、それ、俺の行動に本気で引いた時の顔じゃねぇか…

 違う、違うんだよ。どうする?どうすれば良い?


「ぐわはハハハッ!!我が娘よ!!!」


 俺は泣いている龍博と肩を組むのをやめ、刺さったまま俺の首に手を回し未だに首をチロチロ舐めるセツコを投げ棄て…タツの耳元に口を近付けて言った。


 ボソ


「状況が全然分からない…助けてくれ…上司命令だ、こちらには全部お前にせいにする覚悟もある」


 一呼吸置いた後、タツが悲壮感のある声で叫んだ…


『ふざけんなー卑怯だぞテメェエエエエエッッッ!!!』

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