俺は木山悟、これは俺の人生

馬鹿はハードモードを語る①現代日本でハーレムをすると、この様になる…かも知れない

「ねぇサトルさん…俺の人生は…結局何だったんだろう?」


 急に孫が来て、神妙な顔で人生を問う。

 悩んでいるというから聞いてみたら自分語りだ。

 まぁ26…微妙な年頃だね。

 俺は彼から見ればおじいちゃんと言ってもまだ40代後半、確かに目と鼻に傷があり海賊感は否めない…まぁひょんな事からおじいちゃんと言われる立場になったが…


「どうした?じいちゃんは詳しく知らないから…話してご覧?なぁに、じいちゃんだったら話せる事もあるだろう?」


 若い子の悩みはフレッシュで良い。そもそもお前の親父と同い年なのに、じいちゃんってなんでだ。


「じいちゃん…うっぐぅっ…じい…ぢゃん…うアァあああ…ヒック…」


「そうだな…お前ぐらいの年頃にじいちゃんも泣いたもんさ、女にな…」


 しかしまぁ、こうやって若い子達がたまに俺に相談に来る。

 何人かやってきたが、決まって言ってる事がある。

 

―じいちゃんみたいに、なるなよ?なに、簡単な事だよ。誠実に、精一杯生きるだけでならないから―


―――――――――――――――――――――――

 

 退院してから…それから、俺の日常。

 昼は木村建設本社でカエデに説教を混ぜたセクハラ、夕方はコールセンターでセツコさんを曇らせまくり逆セクハラ、夜は娼館と言う名のデリを楽しみ続けて半年、コレだけ言うとクズの極み…

 しかしまぁ、身体の調子も良くなってきた所で…

 

「サトル…子供が出来たの。でもこれは私の我儘だから、籍とか、子育てとかは考えなくて良いのただね…私に向けるように、この子も愛してあげて欲しいの」


 俺の秘書となり、セクハラをされつつ説教をされ、プライベートでは敬語をやめ対等の立場になったカエデが俺に言った。

 

「馬鹿言ってんじゃねぇよ、娼館とかデリとか言っても、カエデと分かってたのにやりまくったのは俺だ。認知するって言うか、籍も入れるし結婚もするよ、幸せにする努力もする」


 意地でも許さんとか、憎しみにまみれていたのは過去の事。

 死にかけて、やりまくって、それから半年だ。

 偏っているが、愛情も好意もある。

 許す許さないは別の話だ。その事を引っ張り出すのはあくまでプレイの一つだ。


 どうしても恋人になると、また同じ事やって発狂しそうだからならなかったが、それとこれとは話が別だ。


 コイツが最初に付き合った16の時に、他の奴の子種でこれやってたらマジで○ね、天才的と言う名の厨二病アイドル気取りか貴様と言う所だが、それはそれ、ちなみにこの女、アニメの有名アイドルと同じ病、実際いると超迷惑、しかし、これはこれ。

 

「んーん、良いの。でもありがとう…そこまで言ってくれると思ってなかったから嬉しくてちょっと涙が…私は…ずっとサトルを愛しているよ…でも皆の話も聞いてあげて…」


 そう、こんな肝心と言うか、重要な話を、何故か俺が今住んでいる狭い1LDKに7人で聞いている。


「分かった…そうだよな。皆、ごめんな。デリの時は愛しているとか言っといて…これで俺の遊びの時間は終わりだ、皆、ごめ「違うよ、サトルん、私も子供が出来たノ」


「うん?は?パンちゃん?何だって?」


「だから、サトルんの子供、出来たョ♥たまに、会ってくれるだけデ、良いからネ。そもそも国違うから、ダイジョウブダイジョウブ」


 俺は足がカタカタ震えていた。最初、カエデが言った時はピル飲んでるとか色々言っていたが、いよいよ覚悟を決める時か…デリやめなきゃなとか、一人に選ばなきゃいけないな、覚悟をキメなきゃなとか思っていた矢先に起きた同時テロ、まさかの。


「えーっと、俺はつまり…あのぅ…「サトル!私も妊娠した!お前の子だ!立派に私が育てるから愛してやってくれ!」

「なぬ?」


 マグちゃん、お笑いで天丼って知ってるかな?

 それやりたかったの?

 言えば良いってもんじゃない。

 俺の頭が…震えが…震えが止まらん…


「いや、海外では、当たり前かも…「サトルさん、私達、子供が出来ました!「ワタクシも出来ましたわ!同じく、認知しなくてもよろしいですわ。西園寺では吉報ですから」

「そうか、いや、ここは日本、認知は…ってお前達もかってオイ!?」


 達?私達?今、ノリツッコミしたが、今麻雀みたいに点数が倍々、じゃない…子供の数が倍になっていった。

 ネコちゃんとレイラちゃん、意味分かってる?


 俺は残りの…と言っては失礼だな…ガブちゃんと…セツコさんの二人を見た。

 

「もしかして、き、君達もかな?」


「タカハ ヒトノコドモ ウマナイ ニンシンシタカ カクニンオジサンカ? シテナイ トイエバ シツコクキイテ シタカ クルカ?」


 くぅ…シスターのガブちゃんは何処で得た知識なのか知らんが馬鹿にしてきた…いや、仕方無い。心無い天使と言うか、心無い鷹の言葉…これが鷹匠、信頼の証だ…


 後は…


「セツコさん?」


 俺はセツコさんを見る。

 この人だけは他の嬢と違い仕事も一緒で、プライベートにガンガン踏み込んでくるタイプ。

 今さらカエデに嫉妬して意味不明な脳内三角関係を構築して発狂したり、付き合っていると勘違いしたり、この半年間、大変メンヘラでございました。

 この話はまたいつか、何処かでしたい。


 ちなみに娼館時間以外で致したのは、カエデと会社で数回、本部長ルームや家で一人アレをしようとしたら、一人アレを許さないガブちゃんが窓ガラス割って飛んでくること複数回、そしてセツコさんとかなりの数のオフィスラブだけだ。

 多分、一番しているがセツコさん、本来出来るとしたらこの人…と思ったらセツコさんの目から涙がブワっと出て立ち上がった。


「あっ!?あ、あれ!?違うよ!何で涙?み、みんな!良かったね!わ、わわ、わたじ!わたじぃいいいいい!!!」


 そして部屋から出ていった。何だ何だ?

 マグちゃんが遠い目をしながら言った。


「サトルのアレから出てくるオタマジャクシは大分強い…医師に無理と言われていたカエデですら妊娠したからな。それでも気配すらしないセフォルニア、いや、セツコ…多分、元からセツコはもう子供は産めない…と言うか生殖器が機能してないんじゃないかと思う。神の一柱と言われた曼華マンゲ(タツ)を産んだ事、産んで無事でいる事自体が奇跡と言える所業だからな」


 何となく説得力のある話だった、そりゃあアレを産めば確かに何かしら起きてもおかしくない。


 そして、ネコちゃんもマグちゃんと同じで懇願するように…


「サトルさんに母親から女にしてもらったと言っていました…多分、もう子を持つ母性と言うか、身体機能を失ったんだと思うんです。だからサトルさん…もしサトルさんさえ良ければ…結婚はセツコさんとしてあげてくれませんか?」


 子供が出来た女の子達を放置でセツコさんと?

 

 最後は私と言った感じでカエデが…優しく微笑みながら……


「この半年…私はセツコさんと色々あったの…ずっと…そんな事は無いと言っても本当は私とサトルが内緒で出来てるんでしょ?幼馴染ズルいとか言って中学生女子みたいな事言うから、違うと言っても聞かなくて…やれ距離が近いとか本当の事を言えとか…まさに思春期の女の子みたいで…つい最近、やっと理解してくれたんだけど…私達五人は、妊娠が分かった時点でそれぞれ報告して、生まれてくる子供達を姉弟として育てるつもりなの。ガブちゃんも手伝ってくれるって…その時にセツコさんはずっと目を泳がせながら『そ、そうだね!?わ、私は一人う、産んでるしぃ?』しか、言わず…多分…出来ない事を知って、その時になったらサトルに捨てられると思ってるの…だから、もし少しでも気持ちがあるなら追いかけてあげて…欲しいです…」

 

 最後に敬語が…メイプルちゃんの喋り方か…

 ここ最近まで、マジでセツコさんはメンヘラそのものの動きしてたからな、会社の上司なのに…

 年下皆に気を使われて…凄いな…


「お前らはそれで良いのか?それやると俺は相当クズだぞ?」


「クズではありませんよ?真田は兄がそもそも…まぁ子供にも言い聞かせますよ」

「中国ジャア 権力者は女沢山、子供いっぱいアタリマエ キニシナイ」

「同じくだな!子は幾らでもいる、私の組織は傭兵国家だからな!日本の常識なんて知らん!」

「西園寺家は私が生んだとなれば文句はありません、跡継ぎ問題解決ですわ」

「木村家…特に私は…サトルに人生を救われたから…その人に更に子供まで授かった…命にかえても育てますから」


 はぁ…まぁ知ってたよ。こんな感じになるのはな。あれだけやりたい放題やって許されてたんだ。

 それに一度は捨てた命、誰かのために…なんてな…綺麗事を言うつもりも無い。


 あ、そうだ…捨てないで取っておいたアレを…


「そうだな…俺は俺のやりたい様にやる、これからもお前らを…そしてコレからは子供も愛して…そして…全部だ…全部拾う…だから…行ってくるわ」


 外に飛び出した…何か後ろから聞こえた。

 頑張れみたいな、応援みたいな何かが。

 雨も降り出した…でも関係ないな。

 何も関係無い。ただフワフワ生きてきた。

 怒り、悲しみ、そして達観し、諦めて…


 カエデ…俺は許さないと言いながらも…許せないのは過去の俺自身でもある。

 本当は止められた、もう少し俺が、大人なら。

 最初も、そして二回目も、止められた。

 アカネさんにも失望される事は無かった。

 

 今、大人になって、他人も自分も少しは知って

 大人の階段を四つん這いの速度で登った今なら

 俺は出来る筈なんだ、奪い返す事も、救う事も


 あぁそうか、嫉妬してた、ひたすら進むお前の…

 なぁタツ 俺はそんなお前の…

  

「セツコさんっ!何やってんですかっ!?」

 

 すぐ見つかった…

 雨の中、何故か道路端のドブ、排水溝から奥に入って行こうとしている…ネズミ?


「こ、こないで!私なんかドブで暮らしてた方が良いの!何にも無いから!何も残せないから!うわああああああ!」


 いや、ドブってどうなのよ?人間辞めとるやんけ…

 そしてここからがメンヘラセツコさんの本領発揮…ドブから顔だけ出してこっちを伺っている。

 仲間になりたそうなドブポケ○ン?

 今日の格好はノースリーブのレザーのワンピースだ、セクシーですね、ドブですが。


 彼女は構ってちゃんだ、自意識過剰と言われるかも知れないが、とにかく俺に構って欲しいらすぃ…

 タツはコレを悟堕ちと言う訳の分からない表現をしていた。


 しかしまぁ今回は結構逃げた方だ、家の前のドブ…本当にショックだったんだろうな。

 酷い時は前に逃げる様に見える錯覚の動きをしながら、後ろに下がってくるMジャクソンばりのダンスムーブかましてきて、俺が強制あすなろ抱きをさせられるからな。


「あんな馬鹿産んだから!私とサトル君の子供がアァ!」


「いやいや、それは違うよ?言っちゃいけない、そんな事は。タツがいたからセツコさんと会えたんだから…ちょっと、とりあえず出てよ、話が…うお!?」


「ごめんなさい!なんてことを!違うの!もう嫌だぁ!私なんて!こんな私なんてぇぇ!あ!?」


 大してセツコさんは暴れて無いが、普通に雨で、ドブで、俺は片目がほぼ見えないから転んだ。

 

「ごめっ!?サトル君!ごめっ!私!私いいいい!何で!?なんでえええぇぇぇぇ!!?」


 うるせぇな…と仕事場でいつも思っていたが言わない。

 この人はメンヘラだ…いやメンヘラにも種類があって、激しく愛するとそれだけ返してくるタイプでして…メンヘラにハマっちゃう人って得てしてこういうタイプを相手にしてる人なんじゃないかな?

 

 まぁ、そんな分析みたいな話をしてる俺がハマってしまった訳で…更には母になる事は無く、死ぬまで女でいるらしい。つまり死ぬまでメンヘラ風か…大変ですね…まぁ良いや。

 

「サトル君!?大丈夫!?ごめん私!わた…え!?」


 先程言ってたアレとは婚約指輪…親から貰ったもんだけど、この人と一緒に居たいと思った相手に渡せと言われた。カエデの時も、アカネさんの時も渡せなかった。俺の覚悟だ。大人になると、こういう覚悟がひょいと決まる…恐ろしいよな…


 そして、そっとセツコさんの薬指をとり、指輪をはめる。


「落ち着いて、そしてコレを受け取って?皆の気持ちと、俺の「オアっ!?♥ゴアアァアァアァアァアァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!!!♥♥♥♥♥」


 ガタガタガタガタガタガタガタガタガタカワタカ


 マジかこの人…指輪って感電とかするっけ?

 急に獣声をあげ痙攣するセツコさん…完全にホラーでしか無いな、プロポーズってホラーだっけ?


 メキメキメキメキィ


 アレ…筋肉かな…指が少し太くなって締め付けている指輪を…ありゃ取れないな、確かに。


「ハァハァ♥あれ?♥ねぇコレ外せないよ?♥絶対外せないよ?♥困ったな♥もう外さなくなっちゃったね♥」


 なんて下品で厭らしい顔…睨めあげる様にこちらを見ながら舌をだし、ニチャア゙っと笑うセツコさん。


 この人は…本当は40代前半なんだよな…童顔で見た目が俺より年下に見えるし本当にシワとか全然無い。それに恋愛感が中学生女子の見るラブコメ…じゃないな…なんだろうな…

 ただ、現在はとろけきった顔で、タツの見せてくれた同人誌と同じ顔だ…しかしまぁ…


―多分、ウチの家系はスゲェ長生きすると思う―


 タツが言ってたな…だから


「結婚しよう…俺の方が多分、先に居なくなると思うけどその時までは絶対にセツコさ「ぐア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙♥♥♥」


 いや喋らしてくれよ、なんなんだよこの人は…


「嫌だ♥死ぬ♥サトル君死んだら死ぬ♥絶対死ぬ♥多分、ショックで死ぬ♥そんな事想像させたサトル君は悪い子だ♥悪い子は…悟の名前絶唱セフォルニア!♥」


 うん?急に娼館の時みたいに銀髪で雪の結晶をモチーフにしたびっちりスーツハイレグレオタードヒロイン変身した。


「うおおおあおおおお!?」


「しゃとるくううううううんッ!♥わらしの正体ばれまちた!♥だからもう!サトル君ったらぁ!♥はずかちいでそ!♥」


 なにが?

 俺はドブの排水溝に吸い込まれた…びっちりスーツの似合う妖怪は人を排水溝に引きずり込む…蓋のあるところまで、二人でギチギチで超至近距離見つめ合う、そして動けない。

 後、排水溝なので二人分の人間で詰まり、このまま水が溜まったら死ぬ。

 この人の娘は…学生時代、よく彼氏をロッカーに押し込んでたな…


 どうやら左手は顔側にあるようで、指輪をしゃぶりながら言う…


「私、信じちゃうよ?♥サトル君の言葉♥もうサトル君色に染まって…」


 これで嘘と言ったら溺死か…でもまぁ…


「ウ・ソ♥」


 俺はこういう事をしてしまうんだ。実際は嘘じゃない。だけどな、やってしまうんだ。

 これはカエデのせいかも知れない。俺は本当に性格が悪くなった。

 曇らせたいんだ、実際この半年間はセツコさんを何百回も曇らせた。

 何かさ、セツコさんは違うと思いたいけど…カエデの時に思ったのよ。

 このタイプって無限に甘やかすと際限なく調子に乗るんだ。だから心を揺さぶり続ける。

 寧ろその揺さぶりを望んでいる様に見える時もある。


 目が雪の結晶から漆黒になったセツコさん。

 指輪のはまった薬指をしゃぶり始めた…


 チュポンチュポンチュポン…


「私はセフォルニア、嘘告された哀れな女。ただしセツコはされてない。だからヘイキ。セツコ、貴女は頑張りなさい。私はセフォルニア、ただの肉奴隷…」


 二重人格パターンに入った、雑な現実逃避だ。


「今のも嘘、俺はセフォルニアにプロポーズした。正体は分からないが。誰だろうな?しかし俺は誰だか分からない人にプロポーズする胆力が俺にはある。でも本当はセツコさんにプロポーズしたかったなぁ…あ…悲しい」


「待って!それはまだ早いセフォ…………………」


 俺は自分でも訳の分からない事を言った。しかしその返事は排水溝に溜まった水が耳まできたことによって聞こえなかった。

 つまり…ヤバいかも知れないな。

 

 何故か股間を凄い勢いで触られポロティーンして何かに入った。多分、セツコさんだ。

 音は聞こえないが真正面超至近距離で口を凄い動かしながら必死なセツコさんがいる。

 何か言い訳でも言ってるんだろうか?どうせ中身も無い話だろうが…


 今度はキスをされ、口内を舌が動き回り涙と鼻水を垂らしガタガタガタと震えながら暴れまわる。

 俺はこんな最期かと思ったら蓋が開いた。


 アメリカの小生意気なそばかすのある少女の顔のシスター…ガブちゃんだ…

 力づくで二人をドブから引き上げ投げる。


「サトルん コロスヤツガ アルカ コノ バカ」


「オウフ♥ア゙っ♥ァ゙♥え!?何で!?何で抜けちゃうのぉぉ!?♥うあァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!」


 プロポーズしたら、指輪を掲げる様に慟哭された、どうなってんだ。

 俺がフラれて泣き叫ぶなら分かるが…それぐらいから考えのをやめた。

 


 とにかくそこから早かったな。

 周りに聞いてもそう、年を取れば取るほど早く、家族がいたり、好きな事があったり、充実?するととにかく時が進むのが早くなっていく。


 ジェットコースターに乗ってる気分だ、そしてこの乗り物はきっと凄い速度で棺桶に突っ込むんだろう。

 

 子育ては俺とセツコとガブちゃんで頑張った、5人は忙しいからな。 

 小学校上がるぐらいまでは大きい部屋を借りて一つ屋根の下で過ごした。

 小学校高学年ぐらいには海外組の二人とレイラの娘、姫歌ヒメカは名家・西園寺に入り直接会う事は無くなった。

 寂しい事だがそれぞれの、跡取りだからなぁ。

 それでも電話や、今はビデオチャットやらで話が出来る。

 便利な世の中になったものだ。 


 高校で寮に入ったカエデの娘、睦月ムツキとネネコの娘の美々子ミミコはたまに遊びにくる。

 ただし、友達のような関係だ。


 子供が遊びに来た時に、楽しんで欲しい一心で貯金を貯め、欲しいものを買ってやる。

 好かれたい、若い子に好かれたいのだ、子供に好かれたいのだ。

 だから味方になってやる、願いを叶えてやる。

 それがここまで生きてきた俺のやり方だ。

 カエデから『金持ちの権力者が若い娘侍らしているみたいだよ(笑)』と言われたが娘ですし?


 まぁまぁ…全員女の子になってしまい、馬鹿にされる事も多々あるが、反抗期が無いのが凄いな。

 母親の教育だろうか?皆、良い子に育っている。

 

 楽しいな、大人になって、楽しいってのは自分の頭で作るもんだと学んだ。


 ちなみにタツは…『お父様と言え』と言うと発狂したみたいに反抗してくる。この義理の娘だけが…さ反抗的だ。

 いつも『頭がおかしい』『鬼畜王サトル』『精子が下痢』とか俺に酷い事を言うが、仕事も何だか上手い事いき、偉くなってくると、最近はタツ以外にそんな事も言われなくなってきた。

 だからちょっとありがたいな、と。


 元からタツしか言ってないがな…


 そして気付きゃあ20年近く、経っていた。


 俺は…シワが増え、事故の時に受けた傷が治らず痛々しい外見になってるから眼帯をつけている。

 もう完全に海賊だ。そして隣にはセツコがいる。


龍博たつひろ?落ち着いて。ほら、落ち着くようにハーブティーを入れたわ。サトル君には、コレね…』


 セツコは少し前に還暦を迎えた。

 しかし外見が未だに30代にもなってない、マジでバケモンだ…とは言わない。


 そして性欲は底を知らない、俺に平然とすっぽんとかよく分からないものが混ざった身体がカーっとなる様なものを飲ます。今、出されたのもそれだ。


 更に言うとエプロンでケツ側のスカートが捲れる様に固定されていて大人の下着が丸見えだ、それに何か入って…いや、何でもない。

 それを立ち回りで俺にしか見えない様に動く。

 

『サトル君…龍博は周りでは頭がおかしくなったとか言われてるの…奇行を繰り返すって…でも理由があると思うの。だから聞いてあげて?』


 頭がおかしい、奇行は貴女方、母娘だと思うが言わない。


『じいちゃん…俺は…俺は…』


 そしてその娘のタツに頭がおかしいと言われている俺に何がしてやれるだろう?

 強いて言うなら登場した人物が全員おかしい。

  

 だが俺は…言う。


『あぁ何でも言ってみろ。俺が受け止めてやる』


 そう、男にも女にも甘い男だからな。

 


 

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