全てを轢いて行く様な考えしか出来ない快楽主義の豚野郎

 私達姉妹の母親は七人


 元アイドル・木村建設の統合エンターテイメントグループ【メビウス】統括プロデューサーの木村楓


 日本の影を支配する裏組織不知火・異能部隊【敬死天】元筆頭・数百年続く西園寺家の頭領…西園寺怜羅


 同じく不知火・内部争いの中で生まれた粛清部隊、暗部【九尾】創設者・怨叉と尾と言われた真田寧々子


 アジア圏最大領土の中国を支える研究機関【叛氾】の室長、遺伝子学という禁忌の権威…ワン・パイラン


 来栖川棺の創設した地の無い国、ヨーロッパ圏における最大兵力と兵器を所持する傭兵国家【棺の国】の最高責任者…イヴ・マグダレナ


 世界で最も布教される宗教の過激派が信仰する偶像、南米における犯罪組織の行動原理とも言われる光の守護神・ガブリエル


 最も謎が多く、危険。冷戦時代の伝説、神を産み、兵器による戦争の意味を各国に問うた戦獣…スノウタイガー、またの名を雪虎ユキトラ



 私達姉妹はお父様一つの血で繋がっている。

 母達は、強く、気高く、美しい。

 しかし、唯一つの信念に生きている。




―俺はお前達の全てが愛おしい、あぁ、可愛い我が嬢、そして娘達よ―


 お父様はとても素敵な男性です。お母様には内緒ですが、私…ジョアンナ…ジョアンナ・マグダレナはお父様みたいな素敵な男性といつか添い遂げたいと思っています。

 歳は10を数えるまで、姉妹と一緒にお父様と同じ寝床を共にしました、跡継ぎの為離れてからも定期的にビデオチャットでやり取りしています。

 格好良くて、優しくて、常識があって、思いやりがあって…包み込むような愛。

 人の上に立ち、時に冷酷でならなければいけない立場につくと、そういう普通…そう、普遍的な愛に憧れを持つようになりました。


 私は日本から遠く離れたアイスランドの北東、地図に載らない人工島。

 様々な呼ばれ方…傭兵国家、マーシナリーステイツ、コフィンステイツ…棺の国と言う国家の幹部を母にもつ私は、今日は次期幹部候補として見識を広げる為に母に連れられ、この日本に来ました。


 元々は棺の国の上にいた、日本の組織・シラヌイ。


 今やカリスマ的なトップが居なくなり、棺の国を含む下部組織が独立し、形骸化して権力にのみ固執する腐った組織。

 その組織ゴミ頂点クズを決める合議に来ています。

 古強者は消え、軒並みくだらない騙し合いの果て、何かにしがみつく事しか出来ない幹部達。

 我ら棺の国が滅ぼすと決めれば吹いて飛ぶような集団。

 その頂点を決めて何の意味があるのか、この国もいよいよ終わりかな。


「この女は禁忌を破った無能だ!世襲こそがおかしいのだ!そもそも究極の異能があったからこその白座孫一、それ以外はトップにあり得ない!異能があり、諸外国の支持を得ている我ら定満家こそ正統な不知火の後継者だ!何か弁明はあるか!?」


 支持してないし…

 何やら正統な血統の女がやらかしたと周りで弾圧しています。

 正直、早く終わらないかな?としか思えません。


 それに本当の来日理由は、お父様に会う為です。実は私はお父様に会いたくて無理を言いました。


 私はお父様が、大好きです。


 いつか棺の国の上に立つ時、私はお父様を我が国に迎えたいと思っています。

 同い年の姉妹達は反発するかも知れませんが…私の密かな野望です。


 それに…もう一つこの国に来た理由があります。

 お母様が懸想しているオークと言う人物。

 最初は樹木の種類かと思っていました。

 しかし…どうやらオークとは豚人間…醜く、不潔で、ガニ股で歩き、知能は低く欲の権化。

 お母様は、お父様より、そのオークと名乗る人物を好んでいます。

 それが大変悲しい。

 我ら傭兵の国は、確かに日本とは違う貞操観念。

 我らは人口の増減、そして優秀な種を残す事に重きを置いている。

 それでも…お母様と言えどお父様を悲しませる事は許せません、お母様の心を奪う性欲にまみれた汚らしいオークを………


『SAッ!』『TOッ!』『RUッ!』

『オークの入館でぇす♥』


 いつかこの手で殺すと決めたのに…………


『SAッ!』『TOッ!』『RUッ!』

『オークの回転ダァッ♥』


 なんで…とうしてですか?…何故…


『SAッ!』『TOッ!』『RUッ!』

『オークの本番ですわ♥』


「お父様ぁ!?なぜですかああああああ!?」


【パァンッ】『片っ端からハメ倒しまぁす♥』


「よっしゃ!次の【指名のジョー】!出てこいやぁッ!!」


 私は泣きながら忍ばせていたナイフを落とした…


―――――――――――――――――――――――


 さて、青年の主張なんてのは大体が感情の吐露。

 悲しい、悔しい、つまり射○だ。


―(なんかよくわからないから)とにかく一発やって来い―


 先人達から引き継がれる青年の悩みに対するおっさん達のアンサー…酷い言葉だ、相談なんかろく聞いちゃいねぇな。


 客観的に聞くと酷い言葉だが、それでも長く言われている言葉だ…だから悩める思春期が聞くとどうなるか…俺も答え合わせをする。


「俺…チカも救えなかった…ミヨとカネヒラが何考えてんのか分からなかった…家族に迷惑…いや、頼りたくなかったから一人でやって来た…それも結局今日…」


 案の定、何言ってるのか分からない。

 目の前で何言ってるか分からないメソメソした青年。

 根多龍博…ヒロとタツの子供、長男だ。

 タツの母、セツコと俺が結婚したから、彼は孫になるんだよな(笑)


 そんな彼、とにかく何やら悲しいだなんだと、こねくり回す。

 高校時代のヒロはこんな感じだったらしい、前にタツが愚痴ってたわ。


 そんな事して何が楽しいの?とヒロに聞いた事がある。

 すると『いや、お前みたいに分かった瞬間、キレて口聞かなくなる、罵倒してすぐ次の彼女作るって結構凄い事だから』とか言われて何か納得いかないが、とにかくそんなもんらしい。


「この手から指の隙間から全部流れ落ちた…勉強して、運動して、皆に優しくして、真面目に働けば普通の幸せを手にする事が出来ると思った…思ったのに…チカは…」


 チカちゃんだっけ?葬式行ったな。

 何故なら一回、何か相談に来たから、ネコちゃん経由で。

 生先が短いから一回だけエロい事したいみたいな事言うから冷静に「初めてなんて痛ぇだけだからしねぇほうがマシ」みたいな事いったな。

 しつけぇし未成年なんて一発検挙だから『好きな奴夜這いでもしろよ、タツみてぇに』とアドバイスした。

 若くして死んじゃってな、可哀想に。

 でも龍博コイツを夜這いしてヤったってネコちゃんから聞いたけどな。


 よく知らないけど、もうそろそろ死ぬらしいから病院に俺も行こうか?って言ったら、タツに『お前は官能で弔うとかするから駄目』と言われた。

 俺はそんな、ヘソに紐刺して火を付けると長い事消えないみたいな、三国志の暴虐の限りを尽くした蝋燭人間みたいな事はしないんだが。


「ミヨだって…俺がちゃんと分かっていれば…カネヒラを止められて…いや、分かっていたとしても…きっと駄目なんだ…不条理だ…ちくしょう…不条理ばかりだ…」


 ミヨってのは知らねーが…何かブツブツ言ってるのを合わせると…多分だけど…多分だけど?幼馴染?友達?が4人いて?まずチカってーのにフラレてミヨ?みたいなのと付き合ったけどカネヒラってのに浮気されて?チカってーのと上手くいきそうになったけどその子が死んで、まだミヨのって―のと別れてねぇって話の様だ。


 まぁ意味わかんねぇけど、どうしょうもねぇ話だ。


「良し。分かった、よく聞け、龍博。世の中は不条理だ。」

「え?」

「カエデ!いるか?後、セツコ…」

「うん?なにかな?」「どうしたの?」


 そう、不条理だ。努力や誠実さなんてのはあっという間に裏返る。


「龍博、この女は昔、付き合ってる時に他の男とヤった。それはもう、どうしょうもない程腰を振った。二回付き合って同じ事を二回する馬鹿、それを病のせいにする、病じゃなくて馬鹿と言うと不満げな顔をする。こっちからすれば馬鹿で十分だ。それでも俺の子を産み一緒にいる」

「サトル…それには理由が…」

「いや、まず謝れよ」「ごめんなさい」

「いや、許さん。乳首なめろテメー」

「はい…」


「そしてセツコ…お前は散々前の旦那を愛している、一生忘れないと言っていたのに風が吹いた枯葉みたいにあっさり裏返った。嘘つきだ。可愛いけどスゲェ構ってちゃん、後、声がデケェからうるせぇし異様にエロい、60越えてるのに」

「サトル君、待って!?私はああ!?」

「いや、うるさいから」「なんでぇぇぇぇ!!」

「いや、うるせ…その口で足の親指舐めてよ」

「ふぁい♥」ピチャピチャ


 …龍博が驚いている。俺も驚いている。

 サトルオークとして楽しい娼館生活をしているうちにどうでも良くなったのでその感じを伝えようと思ったが失敗した。

 ちなみにこんな態度だが、好きな人ができたり離れたければ離れろと全員に言っている。

 だって地獄スだからな、店辞めるのに許可なんかいるかよ、いや、普通は何ヶ月か前に言って欲しいけども。

 とにかく素の時に大人のお店のテンションと同じ発言するとこんな事になるのか。


「良し、二人とも、やめ!」

「はい…」「………ハァハァ♥」

「セツコ…セツコ!やめ!セツコ!ステイッ!セツコッ!」

 ペロペロピチャピチャペロペロペロペロ


 セツコ…妻になったがメンヘラ強度はより強固になった。最近の流行りは何の脈絡も無く「なんで怒ってるの?」と繰り返す。怒ってないって言ってるのに俺が怒るまで繰り返す…

 本当にこの家系…まぁセツコとタツは人の話を聞きやしねぇ、スイッチ入るとオンのまま。

 子供達の中の一番血が濃ゆい散華ちゃんは好青年を捕まえてきてちゃんとやってるのによ、少しは見習えや。


「まぁ良い、とにかく感情のままに動いて駄目なら別の女に行くのが良い、それでも気持ちに折り合いがつかないなら嬢を楽しめ、それで気が変わる。多分。しかし俺の【指名のジョー】とやると穴兄弟どころかリアル穴大家族になるから別の店を紹介してやるが…まず心の解放をお前に見せてやる」


 そう、大人のお店、地獄スに行ってカッコつけるのは良くない。そういう人に限って俺は合ってなかったという。

 魂を解放する場所なんだよ、地獄スは。


「金なら俺が出してやる、だから感じたら大声を出せ、そして最高に下品なポーズをしろ、大声出して自分剥き出しのポーズだ、困るのは驚いた嬢とオーナーだけ、だが金払ってるから払った分だけ楽しまなければならない、そして相性が良ければ指名、その内勝手にイメプレする様になるから。とにかく今からじいちゃんが手本を見せてやるからちょっと待ってろ」


「え?手本?」


「カエデ!今日は娼館サトルオーク行くから!連絡4649!」

「分かった、準備しておくね」


 ちなみに子供達が小さい時は行けなかったが、今は自由に行ける。

 妻のセツコはいつも少し不満げだが『セフォルニアに会いたいな』と言うと許してくれる。

 どんだけエロいんだ。




 そして一時間後……


「ねぇ…本当になにするの?おじいちゃんは一体…」


「そうだな…娘には見せてないし、俺の直系に男は居ないからな…お前も孫だし、男だ。こういう教育はヒロもしづらいだろう」


「今日…ミヨが合議で裁かれるんだ、だから俺…」


「お前の感じてる感情はどうでも良い感情だ、何故ならもう関係ない女だからだ、治し方はじいちゃんが知っている、じいちゃんに任せろ」


 カエデが何やら電話をしている、カエデとネコちゃんはこういう上手いからな。


「はい…はい、分かりました【プッ】サトル、今日は最高のプレイが出来そうだよ♥」


「フオオオオオオオオオオオ!!♫」


「じ、じいちゃん?」


「……龍博、こういう所が大事なんだ、試合前から既に始まっている」


 一瞬冷静になりそうになったが、俺の嬢任せの準備が始まる。

 カエデに何かよく分からない透明なコートを着せて貰う、下は全裸、つまりただの全裸。

 そして肩から怪しい小瓶の、大量に付いたベルトをかける。

 しかし、ちょっと龍博の悲壮感のある顔が見えるのは良くないな、見えないようにしよう。


「アイマスクくれ、見える方の目だけ隠れれば良い、表情が分からないくらいの透けて見えるヤツ。後、この透明なカッパみたいなコート良いな?いくらだ?」

「316(サトル)億円です」

「フウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ!!♫」


 馬鹿みたいな会話だが大事なのは信頼、この20年近い年月で、俺と嬢は最早ツーカーの存在だ。

 なんせプレイの概要は『俺が全能感を出したいからよろしく、適当に喋るから合わせろ』と言うクソ指示だ。

 そんな指示で20年、今では老舗です。


「よっしゃぁ!龍博、しかと目に焼き付けとけ!」

「え?えぇ?」


 家の外に出るとトラックが止まっていて後ろが開いている。

 颯爽と乗り込む俺、娼館サトルオークの時は、大体この謎トラックで移動する。


「カエデぇぇ!相変わらずマジックミラー号みてぇだな!」

「?…あぁ、ええ、そうですね、逆ですけど」

「バニーじゃあるまいし!トラックが逆ってウケる!」


 もうテンションはダダ上がり、中は小さな個室みたいになっていて外は見えないが鏡張りだ。

 

「今日はサトルディナショーだな!決めた!」

「はい!生バンドも用意してるよ!」

「やっぱり生が一番!サンシが無くてもサトル!ゴー!」

「?…そうですね!」


 俺はとりあえず全裸でDの付くグループのU★Aをかけ、踊り狂いながら歌う、ちょっと古いが自分を盛り上げるには最高だ。

 

「カーモン!サーモン(ピンク)!鷹匠タカジョー!」


 意味不明な替え歌で俺と場を盛り上げる。嬢達の手拍子が俺を更に盛り上げる。

 と言っても今はカエデとセツコと龍博しかいないが…ちなみに龍博の顔はボヤケてよく見えないが楽しんで頂けているだろうか?


 後、鷹匠って大声で言っとくと、遅くてもガブちゃんが30分ぐらいで来る。

 今日は一発目はガブちゃんと決めている。

 何故ならガブちゃんは他の嬢とやってると隙をみて参加しようとする、鷹だから我慢できない様だ、鷹匠だから我慢できないのかとか言われても知らんけど。

 そしてセツコ、セフォルニアは最後にする、メンヘラは最高に嫉妬させると熟成したフルーツみたいになるからな、思考が。


 そして昔に比べて強くなった酒、俺はシャンパンを頭から被り飲む。歌って踊って騒ぐ。

 まさに馬鹿一直線だ、そう魂の解放だ。


 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

 

 何やら破壊音がするが気にしない。


「サトルオーク♥現場に着きましたぁ♥」


「よっしゃ!今日は龍博いるからハードコアじゃねぇ、若者向けにミクスチャー行ってみよかあぁ!今日は立ちバックで練り歩くからよぉ!」


 何がどうなってるのか分からんが、テンションだけで行く。これが俺の地獄の楽しみ方だ。

 俺は勢いよく、ガニ股で頭の悪そうな顔をしながら歩く、ベルトについてる謎の薬を飲みながら。

 謎と言ってもまぁ精力剤なんだよな、いつもそうだから。

 精力剤…数年前の健康診断で流石に飲み過ぎだろうと(セツコが日常的に食事に混入させるから)医者に相談したら、俺は精力剤を体内で綺麗に分解出来る身体らしい。

 死にかけて得た肉体だそうだ、死にかけるまでして得た恩恵としては全然有り難くない。


 更にパンちゃんがそれを知ったか凄まじい効果の精力剤を用意するので俺の玉は昭和のサラリーマンの様に24時間働いても死なない、まぁ悲鳴はあげてると思うが。

 つまりはまぁ、ただの絶倫のおっさんだ。


「よっしゃ!龍博!よく見とけよ!?これが前を見るって事だ!これが生き方ってもんだっ!」


 俺は左腕を龍博の肩に回し、いよいよ前進する。

 ガニ股で、下品な顔で、まるでこの世の頂点かのような面魂で、俺は…若者に生き様を見せる。


 ベンベンべべべべーンベンベンべべベーン…♫

 タンタンドタラタドタドタタタラタタラタ…♫

 ジャンジャカジャジャジャンジャジャーン…♫


 生バンドが大音量で流れている、良いね、俺も17の頃までは音楽をやっていた。

 いわゆるever17だ、タツに言うとギャルゲー…いやミステリー?とか言ってたがそんな話ではない。

 タツにヒップホップと言われてたが違うな、ハードコアだ。バンドで叩きつける言霊だ。

 嬢に俺という男を叩きつける時間だ。


「俺はサトルオークだぁッ!」

「その名前を誰が呼ぶんだぁッ!?」

「それは嬢だけが知る今からぁッ!」

「いよいよ娼館!サトルオーク開店だぁッ!」

 

 楽しい夜の始まりだ…………………




※いつもありがとうございまする、何が始まりなのか分かりませんがカクヨム10までに終わりたい。

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