イン・ザ・セレモニー③俺が積み上げてきたモノ・こみ上げてくるモノ

 俺は馬鹿の食い物、腐った食い物を食って腹を壊したらコケシで蓋をする馬鹿の食い物を間違えて横から食った…最悪だ…

 食った瞬間は熱々で良く分からなかったが胃に入った瞬間、内臓が悲鳴をあげた。


――イキジゴクダァ…コロシテクレェ――


 そんな声が内臓から聞こえた様な気がするぐらい、上も下もヤバい。あぁ、ヤバいんですよ。


 

 ジャーゴポポポポ…


 とりあえず出すもの出して、控室で心を無にしながら整腸薬の効果を期待していると時雨とその彼女?が入ってきた。


「ちょっとバタバタしてて遅れた、ごめんごめん!」


「始めまして、あ…お忙しいところごめんなさい」


 彼女の方は俺の顔で察知したのか遠慮がちだ。

 今話しかけてほしく無かったが…仕方ない。


「あぁ、こんにちは、ハジメマシテ…別に良いんだが…俺が聞きたいって言ったし…でもすまんが端的に頼む。ちょっと腹が…」


「腹痛いの?了解、とりあえずメイプルだけどさ、アレは俺のあね…「ちょっと待って!!」


 今度はメイプルちゃん…メイプルちゃんが変な大きな袋持って入ってきた。

 この間デートして、変なの見てから連絡まともに取ってなかったな。


 とりあえず、話デカくするのやめてくれないかな?

 難しい事考えさせるの、今はやめてくれないかな?体調がさ…


「さ、サトルさん、コレを見て下さい」


 ゴロゴロゴロゴロン…


「え?……ヒィッ!?俺の死体!?」


 袋から出てきたのは俺?を模した人形みたいな、バラバラ死体みたいなモノだった。

 余りの驚きと恐怖に少しウンコが漏れた…


「こ、コレはSサトルさん人形です…先日、タツさんが来て壊していきました…その時に言われたんです…コソコソするなと。嘘をつくなと…だから今日は…」


 バタンッ!


「おい!サトルウンコマン!調子はどうだ?なんだったらお前の時間もやってやろうか?(笑)ん?なんだ?どうした?」


 男子便所で過去に壮大に漏らしたクソタツも入ってきた…何か闇鍋みたいになってきた控室で、もう俺は体調もメンタルもマイナス方向にビンビンなんだが?吐きそうだわ…

 自分から修羅場に入ってきといて?マークを頭に出す馬鹿…その名はタツ…


「何これ?サトルウンコ君、状況を説明したまえ」


「ええ…っと時雨とメイプルちゃんが夜な夜なやっていたと思ったら急にメイプルちゃんが俺の死体人形出してきた…だから皆集まれ?みたいな?」


「ん?時雨ってメイプル―ンの弟だろ?行く所までイッちまってんな」


 弟?何で?従兄弟じゃなかったっけ?


「え?時雨さん…浮気!?しかも」

「「やってない!」ません!」


 ハモらせて否定する2人…朦朧としてたから彼女の前でバラしちゃった…最悪だな…俺。

 

「なんつ―事言うんだサトル君は…そのヤッてたのって、姉ちゃんとこの気持ち悪い人形だよ!姉ちゃん…楓はまだサトル君の事が…近寄るなって言ってのにゴメンな…」


 何だそりゃ?それと姉ちゃんってまさか?


「メイプルちゃん…カエデ?カエデ…がメイプルちゃん?」


「はい…私はカエデ…でした…今はメイプルです…ずっと…ずっとサトルさんを見ていました…」


 何で?いよいよ意味が分からなくなって来たな。

 情報量多過ぎだろ…俺、腹痛いんやぞ?

 似てなくもないが顔違くね?こんな子供みたいじゃなかったし…腹が…


「とりあえずちょっとだけ、一回トイレに行かせてくれ…頼む」


「ハハハ!しっかり出し給えよ!後でオレがあの高級簡易トイレを占拠するからな」 


 うるせぇなタツウンコクソ野郎…俺は人間関係の闇鍋から一回脱出した、こういう時って出したいと思ってもちゃんと出ないのよね…

 トイレで不安と戦っている時に、ふと思いだした。

 そうだ、高校時代、カエデの最初の浮気の時…ストレスで腹壊した時に…男便クソ漏らしが俺のトイレの前に来たんだよな…




―早くこのドアを開けろ!漏れる!―

ーこの男子便所だぞ!ふざけんな!ー

ーバギャ゙!ギィ…ー

ーてめっ!?ドア壊しやがった!?何考えてやがる!ー

ーうるさい!良いから終わってんだろ!どけ!ー

ーまだ終わってねぇよ!やめろ引っ張るな!ー

ーやめろっ!ー

ーどけよ!ー


『『ゔぁアアアアアア!!!!』』


 3年の男子大便トイレは1個しか無かった。


 揉み合っている間に2人して限界が来た…大便トイレの外で2人で漏らして…それを他の生徒に見つかり…アイツは窓から逃げて…俺も学校では音楽やってるヤンキーみたいな扱いで、アイツはアイツで言わずもがなだから…特に虐めとかにはならなかったが。

 心の中で同列に扱われたな…アイツ…タツと…


 何だっけ?そう…ざまぁってアイツはよく言うけどな。

 俺は人に対して復讐しようと思った事はないんだ…カエデにもアカネさんにも…裏切る様な奴とは関わり合いたくない…いつも相手を死んだ事にして、全力で逃げるだけ。


 だけどなぁ。あの時だけは…いつか絶対、コイツだけはやってやるって思ったっけな…


 そんな事を思い出していると、ヒロがいた。


「よ!サトル!見に来たぞ!良いスピーチ頼むぞ!」


 そうだ、あの時…すぐ復讐に走らなかったのはヒロが土下座してきたんだ。

 

―本当にスマン!悪意は無いんだ!馬鹿なだけなんだ!―


 繰り返し頭を下げるヒロ、タツの彼氏って知ってたし…あんまり親しく無かったからコイツも苦労してんだなって思った。

 でも…今は違うからな…


「ヒロ…お前はアイツが腐った物を食べる…のを矯正出来なかった事は何も言わない…だが…今日起きる事は決して邪魔しないでくれ…」


「はい?何の話?」


 もう俺は…もし何かあればお前の土下座じゃ止まらないぜ…唯一…唯一憎いと思ったんだ…カエデにもアカネさんにも無かった…2人にはどっかで分かってたんだ…俺もどこか問題があったから…それと向き合うのが怖かったから…ただ、タツだけは違った、俺は…俺は絶対間違えてない(便所から無理矢理出される事象)という信念…


「良いんだ…邪魔さえしなければ…お前とは…今では親友だと思っている…しかしタツと俺は…お前らが夫婦とはいえ…お前でも…誰にも入れない宿命が…ここにある…頼む」


「何が?」

 

 控室に帰ると闇鍋のまんまだった…けどすぐ時雨が出ていった。

 スピーチあるからな、てゆうか俺が請負してる木村グループの直の上なのな…偉くなったなぁ時雨。


「とりあえずサトル君、それとは別で仕事の話があるからさ。時間作ってよ、約束だよ?」


「あぁ…分かった」


 と言いながら内ポケットに辞表を忍ばせている事は言わない。

 親父さんと一緒で引き留めるつもりだろうが…俺は止まらんぜ…

 一人でキメ顔してるとメイプルちゃん?カエデ?が寄ってきた。 

 この案件は今解決したくないんのですが…


「とにかく…メイプルちゃん…はカエデなのか?何で?」


「確かに私はカエデですがっ!今は貴方の為に!全てをっ…………メイプルとしてお側に居たいんです!」


 コレ…今すぐ答え出さなきゃ駄目なのか?俺は何も整理出来てないですが…

 何かニヤッとしたタツを見る…笑顔がウゼェ…


「これからコイツを公開処刑する、助けるかどうかは貴方次第(笑)終わったらすぐトイレ行くからお前は漏らせ」


 トイレって言う単語出すな、思い出しただろうが…コイツ◯してえ…


「コイツの謝罪の歌、そして懺悔を聞いてから決めると良いさ、ウンコもな。ミエリーから「便を納めて!」って言われたらラルフはウンコを漏らさないだろうな」


 何言ってんだコイツ… 


「あぁもう!何だって良いっ!良いから簡易トイレ一個しかねぇんだから空けとけよクソ野郎っ!」


 変な空気のまま時雨のスピーチが終わった。時間の流れがバグっている…早いのか遅いのか、それすらも分からない。

 

「サトルさん!聞いて下さい!私の後悔…そして出会った時、一緒になれた日も、あの裏切りをした日も、今でも気持ちは変わらないという事を…お願いします!」


「はぁ…」


 俺はまだメイプルちゃんがカエデという事を受け入れて無い、何故なら別人にしか見えないからだ。

 しかし話だけが進む。


 時雨の彼女はキョロキョロしている。

 キツいだろうな、嫁に行く家の姉が頭がおかしいって…


「厶?君もナーンドッグ食べたいかね?」「え?」


 一番辛いのは彼女かも知れないな…何も関係無いし…て、おい!


「やめろ馬鹿!」


 被害者を感染病の様に増やし一緒にクソまみれになろうとする馬鹿。

 そしてカエデの歌が始まった。


「これから歌う歌は…一人の為に歌う歌です…聞いてください…償い…」


 ポロロンポロロン…


 『償い』という歌…俺は正直、良い思い出は無い。別に対人こ事故はした事無いが…


 草むらからダッシュで人間が飛び出してこない限り、絶対人がいない所にある謎の一時停止をネズミ捕りにより一時停止違反で捕まり、遠くまで受けに行った違反者講習。


『お前ら、寝ても良いけど携帯で話すな、弄るな』


 教官の謎の指示と共に始まる、交通違反をした悲しみを綴る動画。

 それで流れていた…償い…お前の浮気と全然関係ないと思うが…


「月末になるとカエデちゃんは薄い給料袋の…」


 おい、待て。お前の浮気は交通事故なのか?

 

 俺の職業に不安があって何かやったと理解していたが?

 俺の為に俺を轢いたと言わんばかりの話だが…いやいや、お前轢いた側!?


 まぁでも、轢いた側しかねぇか…て言うか無理に替歌にしなくても良いだろ?

 それに何人かおっさんが泣いてるな…多分、世代何だろうな…しかし俺、あの人全然世代じゃないからな。全く響かないわ…


 しかしまぁ…教習所と一緒で早く終わらないかなと思っていると気付けば終わっていた。


「続いて…あの人…サトルさんの好きな曲…昔はよく、二人の時にギターを弾きながら歌ってくれましたね?…当時は寂しい感じで苦手でしたけど…今なら分かります…それでは聞いてください…カエデ」


ざわざわ「え…サトルって」「まさか…現場監督の?」


 あぁ…俺の好きな曲だ…恥ずかしながら高校時代、カエデと付き合っていた時にフォークギター鳴らしながら歌った…


 今考えると…あれって凄いオ◯ニー行為だな…いや、曲は良いんだけどさ、それを高校生の俺が当時の彼女と2人の時にやるって俺も大概恥ずかしい奴というか…いや、良いんだろうけど、若い時は…今思い出すとどうしても…


 いやいや、今サトルって言ったよな?

 まぁそんな黒歴史に近い、恥ずかしいものを現場監督をやってる場所でバラすのはどうなんだろうな…

 これで辞表を出す決意が固くなったな…


『さよぉなぁらぁ♫君の声を抱いて歩いてくぅー♫』


 そういえばカエデは歌、上手かったな。

 まぁアイドルやってたしそりゃ上手いわな。

 良い曲だよ、女ヴォーカルバージョンも良いじゃない?

 まぁだからどうしたと言うか…俺にどうしろと?


 なんて思いながら聞いてるとウンコ野郎タツが不敵な笑みを浮かべた。


「こっからはNTR耐久卿の領域だ…あの精神汚染アイドルが全員に謝罪するまで話は進まんぞ(笑)おっと、先にトイレに行こう。見ていろサドルウンコ、そして選べ…あの哀れなアイドルの行き先を!地獄か!冥府をな!」


 何でコイツは地獄と冥府しかいつも選択肢が無いんだろう?

 どちらにせよどっちもろくなもんじゃないな…

 …そしてトイレに向かってから数分後…


『たい○にん♪たいま○ん♫きょ〜からぁきみもたいまにん♬』


 控室の中から流し始め、外に出ても全然聞こえる意味不明な音楽…馬鹿の考えている事は分からないな。


「『きょうからぁきみも』ガチャ…さぁ始まりました。NTR耐久卿によるNTR耐久討論。本日のお題はざまぁと再構築について。おいクソイカ、音楽はアメイジングスメルで!」


「煩い馬鹿!命令するな!そんな曲ないわっ!」


「じゃあクソイカは適当にクソして寝てろ!さぁ来いメイプルーンカエデ!いや、過去に世間を騒がせたき…何とかカエデことメイプルーン!今こそここまで見て頂いた395人の耐久卿!そして80ちょいの神託(9月12日現在)を告げたNTR耐久卿に謝罪せよ!耐久卿はお怒りだ!お詫びの心が足りなければざまぁが下る!」


 ざわざわ…ざわざわ…


 外から馬鹿の声が聞こえてくるが…何言ってんだアイツ…そりゃざわつくだろうよ…

 何かヒロが言ってたな…たまにタツがNTR耐久教とかいう宗教団体の名前みたいなのを叫ぶのが困っていると。

 俺はもうお腹が痛くて一言漏らした。


「早く終わんねぇかな…あ、漏れそう…」






※毎回このパターンですいません!沢山のコメントありがとうございました!これからメイプルが皆様にお詫びします!よろしくお願いします!

 作者の内容と寄り道と遅筆のお詫び?

 それは今します、大変申し訳ありませんでした(土下座)




 



 


 

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