イン・ザ・セレモニー①あらすじ的な話〜ウチの妻、何やってんの?

 俺は根多博之…妻を自分の親戚の建設会社に突っ込んだら何故か社長になって尻拭いをし続ける事になった。


 その妻が完成セレモニーの壇上で挨拶するらしい。何で一介の建設会社の社長が?と思うが…

 そこの現場監督の木山悟が推したらしい。


 その木山…サトルとは高校の同級生で卒業してから仲良くなった。今では飲み友だ。

 仲良くなるきっかけになったサトルの元カノ木村楓さんに関しては、まぁ少し関わったが俺の力足りず…イライラするから思い出さない様にしてるし、今は俺もサトルも記憶から消そうとしている。


 話を戻すが俺の妻のタツ…正直スピーチが出来る訳ない。


 学生時代は内気なくせに調子に乗るから、教師に見せしめとして全校集会で謝罪反省文を朗読させられた時に、コケシを壇上に置きR18ゲームのエロパートを集めた『オークの全盛期』を朗読し空気を歪ました嫁が…出来る訳ない。


 嫌な予感しかしないが、もしかしたら…俺の想造を遥かに超える成長をしたのかも知れない。

 もしかしたら、皆が涙を流すぐらいの良いスピーチをしてくれるかも知れない。


 と、都合の良い事を考えていると、現場作業員や近所の方、関係者が待つ中で今回の主役であるサトルがフラフラしながら歩いていた。


「よ!サトル!見に来たぞ!良いスピーチ頼むぞ!」


 サトルはフラフラしながら俺の方に来た…覚悟を決めた顔で…何故?


「ヒロ…お前はアイツが腐った物を食べる…のを矯正出来なかった事は何も言わない…だが…今日起きる事は決して邪魔しないでくれ…」


「はい?何の話?」


「良いんだ…邪魔さえしなければ…お前とは…今では親友だと思っている…しかしタツと俺は…お前らが夫婦とはいえ…お前でも…誰にも入れない宿命が…ここにある…頼む」


「何が?」


 サトルはフラフラしながら去っていた…何だ今の?…なんか嫌な予感がするなぁ…



 まず最初に木村建設の偉い人、その後アイドルが歌を歌うらしい…誰だろう?

 木村建設のアイドル…メイプルさん…タツから聞いたけどこの人…サトルの元カノで何か浮気相手に薬ぶっ込まれて廃人になったと思ったら別人になった人じゃん。

 今、アイドルやってんだ…何で?


 そしてその後、タツのスピーチ、サトルのスピーチって、何か関わったらいけない人達が集まっているな…嫌な予感しかしないんだけど…




 パチパチパチパチ


『我々、木村建設は地域の街興しに携わり…』


 何か若くて仕事の出来そうな人がスピーチしてる。

 何でちょっと辛そう何だろう?

 俺は嫌な予感がしたので控室を覗く事にした…一応、妻が関わっているからな。



 控室に近づくと何か揉めてる?声がする。


『確かに私はカエデですがっ!今は貴方の為に!全てをっ…………』

『これからコイツを公開処刑する、助けるかどうかは貴方次第(笑)終わったらすぐトイレ行くからお前は漏らせ』

『あぁもう!何だって良いっ!良いから簡易トイレ一個しかねぇんだから空けとけよクソ野郎っ!』


 何だ?良く分からないけど関わると面倒くさそうだから黙ってその場を去った。


 

 偉い人のスピーチが終わってから数分…幼馴染のネトが来た。

 コイツも暇だな、医者じゃねーのか?医者って暇なのか?

 

「何か今日、サトル辞めるって言うからウチの営業にヘッドハンティングしにきたんだよ」


「えぇ?お前もう独立すんの?早くね?」


「いや、実家が個人医院ならそんなもんだよ。別に医局の争いとか興味無いし。経営の方ならヒロも再就職しなよ」


「いや、良いよ」


 病院名が気持ち医院だからな、何でそんなに馬鹿なんだよ…



 更に待つ事数分…女の人が出てきた…アレ…アイカじゃねーか…何でサトルじゃなくて俺の元カノが出てくるんだ…出鱈目だよ。


 ドレス着てピアノの前に座るアイカ。

 こちらに熱視線を向ける…横見るとネトの彼女の吉田さんがメンチきってる。もう嫌だ。


 あ、サトルの元カノ出てきた…んん?


 何か…仮面舞踏会みたいなアイマスクしてるし…何で服が着崩れてんの?大事な所は見えないけど…まるで…その…犯されてきたみたいな…



「これから歌う歌は…一人の為に歌う歌です…」


 何だその宣言…いきなり客置いてきぼり宣言したと思ったら歌い始めた…その歌も何か教習所でよく聴くやつ…あぁ…償いみたいな曲…しかも泣きながら…


 そのまま2曲目に入る…今度は…あぁ木村楓…カエデって懐かしい曲だな。

 これまた泣きながらサヨナラって言ってる。

 俺達や工事関係者、近所の人は何を見させられてるんだろう…


 これからタツのスピーチやんのかって思ったら気が滅入る…そして案の定やった…目眩がする。



『たい○にん♪たいま○ん♫きょ〜からぁきみもたいまにん♬』



 名曲の終わり頃に混ざる様にフェードインして来た、変な不況和音流れるラジカセとパイプ椅子と小さいテーブルを持って入ってくる妻…


 最早廃人にしか見えないアイドルのメイプルさんを座らせテーブルにあの汚ぇコケシを起き、メイプルさんの向かい側に座りタツが叫ぶ。


「さぁ始まりました。NTR耐久卿によるNTR耐久討論。本日のお題はざまぁと再構築について。おいクソイカ、音楽はアメイジングスメルで!」




 ……………………………意味わかんねぇ。



 何か急にタツがメイプルさんに向かって話し始めたか途中で散華がトイレ行きたいとか言うからステージ横の簡易トイレに連れて行った。


 しかしタツ…何かいつものNTR耐久卿とか言う人達の言葉を使ってメイプルさんを責めたと思ったらウンコしたいから終わりと言ってトイレに行った…ドア開けっ放しでトイレしていた散華を無視して中に入って行った。


 バァンッ! 


 今度はメイプルさんが帰っていった控室から勢い良く飛び出して来たサトル。

 目がイッてるな、何であんな薬でもやった人みたいな目になっているのか…

 壇上に向かってズンズン進んでいくサトル。

 サトルがマイクを握りしめた瞬間にゲロまみれのメイプルさんが控室から出てきた。



 こんだけ長い事持たせてこの人達は何をやっているのか…


『クソったれ!ウンコしてぇっ!おい!俺のやっていた音楽ハードコア!俺の肛門もうだめだっ!クソイカ!激しいやつ、頼むッ!』


『ザドルざんっ!おねがいだがらっ!おいでがないでぇっ!』


 俺の元カノの事をクソイカと呼び、自分の元カノはゲロまみれで這ってサトルに近付いていく…。


 これは…親友とまで言われたなら止めた方が良いんだろうな…


「サトル、ぶっ壊れてねぇか?」


 ネトもこう言ってる事だし、マイクを持ちながら意味不明な事を叫び続け、タツのいるトイレに向かっていくサトルを止めた。


『寝取られたくないなら彼女何か作らなきゃ良いだけだ!ウンコしてぇだけなら家に籠ってりゃ良いだけだ!』


「待て、サトル、落ち着け、な?」


『ヒロ!お前はヒロ!広々した家でくつろぐ俺にお前はこう言った!全てを焼き付けろ!見つけろ!俺だけのチャンピオンローッ!』


 全然何いってんのか分からない叫びに俺は「落ち着け」と言ったが、いきなりスマホを大音量で見せつけて来た。


【♥んっ♥ぁは♥好きぃ♥愛してるよ司♥もっと激しくッ!♥ツカサァッ♥】


 流したのはサトルが寝取られ現場の録画…そのスマホは俺があげたスマホだ…


『イヤアアアアアアアアッッッ!!!』


 泣き叫ぶメイプルさん…そりゃ楓さんならそうだろうな…だって…


 なんつーもん流すんだ…ここには300人近い人が集まっているのに…木村建設の偉い人もいるのに…


【ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙♥♥♥】


 パンッパンッパンッパンッパン


 スマホを俺のYシャツの胸ポケットに放り込んだ、大音量で行為中の音を垂れ流しながら…


『感謝!感謝!大親友マジ顔射!お前は妻の運転者!今夜の相手は敗北者!それはヒロで決まりだヨッシャ!そこで指くわえて黙って見とけや!』


 バシーンっ!っと辞表を何故か俺に叩きつけて、ネトに何か言って、近寄って行ったメイプルさんに何か言った後弾き飛ばし、タツと散華のいるトイレの前に行った。





 まぁ…なんだ…結局…俺は何も出来なかった…落ち着けと言って立ち尽くすのみ。

 意味が分からなすぎて…ただ…敗北感だけはあった。

 一ミリも悔しい要素は無い筈なのに…何故か悔しかったんだ。






※コメント返しや他の先生にコメント返ししたいですが時間が…とりあえず勢いのまま更新していきます。フォローが増えては減るいつもの時間になってまいりました!

 


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