高校卒業して7年、俺のNTRは義務教育なのか?
時間が経つのは早い。いつだってそう。
楽しい時間が速い訳では無い、忙しいと速い。
つまらない日常も社会に出ればあっという間で、間もなく俺は25になる。
高校卒業して2年で先輩のアカネさんにフラレて、カエデと付き合って別れて海外に行って2年、海外から帰ってきて、廃人カエデを実家に放り込み2年。
俺はあの後、半年でその時の現場が終わるので、実家の仕事を辞める=木村建設と縁を切って昔のカスタマーセンターのバイトに戻ろうと思っていた。
仕事とはいえ海外に行って分かった。
俺は環境を変えても成長しないし安定もしない。
ちゃんとした仕事をしてみて分かった。
人を管理するのに向いていない。
だから辞めようと…辞めようと思ったのに…
『頼む!これは楓の件とは関係無く!木村建設の役員として頭を下げている!残ってください!お願いします!』
楓の親父さんに土下座された。
大手企業の役員さんが、俺の如き小企業の倅に頭下げる意味が分からない。
どちらかと言うと俺は問題行動が多かった。
しかし世の中不思議なもので…
『何?騒音問題?根多組の女社長呼んできてくれ』
『明日までに解体しないといけない?よし、根多組の女社長を呼んでくれ』
『何かガスが出た?よし、根多組の女社長呼んでくれ』
『地元の暴力団が来た?よし、根多組の…』
何でもかんでもタツにやらせた。
最後のは地元の元武闘派ヤクザが母体なんだから何とかしてくれと思ったが…
まぁしかし、俺にも言い分がある。
タツがあまりに仕事をサボるからだ。
子供に乳やるならまだ良い。
壁に向かってずっと立っているから何やってんのかと思ったらずっとスマホのゲームやってて、ふざけんなお前って声かけたらウンコ漏れそうとかいうから早く仮設トイレ行けと言ったら隣のビルの男子トイレで漏らした。
コケシ忘れたからこれは事故とかぬかし、お前んところの作業員どうなっているんだと言われ、俺は隣のビルのオーナーに土下座。
ヒロにバレないように給料をグ◯グルポ◯ントにしろとか意味不明な上奏文を木村建設に送る。俺が本社に謝る。
タツの子供がいるテントにトラックがバックで突っ込んだ。それも運転していたのはタツ…テントから跳ねる様に飛び出した1歳ぐらいの赤ちゃん…
『大丈夫だよ、散華はチ◯コより硬いから…』
それを見ていた近所の人が動画で撮っていた。
コンプライアンスはどうなっているのかと。
俺はタツに硬いと言うエビデンスを出せと言ったら肉五郎チェーンの海老田は〜みたいな話をした。
俺は近所の公民館で土下座した。
どうしょうもないと思い、ヒロにチクったら古いベンツでタツをノーブレーキで轢いた。またコンプライアンスだ。
別の時はヒロにタツが襲いかかりセ◯クス★イン★ザ★工事現場【昼】
つまりコンプライアンスだ。
ムカついたからヒロを呼ぶのをやめてガス濃度を検査機で測れない深さの穴に紐だけつけて落とした、カナリヤ、いやタツリヤだ。
ガスが濃ゆいとタツが穴から紐をつたって『何か臭い!殺す気か!?』とか騒ぐ。危険だ。
団地を潰してショッピングモールとマンション作るって工事がどう考えても納期が間に合わないからヤベェと思ってたら、根多建設の爺さんが『タツちゃんは音も無くコンクリを粉砕する』とか言うからグ◯グルポ◯ントを餌に、夜中にやらしてみたら団地三棟を一晩で音も無く全てのコンクリや建材を拳大の大きさに粉砕してた。
結果、納期が大幅に短縮した。
求人広告になんか適当な写真持って来いと言うから、借金をカタに巨大なオニギリを嬉しそうに頬張りながら子供に乳をあげてるタツを盗撮し、使うならアイドルと言う単語を入れろと言うタツの意見を無視して『赤子にオニギリ直輸入、残りはクソ』と、半ばヤケクソな煽りを入れて出したら凄い反響があった。
筋肉がカンガルーみてぇな、見た目それなりに綺麗な女がヘルメット、おにぎり、赤子と言う目茶苦茶なバランスがウケたらしい。
タツがキレていたが借金額(ヒロに内緒で給料前借り)を帳消しにすると言ったら渋々引き下がった。
それらが全て俺の業績になった…というか結果だけ見れば、少し?コンプラ的な問題は起きるが危険な作業をあっさりと解決し、鬼の速度で解体し、広告に出せば女の従業員が増えた。
俺はただのお荷物だった根多建設をスーパー事務所に変えた男になった。
本当に…真面目にやっている皆さんに申し訳ない。
そう、間違えた過程での結果、その高評価に死にてぇ…
そんなスーパー現場監督の俺は私生活もスーパーだ。
何だか何やっているのか全く分からない真田の妹、寧々子ちゃんと数回デートした。
仕事帰りに食事に行ったりした、たまにタツもいたけど。
寧々子ちゃんは早口でよく喋る。
倍速でウィキ◯ディアみたいな事をペラペラ喋りながら歩く女の子だ。
一度公園で良い雰囲気になった事がある。
その時にいきなり光ったと思ったら何か、赤黒い魔法少女みたいなコスプレをされた。
『私を愛しているならこの管を鼻に入れて欲しい…』
ヘンテコな格好で上目遣いで言われたが、その管の根元がケツだ。
寧々子ちゃんの後のトイレはガス室だ、それにタツから聞いた。
『アイツ、付き合う最終試験はウ◯コ鼻に突っ込んでくるぞ』
俺は普通の人だ…だから、無理。
俺は言った。
『ゴメンネ、俺には出来ない…もっと素晴らしい人が寧々子ちゃんにはいるさ…』
あのウ◯コ鼻に突っ込まれるとかマジで勘弁。
『悟さん…優しさは時に毒ですよ…』
俺は毒は君のウ◯コと言いかけてやめた。
その話をしたら『毒はネコのウ◯コ』とタツが言った為、コイツと同じ感想は嫌だと思った。
そうそう、アカネさんと偶然あったな。
『久しぶり、楓と寄りを戻したんだって?』
『戻したけど浮気して別れたら死んだ、でも浮気されたから別にどうでも良い。子供出来なくて良かったわ、本当に、子供できなくてハッピーだわ』
『え?あ…そう…』
たっぷり皮肉を込めて言ってみた。
それから連絡取ってないし、再構築なんて1ミリも思わない。
だって何だよハッピーって。宗教でもねぇ、ただの自己啓発、馬鹿か?
タツに言ったら『凄い地味なざまぁ…雑魚いへたれ』と哀れみの目で見られた…別にざまぁとかどうでも良いし…
そして今、俺のブームはメイプルちゃんと言う木村グループの抱える現場向けの変なアイドル。
タツがちょっと流行った時に(業者内のみ)広告塔が必要だとなって、タツにやれと言ったらアイドルは薬漬けになると言う意味不明な理由で嫌がる為、外部から入れたらしい。
普段、動画やホームページでは3Dの変なレースクイーンみたいな格好のエスニックな褐色の女の子で、たまに実写になったと思ったらマスクしてコスプレして出てくる広告塔だ。
実写版は見た感じ褐色で目の色が微妙に青い。
何か東南アジア系かなんかのハーフらしい。
「木山さん、こんにちは!お仕事どうですか?」
このアイドル、普段は仕事のアプリでAIがテンプレを返すだけだが、現場で働く人は誰でも予約すればキムラ建設のメットを被ってマスクした実写版メイプルちゃんとお話が出来る。
「メイプルちゃん、聞いてよ〜今日もタツがさぁ〜」
「あらあら、大変ですねぇ!そんな木山さんにチュッ♥」
フゥーッ!サイコーッ!
「メイプルちゃん、あれやってよ!アレ!」
「分かりました!応援してますよ!頑張って下さいね!サトルさん♥大好きだよ♥チュッ♥」
「うん!午後も頑張るぞ!」
そう、従業員の名簿を見てか知らんが名前で呼んでくれる。そして投げキッス…だからどうしたと言われるかも知れないが、推し活なんてそんなもんだろう?
今の俺は暇過ぎてこれぐらいしか楽しみがねぇんだ。
そんな俺を、横でタツが死んだ目で見ている。
見てんじゃねーよ、人妻クソ野郎。
「AIのアイドル?…時代…か…元カノの事、悪く言えないな…ふぅ…」
「良いから早く現場戻るか、乳やりに行け」
何がだよ、お前の提唱する尻穴にコケシいれる時代は死んでも来ないから安心しろ。
そんなに平凡…なのか知らんが毎日で、来週には今建てているビルが完成する。
俺はこれが建ったら今度こそ辞めようと思う。
メイプルちゃんには悪いがもう無理、飽きた…いや、疲れた。
施工完了記念で俺とMVPの職人がスピーチする事になっているが、辞めるならスピーチをタツにさせようと思う。
俺なりのざまぁだ。何故ならアイツは仕事をしないからだ。
メイプルちゃんも来るらしい。だからメイプルちゃんも見れて、仕事も辞めれて、タツにざまぁ。
最高のフィナーレだな。最高だ。
人見知りのタツも現場作業員しかいないから喋れるだろう。
まぁ木村建設の重役も何人か来るから、タツが問題起こす=それで責任取って辞めよう。
その完成披露3日前にメイプルちゃんと顔合わせがあった。サイコーじゃん?
本社ビルなので無論、タツはいない。
「はじめましてー!いや、違うな、何度も予約取ってすいません!木山デザインの出向で来ている木山悟です!明後日はよろしくお願いしやす!」
メイプルちゃんはヒラヒラの付いた制服っぽいビキニのコスプレで現れた。サイコーじゃん?
「は、はじめまして!げんばのアイドル!メイプルで、でぇーす♥名前は、き、木村・メイプルッドと言いまぁす♥」
胸でハートのマークを作って笑うメイプルちゃん、リアルだとたどたどしいし台詞、まだ未成年らしいが控えめに言ってもサイコーじゃん?
「なかなか複雑でして…楓さんの事で木山さんの話は…実は聞いていて…」
バレてるんか…キツいなそれは。
何やらメイプルちゃんは楓の親父さんの親戚らしい、つまり楓と親戚か、てか親戚外人なのか?
それからメイプルちゃんに現場の仕事について色々聞かれた。
タツの事は隠し、話を盛りに盛って話した。
まるでプ■ジェクトXか、プ■フェッショナルと思わせる語り口で建設現場の話をした。
「た、大変なんですねぇ…でも!でも私、実はですね…実は…」
「何ですか?」
実は俺の事好きとかじゃねぇかなぁと想像したが、アプリでちょい喋ったぐらいで惚れられるならWEB小説で食っていけるぐらいの奇跡だ。
そんな訳ねぇ(笑)
「実は…木山さんの下で現場監督見習いやるんですよ!な、なのでよろしくお願い…したいと思いますッス!」
「はい?」
「いえいえ、実際の現場体験を動画にしてですね?建設現場とは?と言う感じで…」
「え?あ、そうなの?でも、俺、この現場で辞めるけど?」
「はい?な、何で?」
「いや、飽き…じゃなくてもうやる事やったから次の夢に向かおうかな…と」
無意味に格好つけてみた…メイプルちゃん…アプリで推し活していたが、いざ下に付くとなると面倒くさそうだ。
「や、やめないでくだしぃっ!」
「いや、可愛い娘と一緒に働けるなんて夢見たいだけどもう良いかなって…いや、でも辞めても応援してるよ?」
「そ!?そんなぁ…」
メッチャ凹まれた…何か慰めつつその場は終わり、施工記念当日…タツがヤバい。
「何でそんな格好なんだ?」
何かスクール水着に着圧タイツでゴム長のブーツと手袋、現場作業員の鑑…じゃねぇ、水着はやめろ。
その上から肩パッド入れたダブルのジャケットを着て登場した…拡声器を持って…何か変な紙の束を持って…
「いよいよ現場のアイドルとNTR耐久卿のプロパガンダかなと思ってな…」
まぁ辞めるからどうでも良いか、メイプルちゃんにも良い刺激に…ならねぇな…コレは。
※何かプロットが…プロットが酷い…と思いながら次はカエデ編です。それが終わったらやっとコメント欄に入れる…入れる?
ちょっと改稿するかもです。
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