第4話 臆する土岐頼芸(ときよりのり)
「
山本数馬は
ふと気が付くと
何よりも
「とりあえず、この道を上れば何かわかるのであろう」
山本数馬は代わり
どれほどの時が過ぎたのであろうか。急に開けたところに出た。どうやら山道はここまでのようだ。
だだっ広く明るくて、白い何もない空間だった。振り返れば山道は消えていた。もはや後戻りはできない。山本数馬は白い空間をひたすら前に進む。
前方に見たことのない奇妙な形の銀色の建物が見えた。そしてその手前には、こちらはどこか見覚えのある立派な身なりの若い武士が立っていた。こちらを見つめてほっとしたように微笑んだ。
「数馬! よう参った! また会えて
「み、
土岐美濃守
「よさぬか」
土岐頼芸が止めた。
「しかし」
「ここは
土岐頼芸は深々と頭を下げた。
「美濃守様! いえ、殿!
「しかし、数馬よ。随分と
「殿こそ、元服したばかりのようでございますな」
「よう言うわ。あの険しき黄泉路の山道。
「誠にありがたきことにて」
思わず合掌して
「「はははははは!」」
二人は気持ち良さげに笑い合った。
「では参ろうか。この先に
土岐頼芸はそう言ったものの
「ところで殿は深芳野様にはお会いになりましたので?」
「まだだ。儂だけ先に会うもそちに
それを聞いて山本数馬の顔色が変わった。
「殿!
「言うな。分かっておる。分かってはおるのだ」
思わず顔を
「はあ。さては
「
土岐頼芸が声を荒げれば山本数馬も声が自然と大きくなる。
「慎重も度を過ぎれば
「決まっておろう! 前世で散々苦労を重ねさせておきながら、この先またもや儂の我儘に付き合わせるのだ。
段々と声が小さくなる土岐頼芸を見て山本数馬は
「ふう。
「数馬ぁ」
山本数馬はべそをかきながら
「さあ、殿。もう逃げも隠れもできませぬぞ。まずは堂々と会いましょうぞ。それから後の事は深芳野様達次第でござろう。謝るべき事には素直に謝るのが
「で、であるか」
「ささっ。
「うむ」
「「御免!」」
土岐頼芸と山本数馬の主従は全力で大きな扉を押し開けた。その中に待っていたのは・・・・・・
「「遅いぞ! このたわけどもがあああああっ!」」
パシーン!!
パシーン!!
「ぷげえええええっ!」
「うおおおおおおおっ!!」
「「「「反省せい!!!!」」」」
パシパシパシパシバシバシペシペシ
ビシバシガシガシバチバチパンパン
甲高い声で怒鳴りつけ、いきなり尻を竹刀で力一杯叩いたかと思えば、ところ構わず一方的に竹刀を叩きつけてリンチを仕掛けてくる集団だった。まさしく袋叩きだ。
「糞ッ!
「無礼者! 貴様ら何者だ!」
竹刀攻撃の手がようやく止まったところで土岐頼芸と山本数馬が顔を上げた。そこにいたのは、肩に竹刀を担いで二人を見下ろす、紫色の特攻服に鉢巻、胸はチューブトップというまるで80年代のヤンキーのような四人の女性だった。しかも顔面にはご丁寧にもグレート・△タやアジャ・コ▷グ、ジョーカー、デーモ▷木暮などのようなペイントまでしている。
「おっとこの顔じゃあわかんないか」
その一人グレート・△タもどきが、さっと顔を
「「あなたは!」」
「弁財天、参上!
「「なんじゃそりゃあああ?????」」
つづく
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