スターマーカー
パリ 1区
オフィス スターマーカー
オフィスには数え切れないほど部屋があり、どこから入ればいいのかわからないまま迷っていると、スタッフのような人が僕に優しく話しかけてくれた。
「アントワーヌさん、?ですよね?今日から新しく入る方ですね!」
「はい!そうです、!実は部屋がどこかわかんなくて………教えてくださいませんか?」
「アントワーヌさんのお部屋は1番奥の部屋ですね!紙に名前が書いてありますのでそれをご確認ください!マネージャーがまもなく参りますので、お待ちくださいね!」
「ありがとうございます。」
こんなに緊張してるのが馬鹿馬鹿しいくらいに、そのスタッフさんは淡々とした説明と口調を披露してみせた。
「あの人、すっげえな。俺よりタレントらしいというか芸能人らしいというか、なんというか………とにかく、緊張なんてしてらんねえってことだよな、」
コンコン
念の為に、一応3回だけドアをコンコンと叩いてノックをしてみた。しかし、部屋には本当に誰もいないのか人の声は一切聞こえず、俺は少しの安心感に浸りながらそのドアを開いた。
「いたって普通の待機場所みたいだな。白いテーブルの上に、お菓子、ソファーもついてる。」
よく聞くタイプのイメージしていた楽屋。待機場所。有名事務所なため、これよりもっとゴージャスな楽屋も多く存在するらしい。が、あいにく俺はまだまだ新米のデビュー前のタレント。いわば一般人。
だからこその、普通の部屋。
コンコンコンッ
「うわっ!」
「おっ、!すいません!」
「いえいえ、僕が悪いんです。」
ドアの前で突っ立っていたせいで、マネージャーさんが開いたドアに大袈裟な反応をしてしまった。
「変なところで突っ立っててすいませんでした………」
「はは笑大丈夫ですよ。全然。最初はみんな緊張でおかしな行動をするものです。」
顔が一瞬炎によって燃え上がったのを感じた。恥ずかしさで緊張すらもはや飛びそう。
「ということで今日からよろしくお願いします!アントワーヌさんの専属マネージャーになりました、モンシニといいます!」
「アントワーヌです、これからお願いします!」
「はい、ありがとうございます。それでは、早速なんですが………この事務所のシステムについて説明させていただきます!」
「お願いしますっ。」
いよいよ、そんな気がして唾を慎重に飲み込んでメモとペンを用意した。
「アントワーヌさんの活躍の場を作るためには、ご自身でオーディションに出てもらう必要があります。」
「そしてちょうど今役を募集しているステージがありまして。それに、アントワーヌさんは挑戦していただきたいです。」
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