パリで1番有名な香水
「私ならではの香水です。」
ステージ上で透明なボトルが照明の光で輝いていた。その透明なボトルをジャンヌさんがルイ・ウィートンへと手渡すと、ルイ・ウィートンはその中に入っている水をじっと観察していた。
「これが、ジャンヌの香水か。怒ってすまなかった。もう少し話を聞けばよかったな。」
「いいえ、私が甘かったんです。ですがどうか、私の香水の匂いをチェックしてください」
「わかりました。」
ボトルの中に入った液体は目では見ることが難しいほどの小さな水滴となって出てくる。ルイ・ウィートンはそれを頭から思いっきり被った。
「なんだこれ、この匂いはっ!」
「私はこの時、ジャンヌの作った香水に驚愕した。一瞬、優しさが吹いた。その甘い香りは華やかな花を脳裏にイメージさせた。しかし、この香水はそれだけで終わらずにその後にやってきたのはフルーティな大人の香りだった。」
「ジャンヌの作った香りこそ、まさに私の理想だった。」
「これ、本当に君が………?」
「え、ええ………どうでしょう、?」
「ジュピター、ジャンヌ。今すぐこの香水を市場に売ろう。これは、爆発するぞ!」
「え!?本当ですか?私の香水が、そんなに、」
「凄いなんてものじゃない、この香りはなんなんだ!教えてくれ!」
「私のおじいちゃんが趣味で、花を育てているんです。今回の匂いは、私が昔から好きだった二つの花です。名前はローズ・ド・メイ、それとジャスミンです。」
「わかったぞ、花だ!花を育てよう、それが1番の近道だ。」
「この香りはエッセンシャルオイルと言われる、花の芳香物質です。花を育てれば摂ることができると思います。」
「これならば………」
「私はそれからというもの、エッセンシャルオイルを使って、さらなる香水を作ろうと努力した。そうして遂に市場に出された香水こそが、私達が成功することのできた、最初の香水である。」
ルイ・ウィートンが手に持っていたもの、それこそが俺が今日の朝に使った香水と全く同じものだった。
ガラスの中で透き通った液体が光と共に踊って綺麗に輝いていた。あの時のきらめきは全てこの3人が作ったものなんだ、きっと。
「私たちはパリの街でこれを売ったのです。来る日も来る日もいつだって買われていくのは大きな店が構える父の香水でした。しかし、その日は違った。この香水を試しに使ってみた人々はみなが驚いた形相をした、喜んだ顔をしてくれた。」
「涙が出そうだ。本当に、こんなに買ってもらえるなんて………」
「ルイ・ウィートンさん、あなたは天才だ!」こんな声をあげる人が1人、また1人とステージ上に増えていき、やがて最後の1人が香水を手にとったその時、香水は完売を果たした。
「私はその日帰ってから、2人に感謝を伝えました。何度言っても感謝の言葉は足りません。私の夢を叶えてくれた2人ですから。」
「そうしてここから、私たちの会社には多くの人々が入社を希望するようになり、さらなる香水の進化が望めるようになりました。」
「信じられますか?今まで未来もろくにわからなかった私が、今はこうやってパリのスターとして皆さんの前に立っているんです、人生は何があるかわかりませんね。」
「しかし、何かをしなければ何も始まらないのは誰にだって同じなのです。人生何があるかわからないと言って人生を放置していてはもったいないのです。もし少しでもやりたいことがあるならば、夢があるならば、」
「私の香水をつけて大人になった気で、全力で挑んでください。」
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