かっこつけたかっただけ
家の鍵の輪っかの部分に指をはめてぐるぐると回すとまるで旋風のようだ。そんなどうでもよいことを考えているとあっという間に教室の前についた。
「おっっ!!」いつもの挨拶を学校に響く勢いの大声で言おうとすると、肩をぽんぽんと叩かれて喉に声が途端に引っかかった
「アントワーヌくん、おはよ、!」
「お、わっ!!マリンちゃん……」
振り向くとそこには俺の好きなマリンがいた。
違う…違う!こんなんじゃない、なんで「ちゃん」なんてつけてんだ俺!!今日の朝の時のイメージでは呼び捨てしてたのに…もっとかっこつけろよ俺!!
「どうしたの?なんか、、あった?」
「…なんか今日の格好おしゃれだよね!あ、あと髪も!」
「え!?あ、そう…?かなぁ。前髪とか結構気をつけたんだ。ありがとう」
今日の服装は寒い今の季節に合わせたベージュ色の服にしてきた。母によれば季節に合わせた色の服がいいらしいけど、まさか本当に効果があるなんて思っていなかった…!
たまにはいいことするじゃん…あいつ。
いつもタイミング悪いくせに。
「その髪、最近流行ってるよね!前髪を目にかかんないように斜めにするやつ…名前わかんないけど、似合ってる、と思う!」
「あり、がと。」
ばか、ばかばかばか!ほんっとばか!なんで照れてんだよ俺!イメージではここでクールに振る舞う予定だっただろうが…。俺のばか!
「あ、ごめんじゃあ行くね!バイバイ!」
「あ、おう。バイバイ」
はぁ…今日の俺、実はものすごくダサくねえか。。なんでこんなにマリンの前だと上手くいかねえんだよ。もっと簡単にイメージ通りになればいいのに。
あれ、、そういえばそろそろ朝のホームルームじゃん!行かないと!
マリンは俺とは別のクラス、Aクラスに急ぎ足で入っていった。もちろん俺のBクラスも同じ時間のホームルームだから俺は急いで教室に入った。
「アントワーヌ!急いで座りなさーい。遅いですよ。」
「すいません、アーベル先生。」
「早くバックを置いて、今日は検査がありますからね。言っておいたはずです。」
「検査?」
「この学校は古い学校ですから服装などには厳しいんです。ほら、チェックしますよ」
「え!?きょ、今日ですか!」
「何言ってんだよあいつw」
「アントワーヌ忘れてたのかなw」
「ほら、すぐ済みますから近くに来なさい」
机の狭い間を体を上手く使ってゆっくり通ってまもなく先生の近くにたどり着いた。
やべえ…やべえ。おじさん言ってたよな、香水バレたらまずいって!!頼む、バレるな。。バレてもあんまり怒られませんように!!
「服装はOK……この匂いは何?アントワーヌっ!」
「げっ!!バレた。。」
「この匂いはなんだって聞いてるんです!」
「あいつ香水つけてきたの!?やばw」
「なんか高級なやつです……」
「俺が待つ授業の成績は今日からアントワーヌだけ0にします。わかったね?」
「はぁ!!?それはダメだよ先生!」
「いいから、戻りなさい。」
「そんなぁ………」
最悪最低、終わったよ。あの先生、香水にめっちゃ厳しいじゃん、!
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