第7話政府軍

パンプの要求でシナモンはカルツ達と別れ

血の池へ向かう事となった。


「ちょっと待ってください!」

パンプが出発しようとするシナモンを

呼び止める。

「もしかして、車で行くつもりですか?」

シナモンはレッドスカートの重装甲車を

指差す。

「さっき、許可を下ろしてきた」

パンプが首を振る。

「駄目です!再生能力を高くする訓練でも

あるんです。

車なんか頼ったら駄目です!しかも

あんな重装備の車…あれだけで戦いが成立

するじゃあないですか!」

じゃあどうするんだ?とシナモンが手を

上げる。

「大砲を使って向かってもらいます」

シナモンは言葉の意味が理解できず首を傾げた。

「え〜つまりですね、大砲から発射して

その風圧と勢いで向かってもらいます。

大砲の力だけで向かってください!

一歩も足を使ってはいけません

それでこれをつけてください」

パンプはカボチャのストラップがついた脚絆を差し出した。

「これは足が地面に四回連続でつく動作を

したら、下半身ごと吹き飛ぶ様にできてます。

そしてこの脚絆は一度爆破してもシナモンさんの再生と共に再生します。

もちろんもう一度爆発しますよ」

なんて酷い事を思いつくんだ、とシナモンは

顔が引き攣っている。

「マジかよ…まぁ、それだけしないと進化

しないわな。

オーケー付けるよ(こんなんで戦えるかな)」

シナモンは内心、心配だったがその気持ちを

抑え込み受け取った。

「つけたら僕の持ってる鍵で解くまで取れないので、頑張ってください!」

パンプから激励を受け、門の外へ出た。

門の外にカルツとブルースがいた。

「お、もう行くのか、頑張ってこいよ!」

「血のヌシを三枚おろしにしてやれ!」

シナモンは頷いた。

そした足をあげて脚絆をつける。

足を地面につけるとピッと音がして1と

マークが表示された。

「四回連続か…ヤバいな」

シナモンは自分のやっている事の厳しさに

気づいた。

「とにかく、大砲の風圧でいかないといけないのか、え〜とこの方角に向かえばいいのかな」

シナモンは荒れきった周りを見渡し、パンプがくれた地図を元に向かう。

(今連続で撃てるのは最高で三回か…

限界を超えるしかなさそうだな)

シナモンは地面に右手の大砲を向ける。

(腎臓と金玉で四回、連続で撃つ!)

シナモンは思い切り歯を食いしばる

そして、腎臓を一発撃った!

撃った瞬間にシナモンは空中に飛んだ

(一発で門を越えれるとは、知らなかった

が、もう一度!)

空中にまた、腎臓を放つ!

空を舞うジェットの様にシナモンの体が

飛ぶ。

シナモンは苦しそうにしている。

(やっぱり、腎臓二つの代償はデカい、

血が濁って状態が悪くなってきやがる…

次は金玉だ…)

かなり早い勢いで飛ぶシナモンはまた

もう一度、大砲を構える。

そして、撃つ!血の状態が悪くなったせいで

勢いが落ちてしまう。

そして空気抵抗により、ジェットの様だった

シナモンは徐々にツバメぐらいの速度に

落ちる。

(血が足りない…だが、ここで諦めない!)

シナモンは後の事を考えず金玉を空中に

撃つ!

勢い変わらず、シナモンは下へドンドン

落ちていく。

(やっぱり、金玉が先の方がよかった…)

シナモンは足がつかない様に頭から

地面に衝突した。

「いってぇぇぇッッッ…ハァ、撃つ臓器の

順番を考えねぇと…でも!四回撃てた…

これはかなりの進歩だ、この調子で

五回、六回と行くぞ!

その前に再生しない…と…」

シナモンは血液が足らず倒れてしまう。

(クソッ倒れちまった…まぁ、最初から

うまくいくわけないか…

…ん?なんだ、この音)

シナモンの近くから複数の走行音と話し声が

聞こえる。

(まさか…)

シナモンは倒れた体を無理やり起こす、

そして音の方向を向く。

そこにはブルースと同じぐらい大きいバイクを乗り回し、顔にガスマスクをつけ、

体に防護服をつけた集団がシナモンへ

向かってきた。

(政府の生き残りだ!!!!!)

政府はブルースカートの侵略で一度

崩壊したが、大統領だった男が一から

ブルースカート撲滅集団として国中から

無理矢理人を集めて作った集団だ。

だが、ただの人間の集まりなので

ブルースカートには遠く及んでいない

「いたぞ!あそこに死にかけの信者がいる!」

「殺せぇ!」「すぐに殺さず時間をかけろぉ!」

政府の連中がシナモンの周りを囲む

シナモンの被り物から信者と勘違いした様だ

「「元」お偉い方…俺は同胞だ。戦うつもりはない」

シナモンが訴えるが集団は聞く耳をもたない

「うるさぃ!汚れた信者め、お前の言う事など

聞くかぁ!」

そう言って一人のガスマスクの男が銃の

持ち手で殴りかかる。

シナモンは左手で受け止める。

「貴様ぁ!」殴りかかってきた男は激昂して

足を上げて踏みつけようとしてくる。

シナモンは大砲を男の腹に食い込み持ち上げた。そして頭から首の骨に響くように落とした。

まわりの男達から余裕の表情が消えて恐怖が露わになり、シナモンから離れていく

「だから、戦いたくないって言ったのに…

俺はお前らと同じだから。

これ以上はやめよう」

そうシナモンは言い聞かせるが誰も聞いていないようだ。そして集団は何かを決心し

何を思ったかシナモンに集団で襲いかかって

くる!

シナモンは動かない体を無理やり立たせた

(さすがに人間と言えど、このままじゃあ

やられる…しかたないか)

シナモンはその場で四歩歩いた。

鋭い閃光とキーンと耳鳴りが響き、

全員を巻き込んで爆発した。

シナモンは半身どころか体の4分の3が

消し飛び、意識を失った。

気がつくとシナモンの周りにはピンクの

肉塊とガスマスクの一部がボロボロになって

落ちている。

シナモンの体は再生しきってなく、

太ももまでしか再生されてなかった。

脚絆も太ももと一緒に再生していた。

「こんなに爆発が激しいとは…パンプ、俺を

殺す気かよ…

ていうか、本当に脚絆も再生してる…

どんな原理だよ」

シナモンはこの先が不安になりながら、

再生を待った。

(いや、チャンスじゃないか?

今体が再生している、いつものスピードで、

どうにかして再生を早められないか?)

シナモンは力んだり、激しく踏ん張ったり

したが、再生は普通のスピードだ。

逆に骨が太ももから突き出て再生が遅くなった。

「痛!ダメか…」

他にも食いしばったり、逆に脱力したり

したが、何も起きずに足が最後まで再生された。

「ハァ…そう上手くはいかないよな」

シナモンは立ち上がり間接を確かめ

もう一度、大砲を地面に向けた。

シナモンは腎臓、金玉に続き他の臓器を使い

少しずつ5回、6回と距離と回数を増やして

いった。

だが、やはり血液が足らなくなるので

3回以降は威力も落ちていく。

何回も何回もシナモンは地面に激突し

再生し、また落ちた。

そんな事を繰り返してくうちにシナモンは

とうとう、疲労の果てに倒れてしまった。



一方、ブルースとカルツは出発しようと

準備していた。

「杖だけでいいかな?」

「いいんじゃね、俺も持ってくもんないし」

準備という待機時間を二人は過ごす。

二人の部屋にパンプが押し入ってきた。

「ちょっと来てください!」

パンプに連れられて二人は大量の死体達が

待機している場所へ連れてかれた。

「聖母の死体を連れてくるのともう一つ

やってもらいたい事があります」

パンプは前々回倒した赤馬を指差す。

「あれを手懐けてもらいます」

パンプに二人は抗議する。

「いくら死体でも、無理だろ…

あんなじゃじゃ馬」

「一応俺が使役してるし、それじゃあだめ

なのか?」

パンプが赤馬に近づく、その瞬間

赤馬はパンプの頭を食いちぎった。

「えぇ!!!」カルツはびっくりして腰を抜かしている。

パンプは当たり前のように予備の頭をつけて

説明をする。

「このように、なんでも口に入れるので

危ないんですよ。それにせっかく集めた死体も結構たべられちゃってるし…

とにかくあれですね、カルツさんが飼い主

みたいなものですし、ちゃんと躾してくださいって事です」

カルツはまだ腰が抜けている。

「頭食べられたぞ!」カルツがブルースに訴える

「言ってなかったな、パンプはそうゆう奴だから」

説明にならない説明をした。

「まぁ、俺たちで手懐ければいいさ」

ブルースはフワーと宙に魔法で浮き、

赤馬に乗った。

「なんだ!全然おとなしいじゃないか!」

次の瞬間!馬の首が180度回転しブルースの

サンタ帽を噛んだ、そしてそのままブルースを吹っ飛ばした。

カルツが駆け寄る、「大丈夫か〜ブルース」

ブルースはしなしなの手で馬に中指を

立てた。

「乗る事もできねぇじゃん!」

パンプはやれやれと言った感じに赤馬に

近づく。

近くにいた死体の腕をちぎった。

「飼育の基本は餌付けですよ、

いきなり乗ったらそうなるでしょ」

赤馬は腕を受け取り、鼻を鳴らす。

そしてパンプが乗れるように膝を曲げた。

「ほら、こんな感じに」

ブルースはカチンときた。

「わかったやってやろうじゃねぇか!

カルツ、腕よこせ」

「嫌だよ、死体の使え」

ブルースはパンプと同じ様に腕をちぎり

赤馬にあげようとする。

赤馬はまたブルースのサンタ帽を噛んだ。

「それじゃない!」

そしてまた吹っ飛ばした。

「クソ馬が…」

カルツがブルースのあげそこねた腕を拾い、

赤馬に差し出した。

赤馬は腕を食べて膝を曲げた。

「全然いけたぞ」

ブルースは皮肉に笑いながら、

また立ち上がり、馬に近づいた。

「もう諦めろよ、お前は箒使えって」

ブルースは無視してまた腕をあげようと

死体に近づくと、今度は赤馬の蹴りを

喰らってしまった。

「もういいや…」ブルースは諦めて

箒に乗った。

カルツは鞍なしで赤馬を手懐けていた。

「それじゃあ、こいつに乗って行ってくるよ」

パンプに見送られ二人は出発した。




その頃シナモンは……

ガスマスクの男達に連れされていた。

荒野にいくつものテントが設置された

いわゆる野営地だ。

「コイツか、お前らか「環境省」チームを

壊滅させたのは…」

今では珍しい綺麗なスーツをきた男達が

シナモンを縛りつけた。

「起きろ!」スーツの男の一人がシナモンに

水をかける。

「うわぁ!ウヘッなんだ!」

スーツの男はシナモンの胸ぐら掴む

「なんだではない!信者の端くれが。

お前…環境省の奴らに何した!

どうしてあんな酷い事ができる!」

唾を撒き散らしながら男はシナモンに

詰め寄る!

「黙れ!役立たずの年寄り共!

お前らの仲間を殺ったのは、こっちが

殺されそうだったからだよ!

それに俺は信者じゃない!

ホワイトスカートだ!」

縛られながらもシナモンは強気に出る。

「ホワイトとでもブルーでも一緒だ!

とにかくお前は生かしてはおけない

それに国民を守るのが我々の仕事だ!

役立たずかもしれんが今ここでお前を

殺せば、少しは世界を取り戻す希望が見える!」

そう言って怒鳴っていた男はどこかへ行った。

「30分後、お前の処刑をする」

他の男達もどこかへいった。

シナモンは全員いなくなった事を見計らって

大砲で体ごと縄を打ち抜き、縄を解いた。

「やっぱり爪が甘いな、見張りをつければ

いいものを」

シナモンは男達の所へ向かった。

(もちろん大砲で)

テントしかない野営地だと思っていた

シナモンだったが、男達の行先には立派な

「国会議事堂」が建っていた。

「まだあんな綺麗な政府の建物があるとはな」

議事堂の中は武器庫になっていて、

勲章のつもりか何体か信者の死体が磔に

なっている。

そして以前討論などしていた中央広間には、

スーツの男達が話し合っている。

「総理!環境省を壊滅さした信者を連れて

きたぞ、今処刑の準備をしている。

処刑が終わったら「プレジデント ルーム」

の奴らに連絡しておけよ!」

総理と呼ばれた男は頷き銃を構えた。

「その前に迷子のクソ野郎の頭を

吹っ飛ばすか?」

銃口はシナモンを向いている。

「しまった!」シナモンは咄嗟に死角に入る。

「出てこい、お前の話が聞きたい」

シナモンは死角からゆっくり顔を出す。

「撃たないでくれ!俺は信者じゃない!」

シナモンは手を挙げて膝をついた。

総理は銃を投げ捨てた。

「銃を向けたままじゃあ緊張するだろう

さぁ話したまえ」

シナモンは自分はブルースカートの反逆

集団だと、環境省はあっちから攻撃してきた

から仕方なかったと、身の上を話した。

「反逆集団…興味深いな、「政府軍」以外に

いたとは、その話を詳しくしてくれ」

「総理!ソイツを信じるのですか!」

総理と呼ばれる男はスーツの内ポケットから

小銃を出し、素早く反論してきた男を

撃ち抜いた。

「お前らぁ!確認しずにこの方を処刑しようと

したのかぁ!

無能共がぁッッ!!」

総理の一喝でざわついた広間は鎮まりかえる。

「銃もってるじゃん」

「リスク回避だよ、それよりホワイトスカートやレッドスカートについて教えてくれ」

総理は興味深くシナモンを見る。

シナモンは今までに会った事

来年の九月頃には戦争が始まる事を話した。

「我々も協力できないか?

人間で力もないが少しは力になれる筈だ」

唐突な申し出にシナモンは戸惑った、

協力していいか、ダメかは、レッドスカート

総長のニッキが決めるからだ。

シナモンはいい事を思いついた。

「お前ら、血の池って知ってるか?」

唐突な質問に総理はたじろいだがすぐに

真面目に答えた。

「…知ってるとも、だが、それがどうした」

シナモンはニヤリと笑う。

「実はな、その池でやらないといけない事が

あって…それを手伝ってくれたら、

考えてもいいぞ。

その、協力したいっていう願い」

総理はそうゆう事なら、と了承し「総務省」

と呼ばれる軍隊を貸してくれた。

「政府軍の中でも上位の成績を持つ省だ。

コイツらを貸し出してやる…

だが、あまり死人を出すなよ、今は人間の

数が減ってきてるんだから」

シナモンは空返事をし、議事堂を後にした。

(血のヌシと戦う時、囮が欲しかったから

丁度いいや)

シナモンは総務省を捨て駒にする気満々

だった。

議事堂の外には、麻袋を被り、重装備を

している集団が待ち構えていた。

「お前らが総務省か…」

「そうであります!貴方様の為に命をはる所存であります!」

一人背の高い男がシナモンを誘導する。

「あ、ごめん、今俺普通に歩いたらこの辺が

なくなるからおんぶして」

何言ってんだ、とでも言わんばかりに

背の高い男は首を傾げたが、言われた通りに

シナモンをおんぶした。

「お前らってさ、ただの人間なのに、

ブルースカートとよくやり合おうと思うよな」

男は笑う。

「そうですね、普通は従う者が多いですね

でも、すべての国が包囲された今、

何もしないわけにはいきません。

それに…いや、なんでもありません」

「色んな事情があるもんだよな…

お前、名前は?」

男は少し黙った後口を開いた。

「ダニエル トマソンです」

シナモンは血の気が引いた。

トマソンはジャックの苗字だったからだ。

「へ、へぇ〜ち、ちなみにさ、弟か兄はいるか?できれば名前も教えてくれ」

急に動揺し始めたシナモンにダニエルは

不思議がったが質問に答えた。

「ジャックという弟が居ました…

でも、今は連絡がとれてません…」

シナモンは汗が沢山出てきた、

ジャックを殺したのはシナモンだからだ。

「なんでその事を聞くんです?」

ドキッッと体がびくついた。

「あ〜え〜と、なんとなくだ」

答えにならない応答にダニエルは、

不審感をもった。

「着きましたよ、降りてください」

ダニエルが連れてった場所は駐車場の様な

場所でそこには「スクールバス」があった。

「まさか、こんなんに乗っていくつもりか?」

ダニエルが当たり前とでも言う様にはい、と

言い切る。

「こんなに状態のいい車でしかも大人数で

乗れるんですよ。

贅沢品ですよ」

シナモンは顔が引き攣っていたが別にいいかと開き直った。

シナモンと総務省でスクールバスに乗り、

血の池へ向かった。




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青いスカートを履いた猫 死体集め編 KANA @kananananananana

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