第12話 猫と最後

ブロ共和国襲撃前

猫とシナモンが話している

「その大砲さ、どうゆう原理で弾出すんだ?」

猫はシナモンの大砲が気になるようだ

「この大砲は俺の臓器を固めて血圧から

発射するんだ」シナモンは大砲を抱える

「それじゃあ、三発くらい撃ったら

お前死ぬじゃん。あと血圧で撃つって威力

弱いだろ」猫が真顔でツッコむ。

「言ったろ改造されたって、俺の体は次の教祖

になるべく作られた体だ。

内臓を固めて固形物にして撃つ。

時間はかかるが体は再生するから永遠撃てる

だが一気に出しすぎると死ぬ

それと臓器を抜くわけだから心臓とか

撃ったら再生する前に死ぬ。

あと血管が大砲の点火部分と繋がっている

血圧と言っても健康診断とかの血圧じゃない

水を出すホースの真ん中を踏んで水を溜め

足を上げて一気に放出する感じと似ている

でも血液を大量に出すわけだから貧血になる」

猫はシナモンは戦うのも命がけだなと

思った。

「そんなんで戦えるのか?」

猫が心配になった。

「これだけリスクがあれば、それだけリターンがある。

例えば腎臓を片方撃つだけで二人は殺せる

それに臓器によって威力も具合も違う

大腸や小腸だと捕縛できるロープのように

使える」

猫はへーと相槌した。


現在

シナモンが教会の拷問部屋を打ち抜き 

兵士を殺した。

「猫っ!大丈…」シナモンは言葉が詰まった。

そこには顔の原型がなく、悲惨な状態の

猫が兵士に囲まれていた。

シナモンは何も言わず腎臓を兵士に構えた。

「おい!さっきの男だ!殺せぇ!」

兵士がシナモンに襲ってくる

シナモンは「弾」を変えた。

そして上に向かって発射した。

大量の血潮と共に出てきたのは「胃」だった。

胃は兵士達の真上で爆発し胃酸を振り撒いた

兵士達は酸をモロに浴びて苦しんでいる。

シナモンは苦しんでいる兵士の一人の腹に

膝蹴りをし、首に足を巻いて骨を折った。

もう一人には右手の大砲で勢いよく殴り

頭を割った。

最後の一人には目潰しをし、両手を踏んで

指を潰した。

「お前らは俺たちの事をどれだけ知ってる」

シナモンは聴取を始めた。

「言っても言わなくて死ぬんだ

何もいわねぇよ!」

兵士はシナモンに唾を吐く。

「そうか、じゃあ死に方は俺が選ばして

もらう」

シナモンは頭の割れた信者の首根っこを掴み

聴取中の兵士の口に近づけた。

「食い殺しだ」

兵士の頭から脳ミソが垂れてくる

兵士は口をがっしり締め拒んでいる

だがシナモンは兵士の顎を外した。

「言うんだったら、助けてやる

さぁ、言う気になったか?」

兵士の口に前頭葉が少し入った頃

兵士は首をブンブン前に振った。

シナモンは思い切り顎をガクンッと戻した。

「俺達の事知ってたな。どこで知った!め

シナモンはホワイトスカートの存在を

何故知っているか聞き出した。

「ハァ、ハァ最初から全部知っている。

お前やカボチャのガキは教団の重要人物だ

位置を知る方法がないと思ったか。

お前達の体には盗聴機とお前らの視点から

見える特殊なカメラがついている

全部見えていたぞ」

シナモンは兵士を放し頭を抱えた。

「全部!?全部だと!?俺はずっとあの男に

踊らされていたのか!」

兵士は煽るように喋る

「キャンプタワーに来た時はあの魔法使いの

せいで上手くいかなかった。

カボチャの頭が爆発したせいでカメラも

壊れたしな。

ゲルストは元々もう消すつもりだったし

ホワイトスカートの活躍はほぼ影響

していない!

よく四人で国滅ぼせると思ったな!

でも仲間の一人はいい奴だけどな」

兵士はニヤっとした

次の瞬間、2tトラックが部屋めがけて

突っ込んできた。

シナモンは避けたが片足が巻き込まれて

しまった。

「シナモンさ〜ん、ご無沙汰してま〜す」

煙を出すトラックから降りてきたのは

ジャックだった!

「ジャック!?お前なんで」

ジャックは小銃片手に近づいてくる。

「来るな!」シナモンは足の激痛に耐えながら

大砲を構えた。

ジャックは容赦なく潰れた足に弾を打ち込む

「ンックソっ!なんでだジャック!」

シナモンは悶えている。

「僕はただの一般人です。

別にブルースカートがどうなろうが

どうでもいい

今更出来上がった世界を変える事なんて

不可能なんですよ。

それに私は貴方に忠誠を誓った覚えはない

逆に貴方の事をずっと殺したかった…

脅されて、訳もわからず雑用雑用

シナモンさん…さようなら」

ジャックがシナモンの頭に銃口を向ける。

次の瞬間!ジャックが爆発四散した!

「一体さっきからなんなんだ!」

シナモンが叫ぶ。

だが、シナモンはチャンスだと思い

片足を千切り猫を抱え。ケンケンで要塞に戻ろうとした。

「いたぞー!」「殺してかまわん!」

兵士達が追ってくる。

シナモンの足はまだ再生しない。

(血液が足りない!これじゃあ、大砲が使えない)

後ろから銃声が響く。何弾か、シナモンの

肩、腹、右胸を撃ち抜く。

(肝臓と肺がやられた…このままじゃ、弾が

尽きる…)

シナモンは必死に走る。

「こっちだ!」黒い人影が路地に来いと指示

する

怪しすぎるがシナモンは藁にもすがる思い

で路地に隠れた。

兵士達は路地を通り過ぎていった。

「ハァ…ハァ…助かった…だが、お前は誰だ?」

シナモンがボロボロの体で戦闘体勢をとる。

「やめてくれよ、俺は教団第一部隊の

下っ端さ。

「カルツ」って名前だ。

お前らがどうゆう奴らかは知っている。

でも、どうこうしようってわけじゃない

協力してほしいんだ。

とにかく今はその猫?を助けるんだろ!」

ついて来い」

シナモンは首を振る。

「猫を助けないといけないが、要塞に行った方が安全なはずだ。

それに仲間が一人戦地にいる。

助けなければ…」

カルツは歩く事もままならないシナモンに

肩を貸す。

「要塞…あれか!あのデカいカボチャ!

あれ…さっき燃えているのが見えたぞ」

シナモンは跪く。

カルツが今まで耐えていたシナモンの精神に

トドメをさした。

「クソ!俺のせいだ…全部…俺のせいだ!

甘い考えで行動したせいで仲間がこんな事に」

シナモンは啜り泣く。

「おい!啜り泣く暇があるなら、

今できる事をしろ!とにかくこの猫は

早くしないと死ぬぞ!」

カルツがシナモンを叱る

「…あぁそうだな」

(ブルースは大丈夫なはずだがパンプが心配だ)

シナモンは猫を抱えてカルツについて行く

カルツは路地を抜けて、マンホールに

走って蓋を取った。

「早く入れ!」シナモンはマンホールの中に飛び込んだ。

そこには、人一人が暮らせそうな空間が

広がっていた。

「よっと!」カルツが蓋を閉め降りてきた。

「とにかく!その猫の手当だ!」

シナモンは藁と同じくらい薄い布団に

猫を寝かせた。

カルツは液体の入った瓶を数個と

包帯とナイフを取り出した。

カルツは猫の焦げた毛と皮膚を削り取り

そこに液体をかけた。

「もう遅いが残った酸をながさねぇと」

綺麗に洗った猫の顔を悲惨だった。

顔の皮膚から肩まで爛れ、まぶたは燃え尽き

眼球も黒く燻んでいた。

「これは、耳も片方やられてる。片方は

潰れてるし、こっちの目はもう見えてない

とにかくこれ以上悪くならないよう

手は尽くす」

シナモンは足と片肺が再生し落ち着いてきたようだ。

「なぁカルツ、お前は何者なんだ?」

カルツは猫に包帯を巻いている。

「さっき言った通り、ただの下っ端さ。

教団は変わっちまった。

今までは本拠地教祖が全て支配していたが

今はカボチャ派閥が半分の派閥を

支配している。

対立しているんだ。

このままじゃあ、世界を巻き込んだ大戦争になる。

だから、アンタらゲルストを潰したって

聞いて俺は希望を感じたんだ!

俺はアンタらに協力したい!

そして教団を潰したい!」

カルツは熱熱と語る。

「悪いが…俺たちでは力不足だ、小さな軍団

が世界を変えるのは…無理だ…」

シナモンはすっかり勢いを忘れている。

「大きな軍団にすればいい」

カルツがケロっと言う。

「そんな簡単行くわけないだろ

仲間をこれだけ集めれたのも奇跡みたいな

もんだし、それに全ての国が支配されてるんだ。

ブルースカートを倒そうなんて勧誘できない

それに俺には盗聴機が…盗聴機がある!」

シナモンは包帯を取り、頭の被り物、

そしてスカートを脱いだ。

「カルツ!どこだ!盗聴機とカメラはどこだ!」

シナモンは焦っている。

カルツはナイフを持った。

「カメラはお前の眼球だ。盗聴機はお前の

耳だ」

シナモンはナイフに近づく。

「どうせ再生するんだ!早く削いでくれ!」

カルツは息を呑み、ナイフではなく

スプーンを目の奥に入れる。

血管を切りながら右目、それから左目を

抜く。シナモンは必死にタオルを噛んで耐えた。

「次は耳だ」カルツがナイフで耳を削ぐ

一瞬で切ってもらいたいが

そうもいかない、ジリジリと激痛が襲う。

そして眼球と同じように右耳、左耳と削いでいった。

「終わったぞ」カルツは取り出した目と耳を

踏み潰す。

「これで見えないはずだ、シナモンこれ使え」

カルツはシナモンに包帯を渡す。

何も聞こえず見えないがシナモンは

冷静に傷に巻いた。


十分後…シナモンの全ての部位が再生した

「あーあー、よし聞こえる。

目も…見えてる。カルツ、助かったぜ

ありがとう」

シナモンは体の機能を確かめている

「いや…耳と目を取ったんだぞ。

もっと…そんな当たり前みたいに…」

カルツは少し引いているみたいだ。

「それより、さっき増やせば良いと言ったが

どう増やすって言うんだ?」

カルツは指を見せる。

指の一つに機械の指があった

「これは「腐体起こし」っていう装置だ。

名前の通り死体を呼び起こす。

そして起こした人間に従うんだ」

シナモンが興味深く指を見る。

「死体を部隊にするというのか?

なんでそんな強力なものもってるのに

一人で戦わないんだ?」

カルツは指を下水道に近づける。

指から紫の煙が出てきた。

すると下水の中から信者や一般人の死体が

起きてきた。

そしてカルツに近づく。

「自害しろ」死体が自ら心臓を手で貫き

また下水の中へ帰っていった。

「何してんだ?」シナモンがカルツに近づく

「俺に戦闘能力はない、死体を今みたいにに

動かす事しかできないんだ。

普通の兵士の死体をかき集めたところで

ブルースカートには勝てない

だから、教団の各教祖を殺して従える」

シナモンはなるほどと思った。

「わかったが教祖を殺す事は今は難しいぞ

要塞だってダメかもしれん。

それにお前こそ、大丈夫なのか?

第一部隊?とか言ってたがそこに捕まらないのか?」

カルツは石を蹴る。

「大丈夫ですよっと、下っ端の一人が消えたって誰も気がつきません。

あと…残念ですが猫さんは無理そうです」

シナモンがカルツの胸ぐらをつかむ

「無理そうってなんだ!

猫はどうなる!」シナモンは必死だ。

「片耳と両目、それと肩の神経もイカれてる

戦うどころか、生きてることが奇跡だ。

彼は…置いていこう…」

シナモンは言い返そうとしたが猫を見て

何も言えなかった。

「…ここに置いていく…か…」

シナモンは自分の無力感にイラついていた。

「せめて今…楽にしてやろう」

カルツは猫の脈を切った。

白いスカートは赤く染まった。

「さぁ…行かないと」

二人は行ってしまった。


猫の意識は別の所にあった。

「なんだ?ここは」

目の前に広がるのは、赤い空で赤い海があった

地面は人が重なってできている肉の床だった。

「俺は…そうだ!弟だ!弟に会ったんだ!

弟は生きている…俺も…俺が面倒見ないと」

猫は意識がハッキリしていくにつれ

体に激痛が響いた。

少しずつ顔の肉が腐り落ちていく

肩の力が抜け動かせなくなる。

口の中に火薬と血の味がする。

「なんでだ…お前はこんな事…俺のせい

俺のせいなのか」

猫は泣けない代わりに嗚咽をはく

「もう死のう…もう死んだ方がマシだ」

猫は赤い海が見える崖から飛び降りた。

海から飛び出る岩にぶつかり、そのまま海に

落ちた。

履いていた白いスカートは赤く染まった。



続く

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青いスカートを履いた猫 KANA @kananananananana

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