第11話 猫と罰

パンプの部屋に行った猫達

そこには見覚えのある何かがあった。


それは「鉤爪」だった。ただの鉤爪じゃなく

刃元から先端にかけて異常にくねっており

刃の長さは長く30センチはある。

「意外に早かったな、てか、本当にそのまんまだな。昔使ってたのと大差ない出来合いだ」

猫はパンプをベタ褒めした。

「へぇ〜それが昔のお前の武器か」

ブルースが興味深く鉤爪を見ている。

「あぁ、ブルースカートにいた頃にこれで

政府と戦ったものだ」

猫は鉤爪をつけた。

「銃相手に鉤爪か…どう戦うんだ?」

ブルースが怪しんでいる。

「お前、これがただの鉤爪と思っていたら

後悔するぞ」

そうゆうと猫は鉤爪を右手につけた。

そしてパンプの部屋の壁に右手を向けた。

「見とけよ」

その瞬間、鉤爪は勢いよく飛び壁に突き刺さった。

「あっだめ!」パンプが制止する。

制止虚しく鉤爪が爆発した。

「すげぇ!でも、壁に穴空いたぞ」

猫は驚いている。

「爆発した!?なんで!?」

パンプが言いにくそうな顔をした。

「え〜と、飛ぶだけじゃ弱いと思って

発射する爪を爆弾にしたんだ」

猫が元々使っていた物は爪を飛ばして

相手を刺し殺したり、鉤爪として

近接格闘したりとそんな使い方だった。

「パンプ…お前…」猫がパンプを睨む

パンプが縮こまる「勝手な事してごめ」

「ありがとう!爆発するなんて思いもしなかった。これでもっと戦いやすくなる」

パンプは予想と違う賞賛に戸惑っていた。

「なぁ、おまえの毛糸を飛ばすやつみたいに

名前はないのか」

ブルースが聞く。

「「トゥースブレイカー」だ。

相手の歯でさえスパッと切り裂く切れ味があると意味がある。

今は爆発するからもっと強くなったけどな!」

パンプが何か思い出したように走って何かを持ってきた。

「忘れてた!これ新しく試作してみたんだけど」パンプが持ってきたのはメタリックに

なり、コンパクトになった「CATちゃん」

だった。

「これは、猫さんのCATちゃん一号の戦い方を見て思いついて作ってみたんだ。

これは毛糸じゃなくピアノ線を出すんだ。

もちろん網にもどんな形にも変形して出せるけどね。名付けて「CATちゃん二号」だね」

猫の顔はほころぶ。

「おぉ〜パンプ、助かるよ!でも俺の武器ばっか作ってて大丈夫か?自分のは大丈夫か?」

パンプはよくぞ言ってくれたとでも言うように食い気味に答えた。

「そう!僕は今開発中の武器があるんだ!

猫さんの武器を作っててできなかったけど

2日以内には動作確認もできる。

実戦で今度こそ役にたってみせるよ!」

パンプはやる気に満ち溢れていた。

3人は解散しおのおの部屋に帰っていった。


2日後、朝の四時、「ブロ共和国」に着いた。

2日…いやずっと寝ずに仕事している

ジャックは死ぬように寝ていた。

シナモンは全員を起こし集まらせた。

猫は毛が逆立ち寝癖が酷かった。

パンプとブルースは眠たいようでうとうとしている。

「今からブロ共和国に入るが…大丈夫か?」

誰も集中して話を聞けていない。

シナモンは頭上に大砲を発射した。

爆音と瓦礫の落ちる音で皆の目が覚めた。

「はぁ…集中して聞いてくれ。初めての襲撃

なんだ、ここでミスれば終わりだぞ」

猫達は大砲の音で耳鳴りが酷く顔が歪んでいた。

「まず、真正面から移動要塞で宣戦布告し

パンプの捨て身カボチャを大量投下する。

ブロ共和国の門を破壊し捨て身カボチャ

の後ろをついていくようにブルースカートの

教会へ行く。

おのおの自分で考えて道中はバラける。

そして教会に着き、教祖を生け取りする。

これが今回の作戦だ」

猫達は真面目に聞き武器を準備した。

「パンプは爆撃する役だから今回、前線には来なくていい、猫とブルースは俺についてこい

状況によって指示を変える。

それじゃあ、始めるぞ!」

シナモンが声を上げ、パンプは操縦席に行った。

猫達は下の入り口から(捨て身カボチャが出てくるところの後ろ)から待機した。

「放出します!下がって下さい!」

その瞬間、約1000は超える捨て身カボチャが門に向かって突っ込んで行った。

「…」門の近くの人や兵士は黙っている。

そしてなすすべなく爆散していった。

「よし!俺達も突っ込むぞ!」

シナモンについていき崩れた門から

入っていった。

町には絶叫や悲鳴があがると思ったが

予想外に上がらない、逆に爆弾に

向かうような仕草だった。

「なんだここの住民は、顔が死んでるぞ」

ブルースが辺りを見渡した。

ブロ共和国は建物は数学の図形のように

平坦でつまらないものばかり

その中で他とは違い真っ黒で豪邸と言っても過言じゃない程の家があった。

「あれが教会だ!いくぞ!」

シナモンが指差した。

だが、捨て身カボチャで死んだはずの兵士が

こちらへ向かってくる

「やばい!思っていたよりタフだ!

ブルース、ここを頼めるか!」

ブルースは何も言わず了承し

先に行けと合図した。

猫とシナモンは教会内に入っていった。

教会の中は血みどろで所々から腐臭がする。だが人の気配は一つもない

「なんだ、もぬけの殻か」

猫が近くの頭蓋骨を蹴飛ばす。

「おかしいな、奇襲のつもりだったが、

バレてたのか?」

その瞬間猫達の上から液体が降ってきた。

そして猫は頭から被ってしまった。

シナモンは間一髪スカートに少しかかった

だけだった。

猫の耳、顔、首の毛が抜けていき、顔を

徐々に爛れていく。

猫達にかかったのは「酸」だった。

「あ、あぁぁぁぁ!」猫は酸をどうにかしようとするがもうどうしようもなかった。

「猫ーっ!!」シナモンが猫に近づく。

「やっぱり、舐めすぎなんですよ

最初から」

屋根の方から声がした。

その声はパンプによく似ていた。

「パンプが裏切ったのか!」シナモンが混乱

している。

「こ…の…声は」猫が死にそうな声で何か

つぶやく。

「猫!今は喋らなくていい!

絶対助けるからな!」

シナモンが猫を抱えて走っていく。

だが教会の出口は開かない。

「クッソ、どうする!」

扉にタックルなどするが効果はない。

「無駄ですよ、諦めてください」

パンプらしき人物がまた何かを始める。

猫が微かに右手を上げる

「猫!無理するな!」

猫は鉤爪を出口に発射した。

「は…な…れ…ろ」

その瞬間扉は大爆発した。

爆発の衝撃でシナモンは出口から外へ

吹っ飛び気を失った。

猫も意識を失い、パンプらしき人物に

どこかへ連れて行かれた。


後頭部を殴られ猫は目を覚ます。

目の前がぼやけてどこに誰がいるのかが

分からない。

「あ…あぁ…が」猫は酸で舌に穴が空き

声を出すにも激痛が走った。

ぼやけた視界が徐々にはっきりしていく。

目の前にいた人物は明らかにパンプでは

なかった。

顔と体に包帯を巻き、「猫と同じような」耳を持った小柄な何かだ。

そいつはキャンプタワーの改造人間と

よく似ていた。

「ようやく起きましたか、兄者」

そこに居たのは猫の弟だった。 

猫は目を疑った。

猫の弟は何年も前に廃棄されたはずなのに

何故生きているのか、猫は喋りたくても

喋れない口をモゴモゴさせながら弟に近づ

こうとした。

だが猫の体は椅子に固定されていた。

「暴れないでください兄者

僕だってこんな事したくありません。

でも、「失敗作」には消えてもらう必要が

あります」

弟は猫に非情な言葉を浴びせる。

「あなたは失敗作です。

自分の意思がある生物兵器なんて必要

ありませんから。

覚えてますか?あなたは私が死にそうに

なるといつも駆けつけた…

鬱陶しいんですよ!

あなたがいるせいで私の戦績は上がらず

すぐこっちに来るから役立たずと私は

捨てられた、でも生き返ったのです。

あなたを消せば、僕は教祖様に認められる。

ほら見てください!新しい体を!

カボチャ帝国と共同で作り上げた肉体を!」

猫は涙を出したかったが涙腺が焼けて

泣けなかった、そのかわりに呻いている。

「がっ、んっだ」猫の顔は悲しみに満ちている

「そんなにうめかないでください」

そうゆうと弟は弾丸を手のひらいっぱいに

握った。

そして猫の口を無理矢理開き弾丸を詰め込んだ。

猫が吐き出そうとした瞬間、

弟は思い切り猫の頬を蹴った。

弾丸にが猫の頬を通じて強い衝撃が与えられた。

だが何も起こらない。

「チッ威力が足りませんでしたか」

弟は猫の鉤爪を奪った。

「これで大丈夫でしょう」

弟は猫の頬に鉤爪を突き刺した。

次の瞬間、猫の口の中で弾丸が暴発し

口全体の肉が消し飛んだ。

「これで良しっ」弟が猫の口から鉤爪を抜こうとした次の瞬間、鉤爪が爆発した。

弟は吹っ飛び、猫は片耳が千切れ飛んだ。

「なん…で」弟は壁に頭を打ち気絶した。

死んだかと思われた猫はまだ生きていた

だが呼吸するのに一苦労な状態だ

遅かれ早かれ死ぬ確率は高いだろう。

爆発音に気付き、何人かの兵士が拷問部屋に

入ってきた。

「おい!32568号が倒れてるぞ!

失敗作にやられたのか!」

「それはない、コイツはもう死んでいる」

「やはりこのチビも使い物にならなかったか」

「よし、異常なし!帰るぞ」

兵士達は好き放題に言っている。

兵士達が帰ろうとした次の瞬間

一人の兵士が黒い塊に撃たれ、肉塊になった

撃たれた方向には右手の大砲を構え、

そこから

煙を息巻くシナモンの姿があった。

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