第10話 猫と教祖の子


シナモンを治療していた猫

だが、彼の右手にブルースカート教祖と

同じ大砲がついている事に気づく。

「なんだこれ、お前、まさか教祖なのか?」

猫がシナモンに掴みかかる

「………」シナモンは何も言わない

「でも、教祖にしては小さいし筋肉量もない

前から気になっていたが、お前は何者だ」

シナモンは口を開いた

「…わかった言おう、俺は教祖の息子だ」

衝撃の事実に猫が手を離す

「む、息子!?アイツに息子がいたのか?」

シナモンが右手を掴み、説明を始めた

「アイツは…教祖は本当にゴミさ、今からかなり昔の頃、アイツは布教と言って

B地区の女を見境なく襲ってから殺し回ったんだ。

本来、ブルースカートは女は入れない

教祖は私利私欲を満たしていた。

そして、襲われた女の中で生き残った女

がいた、そして、腹に子供を授かった。

その事を教祖が知ると、女を殺して腹から

無理やり赤ん坊を抜き出した。

その赤ん坊は教団で散々改造され

教祖の後継として右手に教祖の大砲を移植

された。

それが俺だ」

あまりに聞いてられない内容に猫は吐き気を催した。

「なんで隠してたんだ?」

シナモンが顔を下げる。

「いずれ言うつもりだったさ

俺が言いたくなかっただけだ」

猫は悪い事をしたと思った。

「悪かったな、この話は秘密にしよう

俺とお前の」

シナモンは首を振り立ち上がった。

「いや、いい機会だ。仲間に話して

俺も戦線に立つことにする。

今まで、右手の事を隠してたせいで戦えなかったが、次からは俺も戦う」

猫が首を傾げた。

「お前、何回か本部で戦闘したって言って

なかったか?」

キャンプタワー襲撃の時

シナモンが本部が信者に襲われたと言って

戦ってたり、レズの小屋の通話でも戦闘

していた。

「いや、その時その時に包帯外してたんだ」

普通の答えが返ってきた。

「ふーん、てか、今回は何に襲われたんだ?」

猫がシナモンの治療を再開した。

「あの3人がブルースカートのブロ共和国派閥

の信者からB地区の信者にここの位置を伝達

して、何十人かが襲ってきたんだ。

そうだ、そっちは杖大丈夫か?」

猫は膝を見せた。

「杖どころか色々な事があった。

だが、結果はいい。杖は出来たし

なんと、ゲルストの教祖を殺せたんだ」

シナモンは驚いている。

「本当か!?すごいな、

これでホワイトスカートも戦えると自己認識

できるな」

シナモンはブルースの戦力とおまけに

ゲルスト討伐というプレゼントにかなり

喜んでいるようだ。

「そういえば、お前もなんで俺たちを呼び寄せたんだ?」

確かに猫達はシナモンに呼ばれて帰ってきたのだ。

「言うのを忘れていた。

これから本部を移動させるんだ」

猫は耳を疑った。

「俺たちが移るんじゃなくて、

本部が移るのか?」

そう言った瞬間、壁や床が揺れ始める。

「なんだなんだ!地震か?」

シナモンは落ち着いている

「地震じゃない、パンプが始めたんだ」

揺れは激しさを増し、数秒揺れた後止まった

「始めたって、何を」

猫は何が何だかわからないようだ。

「元々あった計画だ。この本部を

「移動要塞」にするって言う計画がな!」

揺れはなくなり一定の間隔で壁に小さな衝撃が走る。

「ちょっと俺、パンプの所行ってくるわ」

猫はシナモンの治療をほっぽり出して

パンプの所へ走っていった。

「おいっ待てよ、右手大砲だから自分じゃ

治療できないって。きいてるのか!」

猫は聞いてはいなかった。


猫はパンプの部屋のドアを開けた。

「あ、猫さん、ちょうど良かった!

ジャックが作りかけだった移動要塞を

仕上げてくれたんだ。

今、動作確認したけど、問題ないね」

パンプは小さな手で大きな操作版を

操作している。

ジャックはやつれた顔で寝ている。

シナモンにミスした罰を与えられたのだろう

シナモンの鬼畜さは教祖譲りだと猫は思った

「ヘェ〜これが前言ってた「すごいやつ」か

思ってた以上にすげえな、あ、これ押したら

何起きんだ?」

猫はカボチャマークのボタンを押した。

「あ!それダメ!」

パンプが制止したが遅かった。

近くで爆発音が連なる。

「やっちゃったか…このボタンは

爆弾カボチャをありったけ放出して大爆撃が

できるボタン。

まだ、入ってる爆弾カボチャが少なくて

良かった…それより!

勝手に押さないでください!」

猫はパンプに怒られてしまった。

「あちゃ〜悪かった!ごめん!

それより聞きたい事があったんだ!」

猫はさっきのドジをなかったことかのように

話題を変える。

「なんですか?」パンプは少し冷たい

「前に武器の特徴を言えば作れるって

話してたろ。だから、作ってもらえないかな

って思って」

パンプは溜息をついた。

「はぁ、分かりました。今は無理なんで

特徴だけおしえてもらえます?」

猫は武器の特徴をパンプに教えた。

「また、時間がある時に作ります」

パンプは操縦にもどり、猫も邪魔したなと

言って部屋を出た。

猫は自分の部屋に戻り膝に治療をしていた。

ブルースが部屋に入ってきた。

「あっ居たのか。猫、聞いたか?

この本部が移動要塞になったらしいぜ

揺れがひどくて嫌になるけどな」

ブルースもベットで横になる

「猫は知ってたのか、移動要塞の事」

猫は膝に巻く布をぐいっと締めた。

「いーや、俺も今さっき聞いた。

パンプとジャックとシナモンが知ってたらしいな」

ブルースはベットから起き上がる

「ふーん、お前ってパンプより後輩なのか?

なんか分からないけど、俺たちが知らなくてパンプ達が知ってる事多くないか

ジャックですら俺たちより色々知ってるし」

猫は確かにと思った。

「そのとおり俺はパンプより後に入ったんだ。

確かにシナモンは俺達にあまり計画を話さないよな。

移動要塞がどこに行くのかもわからないし」

だよなーとブルースはベットにもたれる

それから、ブルースと猫はたわいのない話を

続けて時間を潰した。

「おーい、集まれー」話がグダってきたところにシナモンから召集された。

二人は作戦室に向かう。

「集まってくれてありがとう。

これから移動要塞で向かうのは、「ブロ共和国」だ。

ブロ共和国は前のあの3人が言っていた所だ。

明らかにホワイトスカートの存在を知ってスパイを

送ってきている。

ホワイトスカートの存在がブルースカートの本部に知られれば今の俺たちじゃすぐやられる。

存在を気づかれず、少しずつ派閥を潰す。

だからブロ共和国に行き派閥を潰し、今のブルースカートが俺たちの事をどれだけ知ってるかを聞き出す。

それと次の戦い、俺も行く」

シナモンは猫に話した自分が教祖の子という事を話した。

「まさか、そんな事、想像もしなかったですよ。

でも息子だからって、シナモンはシナモンです」

パンプが明るく言う。

「お前も中々キツい人生だったろうに、絶対に

ブルースカートを潰し、豊かな世界を取り戻そう!」

ブルースも否定をしない。

「…」ジャックは黙っていた。

「それでは、詳しい事は後日だ。

ブロ共和国に着くまで後2日、それまで休んでも

訓練してもいい。それじゃあ、解散!」

皆、作戦室から出る。

「おい、ブルース、ちょっとこの移動要塞がどうなってるか見にいこうぜ」

猫が手招きする。

「あ、いいですね、辺りを見渡す部屋があるんで

ちょっと来てください」

横からパンプが猫と何も答えてないブルースを

連れて、何やらガタガタ揺れている部屋の前に来た。

「ここから外にいけますけど、気をつけてください

落ちたらタイヤに踏み潰されるんで」

そう言ってパンプは扉を開ける。

その瞬間、風が勢いよく吹き、体が押された。

そして、青い空が見えた。

「うおぉーいいな!てかすげぇなパンプ!

こんなデカい要塞いつどうやって作ったんだ?」 

ブルースがパンプの頭をガシガシ撫でる。

「確かにこんなデカい要塞、どうやって作るんだ?

お前一人じゃあ作れないだろ」

パンプの作った移動要塞は右と左に三十メートルはあるタイヤがつき、その真ん中に火が溢れる鉄釜が

あり、その上は三つの巨大なカボチャがあり

頭の方にドデカい煙突が煙を出していた。

「ホワイトスカートに入った当初、シナモンさんに

移動要塞を作ろうと言われ、それから本部の中に

少しずつ組み立てていったんです。

素材はどれもシナモンが持ってきてくれて

どうやって作ったかと言うと、僕の作った

カボチャロボに手伝ってもらったんだ。

カボチャロボ一ついれば自分で仲間を増やし続けて

設計図を渡したら自分で考えて勝手に作ってくれる

僕は猫さんの武器の修理をしてました。

でもカボチャロボがどんどん力尽きていって

工事が遅れました。最後に操縦をできるように神経

を繋げるだけだったけどキャンプタワーに行く事になって、それからすぐにゲルストに向かったから

何もできなかった。

でも、ジャックが徹夜で頑張ってくれて

今動いてる、ジャックに感謝だね」

パンプを舐めていたブルースもこれにはどたまを抜かれてたようだ。

風が強くなり猫が落ちそうになる

「そろそろ戻ろう」

3人は要塞の中に入った。

「カボチャロボか、戦力にすれば強いだろうな」

猫は何か考えている。

「そうだ、猫さん、言ってた武器作りましたよ」

3人はパンプの部屋に向かった。

ガラクタやカボチャが散乱するなか、あきらかに

猫に見覚えがある物があった。

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