第9話 猫と帰還

猫達は皆、レズの家に居た。

レズはブルースの持ってきた素材から

杖を作り、一方3人は待ってる間にUWOをして、今回の事を話し合った。

「なんか、簡単に一つの国の長を

倒しちゃったな。なんだか、ブルースカートを滅ぼすのも簡単に思えるぜ」

猫が+4のカードを置く。

「そういえば、杖ができたら、ブロ共和国に

行けと言われてたな。

でも、猫も負傷してるし、パンプも頭がない

一度、本部に戻らないか?」

ブルースも+4を置く

パンプも+4を置き、残り一枚になった

パンプは絶望した、自分に口がない事を忘れていたのだ。

「ガハハハ!パンプの奴、これじゃあ一生

勝てないぜ!」

だが、猫も絶望した+4はもうない。

「あ」猫に十二枚の手札が渡された。

「お前もバカだな、猫、さっきの話だが

シナモンに通信して、杖ができたら

帰還すると伝えてくれないか?UWO」

ブルースは残り一枚になった。

「あ〜そうだな、ちょっと話してくるわ」

猫が立ち上がる前に端末が鳴る。

「あれ、あっちからかかってきたぞ」

猫は通話にでた。

「はい、猫だが」

端末から雑音とノイズがひどく溢れる

「猫、あの3人はブロ共和国のスパイだ!

本部の位置をバラしてた、一度戻って来い」

シナモンはそれだけ言うと一方的に通信を切った。

「シナモンはなんて?」ブルースが手札と端末を覗いてきた。

「あの死んだ3人はスパイで本部の位置が

バレたから一度帰って来いだとさ」

猫はブルースから大量の手札を見えないようにする。

「あっちから帰還命令だ、だが、位置が知られたなら早めに戻った方がいいな」

ブルースが最後の一枚を出した。

「アガリ」

猫はシナモンの事が気になり

UWOどころじゃなかった。

パンプは不服そうにカード山札に投げ捨てた。

「おいブルース、できたぞ、早く来い」

レズが工房から出てきた。

できた杖は持ってきた材料をどう使えば

こんな風になるんだっと言うグロテスクな

見た目だった。

「最後の工程だ、ブルース、お前の魔法を

込めろ」


ここで遅いが魔法使いの説明をしよう!

魔法使いは、普通の人間と違い、

体の中に魔力を作り出す器官がある。

そして、息を吐くように手が魔力を放出させる。

魔力は魔法を使うためのエネルギー

それを溜める事で個人個人違う魔法を出せる

そして、威力が分散しないように杖と呼ばれる道具に魔力を流して溜めるのだ。

(杖に魔力が溜まってたから猫も魔法を使えたというわけだ)


ブルースは杖を受け取り、禍々しい魔力込めていった。

ブルースが魔力を込めてる間、

猫は休んでいるレズに話かける。

「なぁ、お前さ俺たちの組織に入らないか?」

レズは顔を伏せた。

「無理だ、誘いは嬉しいが俺はまともに

戦えない」

レズは男爵との戦いを悔いているようだ。

「俺は勝てた、勝てたのに、戯言が耳に入ると動けなくなる」

レズはかなり深刻な顔をしている。

「聞いていいか分かんないけどさ

昔何があったんだ?」

猫がレズに肩を添える。

レズは苦虫を噛み潰したような表情だ。

「やっぱいい、ごめんなんでもない」

猫はレズの表情から察し、その話題が

パンドラの箱と気づいたようだ。

「あぁ、その方がいい」

レズがボソッとつぶやく。

「うん、無理に誘って悪かった。また会おう」

そう言って猫は小屋から出た。その場の空気に耐えられなかったのだ。

「よしっ終わったぞ兄さん」

ブルースが杖に魔力を込めきったようだ。

「わかった…またな」

ブルースはパンプを連れて小屋から出る。

「また、来るよ」

ブルースはまだ何か言いたげだがそれ以上

何も言わずに出て行った。

「…やっぱ、だめだな、おれ」

レズがつぶやいた。


ブルースの箒に猫達は跨った。

「ん?猫何かあったのか?」

露骨に顔が暗い猫をブルースが気に掛けた。

「いや、…なんでもない」


箒は空へ飛び上がった。

「そういえば、満足のいく説明がないけど、

パンプはなんで頭なしに生きられるんだ?」

ブルースはパンプの頭のあった部分に手を

スカせる。

「原理は知らん、カボチャ人間は体が死なない限り、頭はいくつ壊れてもどうにかなると

聞いた」

猫はパンプの首をポンポンとした。

「へぇ〜話変わるけどさ、お前、パンプがいなくなった時、えらい焦ってたけど、お前ら

そんなに仲良いのか?」

ブルースが話題を変える。

「仲が特別いいわけでもない、ただ…

パンプが弟に似ていて、重ねてるというか…」

猫はパンプの前では話ずらそうだ。

「弟いたの!?」

ブルースが猫の気持ちを読み取らず、

容赦なく質問する。

「ん…あぁいたさ、でも、ちょっとパンプの前じゃ話づらいんだ。また後にしてくれ」

ブルースは笑った。

「大丈夫だって、パンプ今、頭ないから、耳もないぜ。

おい!パンプ!」

パンプは反応しない

「ほらな、目は見えてるのは不思議だが、

そんな事ほっといて、話してくれよ」

ブルースはとてもしつこい男だった。

「はぁ、しつこいな、いいよ教えてやる

昔の話だ。弟と言っても俺より後に作られた生物兵器ってだけなんだけどな。

正式名称は「凡用布教兵器32568号」だ。

ちなみにおれは「凡用布教兵器32567号」だ

弟は小さな子猫だった。

役割は信者捕獲と前線の補助という、

子猫にしてはかなりハードな内容だった。

だから俺は必死に弟をサポートしたさ、

どんなに危ない時も俺がすぐ駆けつけた。

だが、最高戦力の俺が補助の護衛をしてると知った教祖は弟を廃棄物として冷凍させた。

俺は自分のせいで弟を殺してしまった。

その気持ちが芯にあるせいで、

パンプを見た時、思い出しちまったんだ」

猫はパンプを撫でる。

「なんか…悪かったな、しつこく聞いて」

ブルースは思ったより暗い話で後悔した。

「て言うか、俺さ、お前のこと「猫」って名前だと思っていた。みんなそう呼ぶし」

ブルースは雰囲気を明るくする為、

話題を変える。

「まぁ…なんて呼ばれようが変わらないし

シナモンが俺の事を「猫」と呼び始めてから

ずっと「猫」だ」

猫は興味なさそうだ。

それにブルースは気付き、相槌を適当に打ち

黙って空を飛び続けた。


気まずいなか本部に箒が到着する。

「よし着いた、パンプ、早く頭つけて来い」

猫がそう言う前にパンプは本部へ

入って行った。

「杖は無事できたようだな」

シナモンが体中血まみれのぼろぼろで入り口からでてきた。

「だ、大丈夫かよ!早く手当しねぇと」

猫がシナモンに肩を貸し医務室に入った。

そして、シナモンの体の包帯を外し右手の

包帯も外そうとした。

「これはいい!やめてくれ」

シナモンはぐいっと右手を避ける。

「厨二病か知らんが折れてたらどうする、

早く手を下せ」

猫が無理やりシナモンの右手の包帯をとった

「あ!馬鹿野郎!」

シナモンの右手にはブルースカート教祖の

つけていた大砲がついていた。

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