第8話 猫とゲルストのオカマ


置いて行ってしまったパンプを救う為

3人は箒にまたがり路地へむかった


「パンプーーどこだー」

路地に着いたが、そこには箒の勢いで

くたばった哀れな信者が横になっているだけだった。

「おーーい、どこ行ったんだ!パンプ!」

「出てこーい、カボチャ頭!」

3人で呼ぶが返答はない

「まさか、パンプも箒の炎で

やられちまったのか?」

猫はやげ焦げた地面をさすりながら情けない声をだしている。

「いや、箒で死んだなら死体が残るはずだ、

箒から爆発した魔力を浴びたなら粉々になるような事はない」

ブルースは猫の肩に手を置いた。

「いくぞ、近くにいるかもしれん」

レズは箒に乗った。

3人とも箒に乗り、空へ飛び上がった。

「今、探すのはまずいかもな、猫が城に突っ込んだせいで、混乱が起きている。

それに猫の変装がもう役に立たない

準備してまた探しに行くぞ。

とにかく俺の家に来い」

猫は反論したかったがレズの言う通りなので何も言えなかった。

3人はレズの家に着地した。

「2人とも…助けてくれて、ありがとう」

ブルースは2人に頭を下げた。

「でも珍しいな、兄さんが他の者と協力するなんて」

レズは猫を見た。

「あの時は、人手が必要だったんだ…

お前を助けるのに必死でそんな事考える暇がなかった」

レズはブルースの安全が確保でき、安堵しているようだ。

「感傷に浸るのもいいが、ブルース…

お前、やっぱり一人で行かないほうがよかっただろ。

もうちょっと仲間を信じてくれよ」

猫は怒っていた。ブルースを助けた事で今度はパンプが危険にさらされてしまったからだ。

「あぁ…悪かった、だが悪い事ばかりではないぞ」

ブルースはガタクタの沢山入ったポリ袋を

見せてきた。

「それが杖の素材か?」

猫がポリ袋の中身を観察する。

中には、たぬきの死骸、誰かの爪先、ヘビの抜け殻、木の枝、Tバックが入っていた。

「Tバックはいらないだろ」

レズがツッコむ。

「あぁ!違うこれは!急いでスってたから間違えたんだ!」

レズがTバックをポッケに突っ込む。

二人は白い目でブルースを見た。

「とりあえず!杖がないと俺は戦力にならない

足手まといだからパンプ捜索はやめておくよ」

ブルースはレズの小屋に入って行った。

「…それより、パンプは本当に

どこ行ったんだか…」

猫はゲルストの全貌を眺めた。

「こんなにおしゃれな所なのに…あそこまで

無法な酷いところになるんだか」

猫はボソッとつぶやいた。

「昔はいいところだった、道ゆく人々はみんな

安心と満足に満ちていた。

ブルースカート…」

レズも悔しそうだ、何も出来ず故郷を破壊された気持ちは計り知れず、猫は何も言えなかった。

「ん?なんか煙が出てないか、あそこ、さっきの商店街」レズが指をさす。

「ほんとだ…もしかしたらパンプかもしれない

早く行こう!」

猫が崖から飛び降りた

「待て!急ぐな!」と言いながらレズも飛び降りた。

斜めった岩山を足で滑りながら猫は向かう

「おい、危ないぞ!」レズは箒に仁王立ちして

いる。

「あ、ずるい!」猫がレズを見上げた瞬間

スカートが引っ掛かり猫は膝から思い切り

滑り落ちた。

「おい猫!」レズが下まで落ちた猫に向かう。

「大丈夫だ、ただのかすり傷!それより箒に

乗せてくれ」

猫に膝はかすり傷とは思えないぐらいえぐれている。

「やめとけ、そんな傷じゃ、まともに歩けねぇぞ」

猫は気合いで立ち上がった。

「心配すんな、それより早く乗せろ」

猫はレズの箒に手をかける。

「…そこまで言うなら、でも、危なくても

お前を庇う余裕はないからな」

レズは猫を乗せ、空に上がった。


空から二人は煙の上がったところへ向かう。

(ん、あれ、パンプか?頭が.…ない?)

レズが目を凝らす

「猫、戻ろう、パンプはダメだ」

レズは無言で反対方向へ向かった。

「は!?うるせぇよ!俺は行く!」

猫は箒から飛び降りた

「おい!やめとけ無駄だ!」

レズが猫の首元を掴む

「やめろ!離せよ!」

猫が暴れる、レズの箒の安定が崩れる

「おいやめろ!あきらめろ!それより墜落するって!」

レズの抵抗虚しく、二人は商店街に墜落した。

「ケホッケホッお前なぁ本当に!」

レズが言い切る前に異常な光景が目に入った。

頭がないパンプ、それを囲む魔法使い信者

そして真ん中に背丈がレズの五倍はデカい

三角棒と黒いローブを着た「何か」がいた。

「何か音がしたわ、哀れな愚者に慈悲は

いらない」

デカい何かが周りの信者に何か話している。

「おい!パンプに何す、」猫が言い寄る前に

レズが猫の口を塞ぎ瓦礫に隠れる。

「バカ!アイツはゲルスト派閥の教祖

「アカロフ男爵」だ!なんで商店街にいるんだ」

猫はレズに口を塞がれ窒息しそうだ。

「あ、悪い」レズは手を下ろした

「はぁ…はぁ…マジでやめろ」

猫は落ち着きを取り戻したようだ。


アカロフ男爵がパンプに近づく。

「城に穴が空いたせいでブルースが逃げちゃったじゃない!あなたの仲間ね、全員殺して

やるわ!さぁ!味方の位置をしゃべりなさい!」

頭がないパンプに男爵は尋問する。

「あの…頭が無ければ話せないかと」

一人の信者がアカロフ男爵に近づく

「近いわ」

その瞬間、その信者は全身が燃えた。

「あ…あが、おた…す…け」

すぐに焦げた肉塊になり、周りの信者の顔が固まっている。

「私から半径一メートル入ったお馬鹿さんは

ステーキにしてあげるって前の時も言った

じゃない。

でも、ステーキ君の言う通り、頭がなきゃ

口もない、喋れないわ。

でも、こんなに煙が出れば、仲間が異変に

気づくはずね、仲間だから!」

その瞬間、アカロフ男爵が覗いてる猫達の方を向いた。

「バレないとでも思ったかしら…さっき箒で飛んでいたとこからわかっていたわ。

そんな事もわからないお前達は「名誉挽回」

してくれるかしら?」

そう男爵が言うと信者が死に物狂いで特攻してきた。

「死ねぇーー」全員整列し杖を構えて猫達に向けた。

…向けられるだけで一向に攻撃が来ない

「ん?あれ?攻撃しないのか?」

猫は近づく

「コイツら死んでる!いつの間に」

魔法使い達は皆立ったまま死んでいる。

全員背中が剥がれ骨から臓器へ貫かない形に

えぐれている

「コイツらが攻撃するのが遅いだけだ」

猫はレズの方を向く。どうやらレズが一瞬で片付けたようだ。

「お前すげえな!」猫は感心している

「そんな事より!トリが残ってるぞ!」

レズが叫ぶ。

「レズ…久しぶりね。やはりあなたは強いわ」

男爵が何か呟く

「あぁ久しぶりではあるな、でも、いい機会だ今日で決着つけて、故郷を返してもらおう!」

レズはそうゆうと体の断面から炎の縄を出し

男爵に向かわせた。

「醜い体…」男爵は抵抗しず何か言う。

するとレズの体が止まる

「どうしたレズ」

そう猫が言っても何も言わない

「ふふふ、やはりあなたは何も変わらない。

醜い体で人間とは思えないわ…生きてていい

生物ではない。いや、生物としても失敗作ね

あなたが死ぬ事で皆んな幸せなの、わかる?

今殺して、皆んなを幸せに、あなたを解放してあげるわ」

レズの炎の縄が縮んでいき、レズはその場に倒れ込んだ。

「おいオカマ!レズに何した!」

猫がレズに駆け寄る。レズは息はしてるが

意識はないようだ。

「ん、オカマ?まぁいいわ。レズちゃんに

トラウマを呼び起こしてあげたの」

男爵は体をくねらす。

「レズちゃんは強いわ、私と同等…それ以上か

でも心はガラスより脆いのよ。

すこーし叩くだけで粉々になるの

頭と体は一緒なの、体が朽ちれば動けなくなる、心が朽ちれば、何も出来なくなる。

レズちゃんの弱点は分かりきってるんだから」

男爵は嘲笑う。

「それと、あなたもよ子猫ちゃん

城に穴開けたの貴方でしょ。

お仕置きが必要よ。みなさん行きなさい!」

誰もいない、さっき信者を全員レズが殺していた。

「…もう、まぁいいわ、私があなたに相手してあげるわ」

男爵は体に見合わない小さな杖を出した。

「先手必須!「flash!」」猫はレズから貰った

子杖から眩い閃光を出した。

「チッ姑息な手を!」男爵は目が潰れたようだ。

「見えなくても、気配でわかるわ…ここね!」

男爵は猫に杖を向ける。

「ペアレージ!」そう男爵が叫ぶと、どこからともなく棺桶が出てきて捕まえた。

そして、棺桶の中に蟻が溢れた。

「私が死ぬなかで一番キツい拷問よ

私の目を潰した報いよ!」

蟻達は体中の穴という穴に入っていき

肉壁を食い破り、臓器に到達、あっという間に体は黒く染まった。

「よーし終わったわね、目も見えるようになってきたしかーえろっと」

男爵が振り返った。

「Flash!」またもまばゆい閃光が男爵を襲う

「ギャアアア」唐突な奇襲に対応できず男爵は

モロに目を焼かれた。

「パンプも持っててよかったよ」

猫が男爵の前に立つ。

「なんで、今、さっき!蟻に喰われて

死んだはず…」男爵は目の痛みから杖を落とした。

それを猫が拾う、「お前が殺したと思ったのは

レズが殺した信者の死体だ。

立ったままだったから間違えたんだな

よーしオカマ野郎、お前こう言ってたよな

「ペアレージ」」

猫が男爵の杖を向けそう言うと同じ様に

棺桶がでてきた。そして男爵を捕まえた。

「お、この魔法、殺し方選べるのか!

じゃあこれだな」

猫は何かを選んだ。「やめろ!そうだ!お前を幹部にしてやる!金だって力だってやるから」

男爵は命乞いをした。

「オカマ口調…忘れてるぞ」

そう言った瞬間、棺桶の中に火の縄が広がる

「これは…レズの魔法…グゥ、ア、オノ、レ

焼ける…ァァ、俺は教祖だ、ブルースカートは絶対だ…」

アカロフ男爵はよく焼けたステーキになった。

「レズ、大丈夫か?」

猫がレズを揺さぶる。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」レズがボソボソ呟いている。

「レズ!」レズは気がついたようだ。

「悪い…俺、ダメだな」猫はレズに手を置く。

「いや、お前は強い!だって気を失う寸前に

あのオカマを倒しきったんだぞ!」

猫は男爵のステーキを指差す。

「お前が俺らを庇って、みんな助けたんだ!

自信持て!」

猫は嘘をついた。

「そうだったのか、嫌な記憶に潰されて

気づかなかった」レズは違和感を感じだが

それを無視した

(猫さん、あなたは…)パンプは猫を尊敬の

眼差しで見る。

「よし掴まれ」猫はレズに肩を貸す。

「帰ってきたぞ、お前の故郷」

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