第7話 猫と火の魔法使い
レズと協力し猫はブルースを助けに向かった。
「なぁレズ、ブルースの位置はわかるか?」
レズはボーとしている。
「おい!聞いてるのか!」
猫がレズをこずく。
「うるさい、今ブルースの位置を特定してる」
レズは何もない空間をジーと眺める。
「わかった!ブルースは今、「ゲルスト城」の
牢屋にいる!…わかったはいいが厳しいかもな」
レズははにかんでいる
「ゲルスト城ってどんな所なんです?」
寝起きのパンプも話に入ってきた。
「ゲルスト城はブルースカートに占領される前にゲルストを統治ていた皇帝の城だ。
今はブルースカートのゲルスト派閥の本拠地だ。どうしたものか…」
レズは思考を回転させている。
「お前の魔法はアイツらに勝てるのか?
ブルースは1人でもキャンプタワーの看守をほとんど殺してたからアンタも強いんじゃ
ないのか?」
猫がレズに言う。
「俺の魔法か…俺の魔法は炎だ。
ただの炎じゃない、変幻自在で熱は、マグマと同程度だ。ダメなのは、炎は体から湧き出るから変装が焼ける事だな。
一応、ここの信者達には通用するが戦いは
なるべく避けたい」
レズは指から糸のような火を出しながら説明した。
「OKわかった、とにかくそのゲルスト城に行こう。牢屋にいるって事は近い内に拷問や死罪とか言ってブルースが危ない
信者のふりして城の中に入って行こう」
猫が先導しレズは少し不安げに、パンプは
冷静に猫に従った。
猫達はゲルストの門をくぐった。
「おい!待て、お前達、ゲルストの民か?
よそ者は帰れ!」
門の信者にいきなり怪しまれてしまった。
するとレズが突然その信者に謎のハンドサインをした。
「わかった…通れ!」信者は何故か猫達を通してくれた。
猫とパンプは何が起こったか全くわからなかった。
「なぁ、何をしたんだ?」
レズはさっきのハンドサインをした。
「このハンドサインで奴に賄賂をやったんだ。
魔法使いの世界での買い物はハンドサインを使って売買するんだ。
硬貨などは存在しず、ハンドサイン別に価値を決めている。
そしてハンドサインをしたら相手にその分の自分の魔力を与えるんだ」
猫はイマイチよくわからなかった。
(ハンドサインしなくてもそのまま値段の魔力を与えればいいのに)
頭の中でそう思っていた。
ゲルストの中はB地区より酷かった。
B地区の比べものにならない残虐な布教。
平然と行われる道端での死刑。
道端では子供が死体を浮かせて遊んでいた。
「うげぇ、マジかよ、こんなの地獄より地獄
してるよ」猫は吐きそうだ。
「ブルースカートが来てからずっとこんな感じだ。優秀な魔法使いはみんな殺されて
一般市民は信者にされたり玩具にされたり
…やはりブルースは来るべきではなかった」
レズは後悔していた
「そいやあアンタ、杖奪われたって聞いたけど
どうやって魔法が使えるだ?」
猫はレズの体をジロジロ見ながら言った。
「…普通は杖がないと魔法がまともに使えない
だが俺の体は自分の魔法の為にできているようなものなんだ。
この体、見ての通り…異常だろ、これは俺の炎を操るため、親が俺の生まれる前。
胎児の時、色々弄ってこうしたんだ。
だから杖はいらない」
ふーんと猫は相槌する。
「じゃあなんで杖職人なんですか?」
パンプが疑問した。
「…ブルースのためだ。あいつの魔法は杖が無いと危なすぎるからだ。
杖に魔法を集中させないと分散したり自分の殺意で死ぬ可能性もある危ない魔法なんだ。でも昔は杖を買う金もなかったから
俺が素材から集めて作り続けて、いつの間にか職人になっていた」
レズは昔の記憶を懐かしんでるようだ。
3人が店の立ち並ぶ商店街に行くと道ゆく
人間すべてが3人に頭を下げた。
「ここの派閥は狂ってるな、ここまで人々を
恐ろしめるなんて。やっぱり、信者の格好
なんてするもんじゃないな」
猫は申し訳なさそうに人々の前を通った。
「ここの路地に来い」レズが薄暗い路地へはいっていく。
路地には腐敗した死体や白骨死体、目を当てられないようなえげつない死体もあった。
「死体に興奮する趣味はないんだが」
猫は死体から目を背ける。
「これを持て」レズが2人に木の枝を渡す。
「なんですか、これ?」パンプが枝を受け取る
「これは簡単に言うと、杖の子供みたいな物だ。これを魔力を与えて育てることで使える立派な杖になる。
この子供杖には魔力がこもっている。
攻撃はできないが目眩しはできるだろう。
相手に杖を向けて「flash!」と叫べば、閃光が溢れる。
だが、一度使うと30分使えなくなるから注意しろ」
猫は物珍しそうに見ている。
「ヘェ〜これで俺も魔法が使えるのか、
嬉しいな!でも、お前杖は全部奪われたって言ってなかったか?」
レズは鼻を鳴らす「さっきの商店街がスってきた」
猫はなんて奴だとも思い、すげえ奴とも思った。
「そして、もう一つ、これだ」
レズは今にも折れそうな箒を渡してきた。
「なんだこれ、これで飛べってか」
猫は手で箒を折る仕草をする。
「ボロいが飛べるはずだ、これでゲルスト城の
裏に行こう」
レズはもう一つの猫達よりはボロくない箒に乗って浮かんで見せた
「いや箒一つだし、それに、俺飛び方知らないんだけど」
猫を無視してどんどん上にいくレズ
「仕方ない、またがればいいんかな、
パンプ、後ろにまたがれるか?」
猫は箒を股に挟んで、パンプにまたがるよう促した。
パンプは足が短く、苦戦している
「おい、そこでなにしてる」路地の外から声がする。
「やべぇ、正体バレたか?パンプ!早くしろ」
パンプは何度もジャンプしてまたがろうと
するが何度も滑り落ちてしまいます。
「信者がなんでこんな所にいるんだ」
他の信者が近づいてくる。
猫はしゃがんでパンプが乗りやすいようにした。
「早く!」パンプが何度も体重をかけるので
箒は木のかけらを何度も落とす。
「なんで、箒に乗ろうとしてんだ」
信者がかなり近くまでせまってくる。
「パンプ!」猫達の焦りは頂点に達した。
パンプはやっとの思いで猫の背中にしがみついた。「やった、乗れました!乗れました!」
パンプは喜んで興奮している。
「早く飛んでくださいよ」
猫の顔が青い。「飛び方知らない…」
猫は地面を蹴って飛ぼうとするが、箒は浮かない。
飛ぼうとする勢いでフードがずれてしまった。
「お前達!信者じゃないな!」信者がこっち走ってくる。
「チクショォ!」猫は力いっぱい地面を蹴りジャンプした。
その瞬間、箒が綺麗にへし折れた。
「うわぁ!」パンプは転げ落ちた。
折れた部分から何かが湧き出ている。
「お前達、信者のフリをするなど…死罪だ!
今ここで!」
信者がパンプに杖を向ける。
その瞬間、箒の折れた部分から青い炎が爆発し、狭い路地いっぱいに火が広がる。
「ギャアァァ!」信者はモロに爆発をくらい
全身の表面が焼きただれている。
「うわ!何だってんだ!」猫は爆発と炎の勢いで空高く飛び上がった。
「一応、飛べた(?)な」猫は細い箒の柄をかろうじて掴み空を飛んだ。
猫は今気づいた。
(あ、パンプも燃えてたらやばい)
余裕だったのも束の間、青い炎の勢いが
だんだん弱まっていく。
「まずいな」
ついに火がつき猫は真下に落ちて行った。
「うわぁぁぁぁ!」
雲の上まで飛んでいたから、落ちる勢いで
目が開けられなかった。
猫の落ちる勢いは増していき、しかも重心の頭がしたにいき隕石のように猫は落ちて行った。
そして猫は凄い勢いで落下した。
レンガ作りの壁を突き抜け、地下室にまで
落ちた。
「いってぇぇぇ!クッソ…なんでこんな目に」
猫の頭にピンポン玉ぐらいのこぶができた。
「頭が丈夫でよかった…それよりここは
どこだ?」
猫が落ちた先は牢屋のようだ
「おい、そろそろ…どいてくれ…」
足元で何が動く。
「あ!ブルース!良かった、今お前を助けに来たんだ」
落下した先はブルースの牢屋の中だった。
「猫か…ありがとう、でも、どうやって
ここに?」
ブルースは立ち上がり粉埃をはらう。
「とりあえず、事情は後だ、ここは本拠地だろ
早く逃げねぇと、今は戦える状態じゃない」
猫はブルースに肩を貸し、猫が落ちてきた穴から逃げ出した。
「おお!無事だったか!」レズが箒でこちらへ向かう
「兄さん!?アンタ、何で…」
ブルースはレズがいる事に驚いていた。
「質疑応答は今は無理だ。早く俺の家に
戻ろう、猫、箒とカボチャは?」
猫は路地でのことを話した。
「はぁ!?浮かなかっただぁ?そんなわけないだろ、柄のスイッチ押せばすぐ浮くぞ」
レズは意外な新事実と教えてくれなかった
苛立ちをくれた。
「じゃあ、早くパンプを助けないと」
ブルースが空に向かって叫んだ。
「カムバーーーク」
あの時と同じ箒バイクが飛んできた。
「お前、今もこれ使ってんのか?」
レズが引いている。
「うるせえ趣味なんだよ!とにかく猫!
乗れ!」
猫とブルースは箒にまたがり、レズと共に
路地へ向かった。
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