第4話 猫の元後輩と元先輩
猫達は四階に向かった。四階に着くと、やたら血生臭い臭いがした。看守と誰かが戦っているみたいだ。「おい囚人!逃げろ!」
猫が叫ぶ。その瞬間、改造人間が宙に浮かんだ。そして手足が曲がってはいけない方向に曲がり、ブチブチと肉をちぎらせながら改造人間は動かなくなった。「……」猫とパンプは
何も言えなかった。「アンタらなんだ?さっき叫んでた奴だよな?私がこんな奴らに敗れるかよ」男は喋る。男はサンタ帽を被り、ブルースカートを肩に被り、マントの様にしている。猫は思い出した。「アンタか?ここで暴れてる魔法使いってのは?」猫は問い詰めた。
「なんだ?本拠地の奴らか、それなら死ね」
魔法使いがどこからともなく杖らしきものを取り出した。杖の先端には人の肉がつぎはぎになって乗せてある。「ちがう!俺たちは…」
猫が言い切る前に魔法使いは杖を突き出した。「爆散しろ」魔法使いがそう言うとパンプの頭が爆散した。「パンプ!!」パンプの頭は粉々になり、見事に頭だけ無くなった。「お前よくも!コイツの事あまり知らんが殺しやがって!」魔法使いは躊躇なく猫に杖を向けた。「千切れろ」猫は咄嗟にパンプから捨て身カボチャを取り投げた。カボチャはとんでもない爆風と共に消滅した。「最後だ」魔法使いが煙をはらい、杖を向けると猫はいなかった。「お前の最後だ!」猫は魔法使いの上に移動し首を狙い、首吊りの形に毛糸を変えて、上の牢屋の鎖に巻き、
魔法使いを釣り上げた。「だ、ころ…ころす」
魔法使いは苦しんでるようだ。「元々の予定は仲間になってもらう事だが、今の状況、俺はお前を殺したい!パンプを殺しやがって!」
猫は苦しんでる魔法使いにガンつけながら叫んだ!「生きてるよ」後ろから声がした。
「パンプ!?お前、なんで」そこにいたのはさっき頭をふっとばされたパンプだった。
「僕は体さえ死ななければ大丈夫、頭になんでもいいからカボチャをのせるとこうやって喋れるのさ」パンプの捨て身カボチャが一つ減ってる事に気づいた。猫は感情ぐちゃぐちゃだった。「とりあえず、こいつは殺さないほうがいい。強いしいい戦力になる」猫は毛糸を外す。気絶してるようだ。「ここに置いといてもいいだろう。ここの看守達が少なくかったのもコイツのおかげだからな」猫とパンプは四階の全容を見ると大規模な牢屋だったが囚人が1人もいなかった。「おっかしいな、でもしょうがない。多分魔法使いとの戦いに巻き込まれたんだろう
次の階に行くぞ」猫達は五階へ向かった。
そこは狭く何もない階だった。「さっきからここはなんなんだ?」猫が愚痴ると前の階段から声が聞こえる。「よくここまで来ましたね」
聞き覚えのある声だ。「お前その声、俺の後輩だな」
猫が答える。「お!覚えててくれて嬉しいですね」後輩はケタケタ笑う。
後輩は昔の姿ではなかった。頭に改造人間達と同じパトランプを二つつけ、包帯だらけの体に鋭い鎌や武器の様な手が8本ついている。そして自慢青いスカートの丈が人間とは思えない程長かった。
「そうです。あなたの後輩の「コオロギ」です。あなたがいなくなって、どれほど後輩達が大変だったか分かりますか。今ここまでブルースカートが拡大したのは僕ら後輩が頑張ったからです。…それを潰そうとするなら…殺します」後輩は巨大な鎌を猫達に飛ばしてきた。
「早っうわっ」猫の顔に擦り血が滴る。「どうしました。動きが鈍いですね!」後輩は猫達に鎌を振りかざしながら走ってきた。
猫は右の壁へ移動し、パンプは左に間一髪避けた。「ギリギリですねぇ〜」猫に向かってまた鎌を飛ばす。猫は天井に飛び何かに気づいた。(こいつ、目が見えてない)後輩の顔には包帯が巻いてあり目が見えてなかった。
「パンプ!コイツ目が見えてない!」猫かパンプに叫ぶ。「声は聞こえますよ!」後輩は天井向かって鎌を振りかざす。猫は左の壁へと飛んだ。「そっちか!」後輩が音に向かって突っ込む。その瞬間後輩の目の前に壁が広がる。
猫か右と左に毛糸で転ばすように張っていた。
「やりましたね!猫さん!」パンプが喜ぶ
後輩は思い切りコケてピクピクしている。
かと思えば、後輩のスカートがモゾモゾと動く。
「なんだ!」パンプは後輩のスカートをめくった。「ぎゃあああぁー」パンプが後ろに吹っ飛ぶ。「どうしたパンプ!?」猫もスカートの中を見る。そこには元々後輩「達」であったであろう肉塊が蠢いていた。「見てしまいましたか」意識を取り戻したのか「後輩達」が立ちあがろうとする。「こんなふうになってしまったのも先輩!あなたのせいです
もう私はコオロギではない!たくさんのあなたの後輩達そのものです!私達の中にアンタも招待してやりますよ!」後輩はスカートから肉塊の触手の様なものを出し、襲いかかってきた。猫は避けれたがパンプは違った。「おい!パンプ!」そう言い切る前にパンプの首は掻っ切られてしまった。「これは可愛いカボチャですね〜」後輩がパンプから奪った頭を撫でる。猫は後ろから後輩を大きな網で覆った。「無駄ですよ」後輩は鎌で網を切り裂く。「かかったな!パンプ!爆発しろ!」後輩の持っていたパンプのアタマはさっき爆弾と取り替えたアタマだと猫は覚えていた。アタマは爆発し後ろに後輩は吹っ飛んだ。「こんな…卑劣な」後輩はぐったりしていた。「よし!やったなパンプ!」パンプは返事の代わりに枝のような親指を立てた。
2人は後輩を倒し、そのままの勢いで次の階へ向かう。「かなり楽勝に行けますね!」パンプが言う。
「お前、2回頭落とされてるじゃん」
2人は笑いながら次の階に着いた。
その瞬間シナモンから連絡がきた。「聞こえるか沢山伝えることがあるが一つだけ、六階にはいくんじゃない!」通話が切れた。「着いてから言われたぞ」猫は悪態をつく。その瞬間、とてつもない揺れが2人を襲う。
「なんだなんだ!」2人は近くの家具につかまった。その瞬間、天井と壁が崩れた。「台風でもきたのか!」霧に包まれ猫は自分がどこにいるのかわからなくなっていた。「パンプ!聞こえるか!」返事はない。猫は霧の中に巨大な何かがある事に気づいた。揺れは収まり霧は晴れ、それが明らかになった。
「マジかよ」猫は口を開けた。
そこには上半身しか見えないがそれだけで20mはある巨大な改造人間上から覗いてた。最初から雲の中に隠れていたのだ。
「私は!B地区牢獄教会キャンプタワーの看守「カマキリ」である!お前らの目的は予想できる!囚人の解放だろ!それを見越し今!全ての囚人を我が肉体に取り込んだ!そして!お前も我が肉体に入れてやる!裏切り者のクソ猫!」
カマキリは耳をつんざく爆音の声で猫に宣誓した。「カマキリ先輩…いつのまにそんなデカくなったんだ.」カマキリは猫とよく戦いに行っていた先輩だ。カマキリは8本の腕のほとんどに小銃を持っていて。2本ドデカい鎌をつけていた「なるほど、空中からの銃撃もこいつか、それじゃあ絶対に潰さないといけないな」カマキリは猫がいる方向に腕を叩きつけた。猫は華麗な身のこなしで避け続ける。
「やはりお前はすばしっこいな!昔と変わらないなぁ!」カマキリは興奮しているようだ。カマキリの攻撃でキャンプタワーが崩れる。「うわぁ!」猫はフック状の毛糸を出し突き出ている突起に引っ掛けた。「見つけた」
カマキリがどデカい銃口を猫に突きつけた。
猫は毛糸を引っ込めて下に落ちる。
「逃げるなぁ!」大きく息を吸う音が聞こえる
「フゥゥゥぅぅぅっ」その瞬間、キャンプタワーの中に竜巻ができ、猫はカマキリの目の前まで飛ばされる。「しねぇぇぇぇぇ!!」カマキリが猫に銃撃する。猫は間一髪避けカマキリの左の腕にフックの毛糸を引っ掛けた。「こざかしい虫め!」カマキリが体から振るい落とそうとしてくる。猫は腕から腕へ上につたっていく。(まずい、コイツは毛糸じゃ殺せない、どうすれば)猫は何かを思い出し下の階へつたっていった。「クソ猫が!キャンプタワーがめちゃくちゃだ」自分でやったのにカマキリは怒り狂っている。
猫が降りた階から何かエンジン音が聞こえる。「なんだ!なんの音だ!」カマキリは驚いた、猫は乗り物が置いてあった場所からジェット機に乗り、飛んできたのだ。
「なんでジェット機があるか知らんがちょうどいい」猫はカマキリの頭の周りを手を避けながら旋回していく。「うっとしいな!」カマキリが銃を乱射し始める。猫は予想通りと笑いそのままカマキリの顔の真ん前に移動する。
「よし!ここだ!」カマキリが全ての銃口を猫に向けて一斉に発射した。ジェット機は爆発四散した。その瞬間カマキリの全身が燃え広がっていく。「あぁ、熱い、あつい。なんだ」カマキリは苦しみ悶える。崩れたキャンプタワーのてっぺんに猫がいた。「お前!?どうして、死んでない」猫は笑う「俺はすでにジェット機から降りている!着地は得意なんでな」猫は勝ち誇った「俺は虫みたいにお前の頭の周りを旋回したがただ旋回したわけじゃあない。これさ!」猫は破れたガソリンのタンクを見せつけた。「これを撒いてたんだ。そりゃ火がつけば、そうなるよな〜」猫が煽る。
「か、熱い!熱い熱い熱い!おのれ…」カマキリの勢いが消えていく。あれだけの巨体についた火はもう彼が生きている間に消す事は不可能だろう。「お前もこんな宗教入らなければ、こんな悲惨な最後じゃなかったのにな」
カマキリの焼ける匂いを嗅ぎながら猫は降りて行った。(まずい、魔法使いを置きっぱだった。死んでたらどうしよう)猫は心で焦りながら4階に降りて行った。「ケホッケホッ」
魔法使いはカマキリの煙でむせていたが生きてはいた。「おい、ここから逃げるぞ!」猫は魔法使いを背負いながら崩れるキャンプタワーから出た。「あ、パンプの事忘れてた!」猫は再度焦り始めた。「パンプさんならこっちいますよ」ジャックがどこからともなくやってきた。「ジャック!お前死んでなかったのか!すげぇな」猫は驚いた。「大変でしたけどね、とりあえず囚人三名とそちらのサンタクロースを連れて帰りますよ」猫は達成感と疲労感に包まれながら、ジャックの後ろをアイスクリームカーで追うようにして帰っていった。
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