第6話 戦闘、そして

 ここは先手必勝だ、私は魔導書を開き。


「ヨルヒ、連続ファイヤボールだ」


 私が叫ぶとヨルヒの周りに複数の火球が現れて魔族に放たれる。


「バカな、人間が魔術を使えるだと!?」


 魔族は必死で逃げまわる。これはいける。しかし、ファイアボールでは決めてにかける。


「なら、近距離戦で切り裂いてやる」


 私が策を考えていると、魔族はそう言うと距離を詰めてくる。流石にあの爪で切り裂かれたら終わりだ。


 魔導書のページをめくり防御の技を探す。


「ヨルヒ、ファイアウォ―ルだ」


 すると、魔族との間に炎の壁が立ちはだかる。凄いな、このヨルヒは魔族を圧倒している。


 このまま、いっきに勝負を決めよう。


「ヨルヒ、フレアアローだ」


 この技はファイアボールと違い敵にヒットすると大爆発をするのだ。


「近距離戦に持ち込んだ、この近距離ならフレアアローから逃げられない」


 私を切り裂く為に近づいた魔族の負けだ。ヨルヒから炎の矢が放たれると魔族の胸に刺さり大爆発をする。


 勝ったか……。


 村から瘴気が消えて村人が元の姿に戻る。私はアリシアとハイタッチで勝利を祝うのであった。


 魔族との戦いの後、私達は荒れた村内を片づけていたら、夜になってしまった。結果、私達はこの村に泊まることとなった。地下牢に居た本物村長から村民栄誉賞を貰った。内容は特産のジャガイモ1年分だ。


 三人部屋で私は窓から光刺す二つの月を見ていた。


「グオー、グオー、お姉さま大好きです」


 ヨルヒは疲れたのか即爆睡であった。この二つの月は異世界である証拠である。


「眠れないの?」


 アリシアが私に声をかける。


「えぇ」

「なら、私の話しを聞いて」

「はい」


 私が返事を返すと少し寂しそうにアリシアは自分のおいたちを語り出す。


「私は貧しい家庭に育った。貧困から抜け出す為に必死で剣術を学んだ。王室に務める事ができれば、一発逆転だ。しかし、王室に務める壁は厚く。流れ流れて、サードカテゴリーの魔導書の使い手になっていた。サードカテゴリーの魔導書は危険な事は分かっていた。魔導書との融合儀式は恐怖しか感じなかった。そう、何時死ぬかわからない世界に入ったのだ」


 アリシアさんが語り終わると心が痛んだ。人生色々だ。


 私の受けた偏見の目線も耐え難いモノであった。


「ホント、不思議、貴女を見ていると心が癒される」


 そう言うとアリシアは恥ずかしそうにしてベッドの中に入る。きっと、本音を言って恥ずかしくなったらしい。


 私はもう少し二つの月を眺める事にした。

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