第4話 元の世界に未練はないか?

 そして、アリシアとの決闘が終わると夜も遅くなり、寝室に案内される。


 うん?


 ヨルヒが魔導書に戻らない。


「ヨルヒ、どうした?」

「お姉さま、私は不安なのです。この図書館はロリだらけなので心配なのです」


 何だ、嫉妬か。しかし、ヨルヒは私にベタ惚れだな。


「安心しろ、私は愛した女子しか興味はない。それが証拠にカナルの誘いを断っただろ」

「ロリコンのお姉さまの言葉は信じられません」


 アイタタタ、ストレートにロリコン扱いされるのも気まずいな。私の恋愛傾向は年下だが、それを言うとヨルヒもまたロリなので安心はできないのかと疑問に思う。確かに、この魔導図書館はセカンドカテゴリーのロリだらけなので仕方がないのか……。


 ここは、私は自分の心にヨルヒの存在を問いかけると、その返事はヨルヒと居ると癒やされるであった。


 うむ、これは愛の芽生えの予感だ。


「よし、これからは魔導書に戻らなくてもいいぞ」

「ありがとうございます、お姉さま」


 その言葉にと共にヨルヒは私に抱きついてくるのであった。


 夜、私は走馬灯の様な夢を見た。


 ……―――。


 始めて恋をしたのは十歳の時である。クラスのアイドル的な存在の女子であった。私は女子が女子に恋をする事が普通のことだと思っていた。


 しかし、現実は違う。私が告白をすると答えはその女子の軽蔑の目つきであった。


 そう、壊れているのは私の方である。この壊れた恋はその後も続いた。私は自分の事が女子だと思うが恋愛対象だけが女子であった。


 この偏った恋の対象は自己肯定を奪い。世界を斜めに見ていた。私は子供の頃から自由に成れる世界を望んでいた。


 ……―――。


「お姉さま、お姉さま……」


 誰かが私を呼ぶ。それはヨルヒの声であった。時間はまだ夜中、私の苦悶の姿にヨルヒが心配して起こしてくれたのだ。


 あの頃の夢か……。


 私は夜風に当たろうと寝室の窓を開ける。そこには二つの月が輝いていた。ここは異世界だと改めて思うのであった。


 朝、朝食の後。私は館長のルビーさんに呼び出される。


「話しと言うのは他ではないわ。貴女、異世界から来たそうね?」


 唐突だな、私は高校の制服だし、何よりレッドバイブルを所持している。


 「はい……」


 私は返事をにごすと。ルビー館長は真剣な表情で話しを続ける。


「確認したい事があるの。貴女、元の世界に未練はあって?」


 ああああ、そう来るか……。


 私はヨルヒをちらりと見ると。長考する。でも、あの高校生の生活はクソだ。


「はい、未練はないです」


 いいいいい、言ってしまった。ひょっとしたらルビー館長が元の世界に帰る方法を知っているかもしれないのに。


「確認できて良かったわ、私の後を継いでこの魔導図書館の館長になってもらうわ」


 決定事項かよ!確かにこの異世界で生活するにはこの世界の生活費が必要だ。


 私が困った様子でいると。


「図書館の仕事は追々覚えて貰っていいわ。それより魔族の状況が悪いの。魔王シェパードを復活させる動きがあるの」


 カナルから簡単な説明は受けた。人々がサードカテゴリーの魔導書を開発して魔族との均衡が崩れたとか。


「貴女のメインの仕事はサードカテゴリーの魔導書開発の護衛と魔族の討伐です」


 館長のルビーさんの話しからしてレッドバイブルの所有者である私の戦力は欠かせないらしい。

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