第41話 嫌な再開
「やっぱり、オリバたちだったか」
ケルが嬉しそうな顔をしていたから、まさかとは思ったけど本当にまさかだった。
オリバたちはもっと下の方にいると思っていただけに、こんなところで会うとは思わなかったな。
「ソータ! ソータじゃないか!」
「よかったぁ! 私たちのこと置いていっちゃうから、どうしたのかと思ったじゃん!!」
「本当に良かったです。一時はどうなるかと思いましたよ」
俺とサラさんがオリバたちに近づいていくと、俺を見つけたロード、リリス、ナナは順々にそう言うと、嬉しそうに俺の近くに駆け寄ってきた。
え、なに?
三人に初めて向けられるような表情を前に、俺は眉を潜めて困惑してしまう。
ロード、リリス、ナナは俺を囲むと旧友と会話でもするかのようなテンションで話し出す。
「ソータが俺たちを置いていくことはないと思っていたぞ、戻って来てくれて感謝する!」
「よく言うわよ、あんなに絶望した顔してたのに。まぁ、一瞬ヒヤッとしたけど、パーティに返ってくるっていうなら歓迎してあげるわよ!」
「この女ではあなたの相棒は務まらなかったのでしょう。やはり、あなたのパーティはここにしかありませんよね」
まるで窮地を脱したかのような三人の態度と、引っ掛かりを覚える言葉に俺は首を傾げる。
「え、なんで俺がパーティに戻る感じになってるの?」
「ん? ち、違うのか?」
ロードが馴れ馴れしく肩にポンと手を置いてきたので、俺はその手をどかす。
「いや、普通に違うでしょ。なんで殺されかけたパーティに戻るの?」
俺が当たり前のことを言うようにそう言うと、オリバは言葉に詰まってそれ以上何も言わなくなってしまった。
「え、えっと、私たちのパーティに戻るために、戻ってきたんじゃないの?」
リリスが俺の二の腕に触れながらそう言ってきたので、俺はその手を軽く払う。
「違うよ。ダンジョンのボス倒して、お宝も探し終えたから、街に戻るためにここを通っただけだよ」
「ボスを倒した? え、ま、マジで言ってるの?」
「そうでもないと、こうやって戻ってこないでしょ」
俺がそう言うと、リリスは目を見開いたまま言葉を失っていた。
「わ、私たちS級パーティよりも、そこの剣しか能がない女を取るというのですか?」
「剣の才に長けたサラさんを取るよ。オリバたちと比較にならないくらいに強いし、ちゃんと俺のことをパーティの仲間として見てくれるしね」
ナナがサラさんを指さしながそう言ったので、俺は少し皮肉を混ぜて返した。
すると、ナナは一瞬何かを言い返そうとしてから、唇を噛んで俯く。
「……クソガキがっ」
ただ一人、オリバは俺を強く睨んでいるみたいだが、なぜ睨まれなくちゃいけないのか。
ていうか、なんでこんな所にいるんだろ?
そう考えた俺は、ふむと考えてからオリバ本人に聞いてみることにするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます