第9話 思わぬ来訪者

私たちは試験場の反対側の方に移動した。


「さて、まず魔法適性を確認したいのですが、魔力量と属性、傾向を教えていただいてもよろしいでしょうか?」

「はい、まず魔力量は85、属性は火、傾向は…一応中立ってことになってますが、多分今日は弱光くらいかと」

「えっ………と、"今日は"というのはどういう意味でしょう?」

「私、理由は分からないんですが日によって傾向が変わるので…」

「なる、ほど…」


ジョセフさんはそのまましばらく考え込む。なにかまずいこと言ったかな。


「…わかりました、ではテストを始めましょう。まず手のひらの上で炎を出してみてください」

「はい」


私は指示通り手の上で小さめに炎を出す。


「では次はその炎の大きさを調整して……」


――――――――


「はい、以上になります」


その後も色々な指示にしたがって魔法を使っていって、今やっとテストが終わった。


「ありがとうございました」

「それでは今日はこれで終わりになりますので、お帰り頂けます。出口までお送りしますね。」

「はい、わかりました。次はいつ頃来ればよろしいでしょうか…?」

「テストの結果と一緒にお手紙でお知らせする予定です。配属先との相談もいれてだいたい1週間くらいでお伝えできると思います。」

「わかりました、ありがとうございます」


――――


こうして私はジョセフさんに研究所の入口まで送ってもらい、帰りの馬車の前に来た。


「それではお気をつけて」

「今日はありがとうございました。」


私はそのまま馬車に乗り、帰路についた。


――――


家に帰ると、玄関でリナがソワソワしながら立っていた。


「あ、シェリーお姉様!」

「リナ、どうしたの?」

「大変なんですお姉様!」


リナが少し泣きそうになりながら言う。


「落ち着いて、リナ。何があったら教えてくれる?」

「えっとそれが……オスカル殿下が今いらっしゃってて…!」

「?うん、リナに会いに来たんじゃないの?」


愛情を持っていなかった私にすら形式的だけどたまに会いに来てたから、リナに会いに来るのは自然なことじゃ……?


「いえ、それが、私ではなくシェリーお姉様に用事があると!」

「…え、私?……ちなみに用件は何か聞いた?」

「いえ、それとなくお伺いしても教えてくださらなくて…」


なーんか嫌な予感しかしない。でも無視する訳にもいかないし…


「わかった、じゃあオスカル殿下にお会いするから案内してくれる?」

「はい…」


私達はそのまま玄関から移動し、数多くある来賓室のうちの1つの前に着いた。


「ここです…」

「ありがとう、リナ。」

「あの、私も一緒に入りましょうか?」

「いや、大丈夫。それで何か言われても困っちゃうでしょ?私一人で何とかするよ。」

「わかりました…お気をつけて」

「うん」


コンコンッ!


私は来賓室のドアを叩いた。

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