第7話 入所テスト②
「では、答案を頂きます」
2時間のテストが終わり、今は副所長さんに答案を渡してカンニングチェックを受けているところだ。
テストの内容は、私はてっきり穴埋めで単語を答えさせるような形式かと思ったけど、実際は答えがなさそうな問いかけに対してひたすら意見を書くというものだった。
特に面白かったのは"何故人が使える魔法は火、水、土、風の四属性に分かれているのか?"という問いだった。私はそもそも属性が分かれているのはおかしいと考えているので、その辺のことも含めてスペースギリギリまで書いた。ちょっと余計なことまで書いちゃった気がするけど、それで減点されてもそのときはそのときだ。
「はい、カンニングはしていないようですね。それでは私はこのテストの採点と別の仕事があるので失礼いたします。この後はこちらのジョセフ所員について行ってください。」
「ジョセフ・パウエルです。よろしくお願いします、シェルシェーレ様。」
そう言って挨拶してくれたのは茶髪に青い目をした爽やかな青年だ。私とそんなに歳は離れていない気がする。
「こちらこそよろしくお願いいたします」
「では、こちらへどうぞ」
そういうとジョセフさんは私の前を歩き始めた。
「次は魔法の実技テストになりますので、軍事試験場まで移動します。」
「わかりました」
「…ところで、先程のテストはいかがでしたか?」
「何をどこまで書けば良いか分からなくて難しかったです…あ、決してテスト内容にケチをつけているわけでは!!」
「ハハ、大丈夫ですよ。私も入所のとき同じテストを受けたときに似たようなことを考えましたから。」
「それなら良かったです」
「次の実技テストは、筆記テストに比べると重要度は低いので気軽に構えてください。」
あれ、そうなの?結構実技の準備頑張ったんだけど…まあテストで使わなくても今後も使えるし無駄にはならないからいっか。
「はい、わかりました」
――――――
しばらく歩くと、試験場らしき広けた場所にでた。試験場とは言っても見た目は騎士の訓練場のような感じだった。そして実際そこでは騎士らしき人達がなにやら色々な武器を持って振ったり丸太を斬りつけたりしている。
「ここが軍事試験場です」
「広いですね…騎士の方々は何をなさっているんですか?」
「ああ、彼らは第7騎士団の皆さんで、試作した武器のテスターをして頂いているんです。」
「第7騎士団…?」
「彼らは帝国騎士団の中でも少し特殊な騎士団で、帝国にとって脅威となる可能性のある個人や組織を取り締まる役割をになっているんです。それでその際に証拠としてでてくる魔法具や魔法陣なんかの調査に魔法研究所が協力する代わりに、騎士団の皆さんにはこうして試作品を試してもらっているという訳です。」
「なるほど、そうなんですね!」
要するに第7騎士団と魔法研究所はウィン・ウィンの関係ってことか。
「お、新米さんか?」
突然後ろから声が聞こえてきた。声の方を振り返ると…
「あ……!!」
そこには見覚えのある人物が立っていた。
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