【助】(8/22)海人というベテラン


 海人うみんちゅという者が存在する。


 ススム君が鳴人ガァんちゅこと天野アマノ蒼空ソラ氏の配信やコミュニティを通して知り合った人間であり、年齢も性別も定かではない。しかし、明らかな部分は二点だけ窺い知ることができる。


「すごいなぁ、この人」


 創作の〝歴〟が長く〝海〟を愛する。


 彼または彼女のペンネームも主催する企画も海にちなんだものであることから、ススム君はエッセイ内で氏の存在を海人うみんちゅと表記することにした。


 ススム君よりも推定数十年は長く生き、二十五年という長期にわたって創作活動を続け、ススム君のおそらく数十から数百倍の書籍に触れてきたであろう存在、海人うみんちゅ


 海人には独特のオーラがあった。


「あー、見れば見るほど……」


 本章三話で言及したプロレス回、ススム君を紹介してもらった配信のシリーズで以前、海人うみんちゅもまたアンケートに回答し特集を組まれている。


 ススム君の目から見た海人うみんちゅは、活動にせよ作品にせよ並々ならぬ独自の審美眼や拘りと判断基準を持つ者に見えた。その理由を、海人うみんちゅに関して詳らかに明かす配信内容から垣間見る。


 時に尖った内容も発信しながら基盤としては温厚な人柄を崩さない海人うみんちゅに、ススム君は畏敬の念を抱いていた。



 海人うみんちゅが、企画を主催。

 

 ススム君はと言えば、参加を躊躇。「僕が企画に参加するなら生半可なものは書けない。そうするくらいなら遠目に見守った方がマシ」くらいに考える。

 他の参加者に対してそんなことを思うわけではなく、きっと「生半可」だとか些末なことは海人うみんちゅを含め誰も言わないし感じもしない。きっと、楽しく気の向くままに執筆することが望ましい。しかしススム君の目から見た自分自身の在り方と、海人うみんちゅとの向き合い方という個人と個人の部分から尻込む。


 ススム君は現在発表中の作品を「不真面目」に執筆していたわけではない。一つ一つに正面から対峙し、真摯に向き合っていた。だが、変であることは否めない。


「文学の人だもんなぁ、海人うみんちゅさん」

 

 海人うみんちゅは正道や王道のイメージが強い。

 

 ススム君は自分の作品をずっと「エンタメはっちゃけ文学もどきの変な小説」だと思いながら生きる。

 その形が好きだし大切にしたい部分もあることから「変な小説」と思われること自体は「成功」であり、良しとしている。


 しかし「毎回コイツ変なのばっか書くな」「変なのしか書かないんだな」と思われるのも寂しい。


 ススム君は、海人うみんちゅを意識し「変じゃない文学」を目指し始めた。


 鳴人ガァんちゅに次ぐ二人目として多くの方々に知って欲しい、存在そのものが〝助かる〟創作者、海人うみんちゅ


 海人うみんちゅ真名まなを〝うみべひろた〟という。


 次回、うみべ氏による企画編。

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