(6/6)ノスフェラトゥ リリノア

 ノスフェラトゥ リリノアという作品。


 それが僕の新たなしとなった。


 正式名称が分からない「詰め込み型アーケードゲーム筐体」に収録された、合計で二十三種類のゲーム作品。


 あー書きながら寂しくなってきた昔なら二十三台の筐体が置かれてたんよな、何なら人気格闘ゲームなら二台三台とあったし、店内どこでもタバコが吸えた。


「わ、1クレ100円なんですね!?」

「マジか、世知せちがらいねぇ」


 驚くテツ君の声を聞き筐体に目を向けると、確かに一度のプレイで100円を要求される。かつては50円だったし、タバコも今の半額以下だった。


「この格ゲーとか、息が長いですねー」

「待ってテツ君、これ! 刺さる!」


 二十三作品のうち一つ、銀髪の儚げな少女に僕は目を奪われた。


 音楽媒体におけるジャケット買い、書籍でいうところの表紙買い、それと似た現象が発生し銀髪少女のゲームアイコンを選択。


「うわ、これは……」

「いやさすがに草」


 小さなアイコンの時点で僕は高揚し内心では「ケイブか? ケイブのシューティングか? 鋳薔薇イバラに絵の雰囲気近いもんな?」と期待に胸を高鳴らせたし、選択して大画面でタイトルメニューが映し出された時は「うお、鋳薔薇イバラに雰囲気近いと思ったけど、こっちさらに令和寄りやんけ!」と興奮は最高潮に達している。


 だが、予想外のゲームジャンルだった。



 ノスフェラトゥ リリノアのデモムービーが流れ始める。

 

「シューティングだと思ったんですけどねぇ」

「テツ君も? 僕もそう思った。まさかの、だったね」


 まさかの、2D横スクロールアクションゲームという真の姿に二人で驚愕した。

 しかもグラフィックというかドットが異様にショボ……いや、温かみを感じさせる奥ゆかしいデザインである。


「これはこれで同人ゲーぽくて良い気もします」

「うん、意図的にこのクオリティ出してる可能性もある」


 後日、一人でゲームセンターに行き直した僕はノスフェラトゥ リリノアの素晴らしさを思い知った。

 何から何まで製作者の性格を感じさせる、多くの意味でヘキに刺さる作品である。

 そのうちノスフェラトゥ リリノアのプレイを重ねてからエッセイを書きたい。最低週一、数百円でも落としたいと思う。推しは推せるうちに推す。


 あの日、道中やゲームセンターで語らった創作や人生についての内容も十分に意義深いものだったけれども、ノスフェラトゥ リリノアによって新たな習慣やささやかな人生の楽しみが増えました。


 きっかけ作りにお付き合いいただいたテツ君、ありがとうございます。


<了>


 

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