(3/6)ハンバーグと羊肉串


 時に、カラオケやネットカフェで提供されるフードメニューはクオリティがそう高くない。しかし、それでいい。何故なら「食べる」がメインではないのだから。カラオケは歌う場所、ネットカフェは寛ぐ場所。店舗スタッフの負担も多い。

 これは単に僕が貧乏くさいだけなのだけれど、カラオケのフードメニューにお金を払うよりかは数百円足して別な店舗で! と思ってしまうから一人の時はあまり注文せず飲み物だけ頼みがち。

 ただ、友人や彼女と行く時なら気にならない。楽しく歌い楽しく話ながら適度につまむ食べ物なら、何でも美味しくなる。


「うわ、信じられない安さだねハンバーグ」

「そうなんですよぉ」


 サイゼリヤのハンバーグは、異様な低価格を誇る。


 低価格の代わりに、少し乱暴な表現になってしまうがカラオケのフードメニューに近い味と厚みのハンバーグが登場した。

 でも、問題ない。楽しく歌いながら食べるカラオケという場と同じように、多少クオリティが必要水準に届いていないハンバーグも、気になったのは最初の一瞬だけで後は美味しく味わいながら楽しく会話を続けた。



 サイゼリヤのアロスティチーニが、すごい。


 この話題の前に、北海道のジンギスカンに触れておく。羊の肉を用いたジンギスカンと呼ばれる焼き肉の形式は大別すると二種類が存在し、肉に味がついているか否かで区分される。

 タレを漬け込んだ肉厚の羊肉に対し、一切の味付けがなく多少の生臭さを残す冷凍スライスタイプの羊肉もまた味わい深い。価格もリーズナブル。


 味を後から足す場合は通称「ベルのたれ」と呼ばれる調味料が活躍する。正式な名は忘れたが、確か製造元がベル食品だったと記憶している。


 ベルのたれが、実際強い。本来なら漬け込みタイプの足元にも及ばないはずの冷凍スライス羊肉が、ベル食品の力を借りて化ける。飛躍的な進化を遂げる。なので低価格の冷凍スライス羊肉も漬け込みタイプと同等のポテンシャルを持つ。


 話を戻し、アロスティチーニ。


 サイゼリヤのメニューに記載されたアロスティチーニは、気取った名前をしながら早い話が羊肉の串。この一品が良かった。しっかりと、味も風味も羊肉でしかない。ベルのたれが欲しくなるタイプの、羊肉。


 本州にお住まいの方々でサイゼのアロスティチーニが口に合う人は、きっと北海道を訪れた際にジンギスカンも気に入るはず。

 サイゼ未経験ながらジンギスカンは好む北海道民がいるなら、アロスティチーニという一本の串からきっとサイゼリヤを大好きになるはず。


 そんな、可能性を感じさせる一品だった。

 

(備考)

投稿前に読み返して思ったんですけど、前回のマックの標準バーガー然り今回の冒頭然り、貧乏くさいなーみみっちぃなーと思います。

貧乏とも違うのかな、なんというか一食一食を真剣に悩む的な。


いや、でもこれは貧乏くさいのかもわからん。書籍化してたり潤沢な予算があれば「フードメニュー? 片っ端から行くぜヒトカラ(一人カラオケ)だろうが豪遊だ! ガハハ!」と、なるのでしょうか。


書籍化してえな! 完!

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