(2/6)サイゼリヤは美味しい

(備考)

この回だけ読む人がいた場合、伝わりにくそうですが本文中の「テツ君」は筆者の後輩というか付き合いの長い友人です。

彼のガチ本名を無断でかっぱらって「トモフジテツ」の「テツ」部分に組み込みました。

勝手にペンネームに使われてしまうことやエッセイであれこれ書かれてしまうことに関して実在の方のテツ君本人は了承済みです。懐が深い……

(以下、本文)


 テツ君は車を所持しておらず公共交通機関を活用する人間なので、迎えに行き走り出しすぐに僕は一言だけ断りを入れた。


「今日の話は別に、いくら僕でもネットで垂れ流したりエッセイにしたりはしないから!」


 嘘である。結果的に「いや大丈夫ですよ書いても」というテツ君の言葉に甘えて、こうして執筆を開始。


 サイゼリヤに着くまでの間、エッセイの良し悪しや捏造の匙加減について意見交換をする。有意義な時間であったし、やはり僕はしばらくの間は捏造ゼロ路線で続けたいと思った。


 サイゼリヤに、到着。


「これ、自分のスマホで注文するんですよ」


 スタッフを呼ぶでもタッチパネルを使うでもなくQRコードを読み込ませ、携帯端末でオーダーするシステムが新鮮に映る。


「あれじゃん、噂に聞くサイゼの間違い探しじゃん!」


 短文投稿媒体で百万回は目にした「間違い探し」についても、テツ君から多くの体験談を聞く。


 序盤、普通にどれもこれも美味しい。僕は同じイタリアンというカテゴリでも値の張る店舗を訪れたこともある、その経験と比較しても「あまりに不味い」という感想にはならなかった。


 他のチェーンで例えるとマクドナルドの標準ハンバーガーは正直あまり得意ではない。朝マックのソーセージエッグマフィンや秋の月見バーガーは好みつつ、それ以外のラインナップにお金を払うくらいなら数百円上乗せしてモスバーガーを選びたい。

 というか、モスバーガーの価格帯なら更に数百円足すことで食べることが出来る贔屓のラーメン屋に行きたい気分の日もある。

 サイゼリヤに話を戻すと、中盤までは「マクドナルドにおける標準ハンバーガー」に該当する品に当たることがなく、満足感が高かった。


 さすがに「有名店にも引けをとらない」とは言えないし、それを言ってしまうと高価な料金相応にこだわる店舗に失礼な話になる。それでも、実際サイゼは美味しい。


 マクドナルド然り他のファミレス然り、チェーン店を低く見てはいない。全国各地に点在し均一な味を提供する姿勢もまた尊く、出張や旅行で遠出した際に口にすることで安心する瞬間もある。安心できる味は、大切。


 優しく、癖が強すぎず、安心できる「普通に美味しい」という暖かさ。


 こういうのも、尊い。


 僕は元々「わざわざ、その店舗に行かなければ食べれない味」が好きだった。もっと言うなら「合わない人には絶対に合わずボロクソに扱き下ろされる可能性があり、なのに店主が強い意志を持ち提供するので刺さる客層にはとことん刺さる」という味が大好きだった。実際、そういうお店もある。にぼしラーメンとか。


 それはそれとして、サイゼはサイゼで良い。美味しい。

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