(1/6) 誕生日
(備考)
壁打ちの内容だから敬語の文体崩してもいいや。
あと毎朝投稿を謳いながら予約投稿忘れてました。
(本文)
六月一日の回にも一瞬だけ登場したテツ君。それ以前の内容でも、このエッセイに名前が挙がることが度々あったテツ君。
トモフジテツというペンネームのテツ部分を担当する高校時代の友人に、僕は五月某日いきなりラインを送信した。
『テツ君、五月△△日サイゼリヤ行かないすか! テツ君の、おごりで!』
秒で既読が付く。ただ、冷静に考えるとカス極まりない文面と気付いた。百歩譲って唐突に食事に誘う部分までは許されるとしても、それならそれで文末は「僕のおごりで!」ではなかろうか。
恥ずかしくなって送信取り消しを使おうにも、既読がついてしまっては手遅れ。段階を踏んで意図を話すべきだった。
『時間はテツ君に合わせる! 急だし予定入ってたらやめとく!』
そんな追撃を打つ前に趣旨や動機を書けばよかった。
しかし、五分後に承諾の返信。
この五分の間にスケジュールを確認してくれたのかもしれない。一つ年下のテツ君は忙しい立場や業務と聞き及んでいる。
*
五月某日、合流。
「コイツ何年経っても思いつきで行動するなぁ、って思うよな? ごめんん」
運転席で謝る僕に対し、苦笑いする助手席のテツ君。
どうしてサイゼリヤだったかと言うと、僕が創作界隈の友人とスペースか何かで喋りながら「そういえばサイゼリヤや鳥貴族、行ったことなかった」と気付いたことが理由。先延ばしにし続けた「人生初サイゼ」というイベントを、決行する。
「なるほどぉ、なら記念すべき日になるわけですね?」
「そうそう! 僕にとって歴史的な一歩になる!」
だったら年下にたからず自分で支払え、という話だがそこにも理由があった。わざわざ自分からアピールもしなかったしテツ君が覚えているか定かではなかったが、その日は僕の誕生日。
二十五歳頃から「誕生日」が嫌になり年齢を実感することが憂鬱だったものの、カクヨム近況ノートで一万文字かけて記したように今年は誕生日もとい「五月」そのものに浮かれていた、年に一度くらい良かろうという気持ちで臨む。テツ君は、学生の頃も祝ってくれた。
「本当にサイゼで良いんですか、って何回も聞こうと思ってました。初めてだったら納得ですね!」
「そうそう、かなりワクワクしてる!」
テツ君は僕の誕生日を覚えていた。
誕生日に自分に支払わせるというのに、この店でいいのか? コイツ正気か? と内心で戸惑いながらテツ君は当日を迎えたらしい。
しかし、僕にとっては実際とても良い日になった。
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