(3/4)ATOKとの死闘
アプリを入れた数日後に〝戻し方〟を理解したキモニキだったが、イケてると思い選んだ
しかも、
「お前が消失するのが先か……お前を調伏してやるのが先か、やってやろうじゃねえかッ!」
別に、消えはしない。
しかし、キモニキは設定を盛る。ATOKが
その方が、テンションが上がるからである。
「あ゛あ゛ー、クソが!」
気持ちだけではどうにもならず「き」を打とうとしたはずが指を弾く角度を誤り「か」や「く」になることなど日常茶飯事。
「闇の力……使いこなしてやらぁッ!」
闇でも何でもない。むしろ「多くの者に快く端末を使用して欲しい」という願いが込められ誕生したATOKを闇呼ばわりとは、失礼極まりない話である。
*
死闘の日々は続く。そしてキモニキは、百獣の王が行使すると聞き及んでいた一つの習性から突破口を見出した。
獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす、ならばキモニキもキモニキ自身を死の淵に送り込めば良い。死中に活を求める、背水の陣。
「早く打たなきゃ死ぬ、早く打たなきゃ死ぬ、早く打たなきゃ死ぬ」
「文字を、打たなきゃ……死ぬッ!」
発言の遅い者、入力文字数の少ない者は初心者であろうと徹底的に
「
諸説あるが、ATOKの予測変換は心なしか賢いという情報も確認されている。この日、単にキモニキの体感によるものなので気のせいという可能性もあった。しかし妖刀が侍の力や存在を認めるかの
ようやく、ATOKが〝応えた〟瞬間。
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