第五章 社畜と入力補助アプリ編

まえがき


 今回の章は箇条かじょう書き三点で済む内容を盛りに盛った全四話のエッセイとなる。つまり、いつにも増して役に立つこともなければ、誰も助からない。お気持キモちを叩きつける中年オジサン、略してキモオジの自分語り。


・ATOKという素晴らしいアプリがある。

・キモオジ(トモフジテツ)が愛用している。

・しかし、積極的に広めることはなかった。


 これで終わる話であり、もう二点だけ書き添えるならば注意点の追加。


・ATOKとは携帯端末の文字入力補助アプリ。

・ATOKは、とことん「人を選ぶ」アプリ。


 本当にこれだけの内容を、ATOKとの出会いや痛々しい時代の思い出、納得のいかなかった体験などを例によって長々と三人称視点の文章として執筆する「いつもの」が始まる。

 よって、こんなエッセイなど読まず直ちに「ATOK」で検索し試しに触ってみる方が遥かに有意義な時間の使い方と言えよう。百聞ひゃくぶんは一見にしかずということわざも存在する。


 それでも百聞ならぬ〝千文〟をもって、自分にしか伝えられない痛々しくも懐かしい物語があるのではないかとキモオジは気付く。だからこそ、書くことにした。


 これは〝恥〟と武器の歴史。


 武器であり戦友ともと呼べる存在、入力補助アプリ。



 執筆に至った発端は二〇二四年、五月某日。


 キモオジや他の創作界隈ユーザーと親交の深い作家兼配信者の男性がWEB作家を紹介する企画を終えてからの、SNSにおけるタイムラインで交わされた会話。


ATOKエイトックがあるから自分は打つのが早いのかも。ATOKなかったら倍くらい執筆時間かかりそう。もしATOK使用不能になったら創作活動やめるまである」


 何の気なしに、キモオジはお気持ちを発信していた。


『コレ!!!

何故オーサーズイントロダクションで書かなかったのです!?!?!?

入力補助ソフトじゃないですか!!!!!!』

(転載許諾を得て原文を引用)


 くだんの〝配信〟はオーサーズイントロダクションと呼ばれ、主催が事前に実施したアンケートを基に作家を紹介するという構成。


「ATOKそんなに重要なら、配信前のアンケートで書け! どうしてノータッチだった?」というニュアンスを含む配信者からのツッコミである。


 間違いなく真っ当な正論パンチ。


 しかし、キモオジは多くの者から長年にわたりATOKを全否定され、ATOK布教という行為を恐れていたのである。その上、他ならぬキモオジ自身もかつてはATOKの使い辛さに激しく苛立ちを覚えていた。


 日和ヒヨって〝守り〟に入ってしまったキモオジは配信者のツッコミを受け我に返り、今一度ATOKとの出会いや問題点、そして素晴らしさをテーマとしたエッセイの執筆を決意する。

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