(8/8)ゲストとホストの関係

(備考)

昨日コメントいただいて、そこからまたエッセイ生まれたので(?)これの次に前後編が挟まり「助からない編」終わります。

(以下、本文)


 成人後、エッセイを執筆するキモオジが改めて振り返ると〝友人〟に大仰な動機などなかったようにも思える。

 一人で遊ぶ場合は御供ヘルパーの立場、目線でキャラクターを操作する機会はおそらく少ない。だからこそ、それを体感したかった友人によるほんの気紛れからくる結果だったのかもしれない。


 しかし、小学校の高学年に差し掛かるクソガキは度々あの日を想起しては「友人が全力で自分を楽しませてくれた」と感じていた。


 そして、クソガキ自身も〝それ〟を試したくなる。


 何歳の年か、父親から「中古のゲームソフト一本で良いのか?」と不思議がられながら、誕生日プレゼントとしてピンク色のまん丸生物が登場する作品を獲得。

 まずは〝やれる〟ようにクソガキ本人がシステムや攻略の構造を理解するよう勤しむ。


「ゲームしねー?」

「やる!」


 クソガキは弟を誘い、差し込むソフトは当然ピンク色のまん丸生物が活躍する作品。園児の頃は一人っ子だったクソガキも、小学生になってから「兄」となっていた。


 使う操作機コントローラ御供ヘルパーの側と、決めていたクソガキ。


「大丈夫、兄ちゃんは勝手に変えれっから」

「すげー!」


 意外なことに、御供ヘルパーの全権をピンク生物が握るという認識は誤りと知る。御供ヘルパー御供ヘルパーなりに任意のタイミングで出現や自爆、能力の変更といったアクションを実行可能なのである。


 クソガキから見て弟の笑顔は輝いているように見えた。在りし日の自分もこんな風に楽しんでいたのかと懐かしい気持ちを覚える。


 かつて友人を通しうっすらと教わった〝概念〟は、実践を通して確信へと変化。



 イキりたいわけではない、マウントをとりたいわけでもない、シンプルに目の前の弟が楽しそうに遊ぶ姿を見るのが、只々喜ばしい。

 

 弟の楽しさに寄与できたなら、嬉しい。


 招かれる者と招く者、もてなされる者もてなす者、ゲストとホストの概念そのものは他数名の友人達を通して学んでいたクソガキ。

 だが基本的に同年齢、対等の関係で接する中での遊び方。それはそれで良い。


 変化。


 自分よりも若い存在、自分よりも持ち合わせる情報が少ない存在、そんな人間に対しても可能な限り寄り添い工夫したいという気持ちがクソガキに芽生える。


「よし、全クリ!」

「楽しかった!」


 ある意味、年の離れた弟によって授けられた大切な心構えである。


 自己満にならず工夫しようと願うことは、きっと接待や忖度とは違う。そんな風にキモオジは今なお考えている。


 人も書籍も、知識も言説も、鵜呑みにしない。


 自分の中の定説を過信せず、更新を意識する。


 人が楽しんでいると自身も幸せな気持ちになる。


 この三点はクソガキが一人では辿り着けなかった部分かもしれない。そう思いキモオジは家族や友人に改めて感謝の念を抱いた。

 辿り着いたつもりになっているだけで、キモオジと化した現在もしっかりと実践できている自信は更々ない。


 それでも、キモオジが歩む人生における羅針盤を形作る重要な要素であることは確かである。


 楽しみたい、できれば楽しんでもらえると嬉しい、そう考えながらキモオジは今日も、一銭にもならぬ文章を日々ちまちまと書き続けていく。


<了>

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