会話劇の無自覚なキツさと、空撃ちの空行


【キツいやつ例文】

「こんなの誰も読んでないのに、一気に三件も投稿してどうすんの」

「本当にそう思う。仕事した方がいいんじゃないかな」

「大体、誰かに言われるまでもなく『そんなの知ってます』って内容ばっかなのにね」

「これ単に、作者がアホで知らずに活動はじめてから二カ月後くらいに

『目から鱗だ!』って思った部分を集めてる感じなんよな」

「それ。ただ、無自覚や無意識でも一人称と三人称は決して混ぜない派だったのは偉いかもしれない」

「あとアプリに助けられてるとはいえ、段落の頭は全角スペースとかの部分は初期から徹底してたね、この作者」


(三つのキツさ)

①そもそも、何人いるのか分かんねえ。

→六人が喋ってるのかもしれないし、独白で鏡に向かって語ってる可能性もあれば、一対一で対話してる説もある。


②誰が発言してるか分かんねえ。

→独白という可能性を切った場合、最小二人〜最大六人の口調やキャラクターが似通っており、判別が困難。


③謎の改行

→上から四つ目の発言。『』を用いる部分、つい段落(行?)を分けたい気持ちになるかもしれんけど、台詞が長かろうが行は分けずに一息に書くか、どうしても分離したいのなら次の発言順を回らせた時に続きを落とした方が良い気がします。


【地の文なしで、キツさ軽減】

「こんなの誰も読んでねえのに、一気に三件も投稿してどうすんだよ」

「私もそう思います。仕事に戻った方がいいんじゃないですかね……」

「っすよね! つーか、誰かに言われるでもなく『そんなの分かるっすよ』って話ばっかじゃないすか」

 

「これな、作者の奴がアホのまま活動はじめて二カ月後くらいに『目から鱗だ!』って思った部分を集めてるだけだろ」

「そうですよね。ただ、無自覚や無意識とは言え一人称と三人称は決して混ぜない派だったのは偉いかもしれません」

「あとアレっすね……執筆アプリのお陰っすけど、段落の頭は全角スペースとかの部分は初期から徹底してたみたいっすよ、この作者」


(差別化と空行)

・差別化

→粗野な人、敬語で静かな人、フランクな敬語の人

 三人を分けると性別はさておき①と②の問題は簡単にクリアできると思いました。

 一人称や語尾で更に差を付けたり、方言やパンチの効いた個性を持たせたら会話劇が続いたり三人以上が一斉に喋る場面でも、読む人にかかるストレスが減るかな? と感じます。


・空行

→多分これ、めちゃくちゃ賛否というか肯定派と否定派……もっと言うなら否定過激派もいると思うんですけど、ことWEB媒体の横書きならバシバシと空行を入れて良いんじゃないかなと僕は考えてます。


会話劇に限った話ではなく時には地の文と地の文の合間にも、です。


 特に地の文を薄めで会話を濃く描写したい時(*注意1、後述します)は、三人の会話なら発言三つ→空行→発言三つ、とすることで①の問題は確実に避けられます。

 キャラクターに差別化を図れば「発言三つ」の中で喋る子の順序が入れ替わってもギリ伝わるかもしれません。(*注意2、後述します)


 二人きりの会話なら発言二つ→空行→発言二つ→空行→発言二つ、と置くことで……同じ「台詞が六つ」でも直感的に「あー、二人で話してんやろな」と伝わりやすいかも。



注意1、地の文を薄めで会話を濃く、の件

→まず、この行為そのものを許容できない否定過激派も一定数は居る印象です。

 なので、退っ引きならない事情がない限り「空行」に相当する位置は「地の文」を挟むと喜ばれるかもしれません。


 また、その時の書き方として上記に準えると……

①台詞三つ→空行→地の文→空行→台詞三つ

②台詞三つ→地の文→台詞三つ

 という、空撃ちスタイルとギチギチ直撃ちスタイルも、人によって好みがガッツリ分かれるなー、と色々と見聞きした結果、思いました。


注意2、喋る子の順序を変えちゃう件

→地の文を挟むかどうかはさて置き、ひとまず挟まない前提とするなら……


「〜だろ」

「〜ですよね」

「〜っすよ」


「〜でしょうか?」

「〜っすかねえ」

「〜だな」


 ①、②、③が空行を境に②、③、①の子の順番になってしまっています。

 いや、多分キャラクター次第では「伝わる」とは思いますけど、にしても人数や状況次第ではキツいかも。

 仮に一対一の会話だとしても、内容によっては順を変えるとキツいです。


(余談)

否定過激派の話に繋がりますが、思うに「真っ当な小説」「きちんとした文芸」って、


数行の濃厚な地の文

「一行〜二行のコンパクトな台詞」

濃厚な地の文

「一行〜二行の(以下略)」

濃厚な地の文

(アクセントや場面転換に空行)


 的なフォーマットが好まれる気がするんですよね。

 しかし、自由に書けて気軽に読めるのがライトでカジュアルなエンジョイ文芸の良さだと思ってるので「古き良き」に縛られ過ぎる必要もないのでは……と個人的には思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る