第28話

そしてふわっと優しく体が浮く 

東国の姫ことわたし。

指一本で刀のかしら(頭)を、

抜刀の構えのままわたしごと持ち上げた王子。


もういつからか全然チカラは入ってなかった。

ぷすぷすと 焼けた人肉 血の生臭さが、漂う

わたしは血だらけ 蒼い雷の発光もすっかり消え

きっと化け物みたいに赤黒い物体に

成り果てているだろう なんとなくわかる。

いまは全身焼きただれた人間だ

抜刀の構えもやめないのではない 

体が硬直しはじめていた。

もう指一本動かせない。

そして意識が遠のいていく… 

ああ…わたしは醜い姿で今から死ぬんだ… 

まあ民草が助かればそれでいいか…

きっと王子は約束通り東国の食糧難を

助けてくれる気がする…

もう疲れた…眠い…


わたしは目を閉じようとした

そのとき


「もういい、充分だ」と王子が言う。


優しい声色だ

限界を超えたわたしのチカラを見てくれたからか

 

いや、わたしの今まで生きてきた全ての努力が

その一言で報われた気がした。

思わず最後の死に際のチカラを振り絞るわたし


「あ、あり あと…」 

ありがとう 

血の涙が、王子に落ちる 

ごめんねあなたの綺麗な顔を最後に汚くして…

こんな化け物に成り果てたわたしに

お礼いわれても迷惑だよね…



「いや、お前は美しい。」

また優しい声色の王子


嬉しい…。 

今まで刀に身を捧げ

恋をしたことのないわたし 

心臓の鼓動はよわってきているが

ドキドキしてるのは自覚できた。


だけどさっき無理にわたしは

しゃべったせいか口から

血の泡が出て

そして身体から痙攣がはじまる 。

心臓が止まりかけていた、

わたし。





よし 充分だってオレが言ったら


東国の姫こと役者と目が合う 

多分試合おわりを合意してくれた気がした。 

最後まで抜刀させなかったし

オレの判定勝ちは確実だ!

まあ抜刀させないというか 

そういうパフォーマンス大会だったからな。


ってやばいやばい!この子発作が…

いや進行はやっ!

もう末期かよ!


え?

ありがとう って言われた。


いやお礼をいうのはこちら側だって

パパンが無理に言って 

病気なのに八百長付き合わせてごめーん。

たださすがプロだ

死ぬ気のパフォーマンス 

いや死ぬぞこれ…

命を失ってする仕事に意味なし

だが…

だが…

「いや、美しい」

本心だ

病気の発作の中 

絶対にあきらめるかと無理でも抗い抗い抗い 

たかだか仕事なのに

国のためだからって本当に死ぬ気でがんばって

病気も隠してたんかな?そんな気がする。 

だから美しいのだ。

美しいものは美しい 見た目ではない

だから本当に美しいものをみたらつい言葉に

オレは出るのだ


オレならすぐ諦めモードだからな…


まだ試合中だけどエリクサーぶっかけないとな


医療班とか もう間に合わん!


うおおっ 血の泡を吹き痙攣してきた

役者姫。

血の泡を一心にあびるオレ。


だが少女の顔は真っ青なのに血の泡でなのか 

いや

頬だけは赤く染めてはにかんでるよにみえた


すぐ異空間からエリクサーを取り出し振りかける


みるみるうちに回復

試合まえの健康体に元通り

呼吸も正常だ


まあ病気も完治しただろう。

ただ失った血は戻らない…

だから今はゆっくりお休み。

パパンには今から東国の食糧難を救う

手はずをさせるから!


オレには何もチカラがないから、

これくらいしか出来いけど…



姫と呼ばれてる役者は意識がないからか刀を離し 

こちらに倒れてくる


やばい!

抱きしめたら公衆の面前で痴漢現行犯 

言い逃れはできない! 

パパンの権力で揉み消すもさすがに無理がある。

かと言って病気が完治したばかりの、

少女を金剛石のリングに打ちつけさせるわけには…


なにか なにか

いい手は…

焦るオレ


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読者の皆様 初心者の拙い文章ですが

☆ ♡ コメント など

いつも本当にありがとうございます。

励みがんばって参りますので今後ともよろしくお願いします。

思い付く限り執筆 不定期に投稿しますのでぜひフォローよろしくお願いしますm(_ _)m




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