第3話

「あ、、気持ち良い、、」

体を重ねる度に、自分がすり減っていくような気がする。

本当に好きな人意外とするsexは自傷行為だ。

そうわかっていても、この毎日をやめられない。

ただ、流されるように、侑くんと会ってしまう。

こうやって自分で不幸せな毎日を選んでおきながら、その中でぬくぬく過ごしている。

心のどこかで誰かこんな私を止めてくれないかなあ、なんて願いながら。頭の片隅に友晴くんの顔が浮かんだ。彼は優しい友人だ。だけどしょせんただの大学生。彼が私のことを好きだとして、何ができるというのだろう。友晴くんはこんな私のことを知ったらどう思うだろう。かわいそうな子、と哀れみの目を向けるだろうか。こんな私たちをしょうもない二人、と見下すだろうか。

家に帰る前に、パン屋さんに寄った。食べたかったコロネを選んだ。食べたいパンは選べるのに、どうして私は友晴くんを選べないのだろう。

分かっている。私は怖いんだ。

幸せになるのが。

友晴くんと付き合った毎日を想像してみる。勉強を教えあったり、昼間に手を繋いでデートしたり。ちゃんと大学だって毎日通えるようになるだろう。

だけど、酷くこわい。明るい幸せな世界が。

無意識に自分で選んでいい幸せを決めている気がする。コロネは選んでいい。友晴くんは選べない。

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晴れた空の下で 甘夏みかん @na_tsumi

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