第64話、奇策は常に人の常識を越えるもの

自分は早川ちゃんと共に現在は本国の上総・・・ではなく伊豆に来ております。小田原城から脱出した後に自分と早川ちゃんはまっすぐに伊豆の国に来ていた。






その理由は安房国から出陣した水軍と合流して自分が指揮を取り伊豆の国、そして上手く行けばの話だが駿河国も奪おうとしていた。






無論、今川義元にあのリアルチート坊さんのこと太原雪斎を出し抜かないといけないから大変であるが裏で今川家が真里谷家に対して裏工作をしていたのは真実であるのでその報復と言うべきかな。






特に太原雪斎の指示のもとで北条家と真里谷家の間に亀裂を入れる裏工作をしていたからそこを上手く真田幸隆に使われてこのような事になってしまったのだ。






つまりは早川ちゃんを悲しませる原因を作った元凶と言えた。だから自分は誓った、太原雪斎・・・お前が生きている間に今川家を滅ぼしてやると。誰に喧嘩を売ったのか地獄で後悔させるためにもな。






伊豆は北条氏康が今川家と手を組んでいたことに俺に対する備えのためにもこちらには全然、兵が残っておらず安房国から出陣した水軍と合流すればあっという間に制圧が出来てしまうぐらいに。






それにしても早川ちゃんも凄い事を・・・無茶なことを頼んでくるよなと感じていた。確かに今の時期は雨も少ないから海が荒れる心配はないけど・・・万が一に負けたら退路はなく全滅の可能性もある。






早川ちゃんに俺が負けてしまう事を考えていないのかと聞いてみると早川ちゃんは笑みを出しながら答えてくれた。






「私の夫である、真里谷信政は戦術の天才でどんな者でも打ち破る事が出来ると信じておりますので負けることなど考えておりません」






「それは嬉しいであるがいくら自分でも完璧ではないからね。負けてしまう事もあるけど今回ばかりは負けていられないな、こんなに可愛い嫁が自分が勝つ事を信じてくれているのだから」






すると早川ちゃんは期待をしていますから頑張ってくださいねと言われた。そして世間では自分は戦術と内政しか出来ないと言われているけど早川ちゃんはその二つが抜けているだけで他もできる人のことは知っていますと答えた上で更にこんな事を話した。






「昔の書物に三国志と言う物で孫呉が大軍で合肥の地に攻め寄せて戦う前は孫呉の戦略で勝利をしていたのに魏の猛将、張遼の戦術でうち敗れた事もあります。確かに太原雪斎は戦略では夫に勝ったかもしれませんが・・・戦術でそれを覆しましょう、あなた」






全く、早川ちゃんは自分に張遼でもなれと言うのか、でも魏の猛将であり合肥の鬼神と呼ばれた人物になれと言うのなら悪くないな。それにここでうまく行けば真里谷家は歴史に名前が残る事になる。






そのような意味でも頑張らないといけないなと考えていると海の方から安房国から出陣した水軍部隊が視界に見えてとうとう始まるなと考えた。






水軍が伊豆に上陸した瞬間から勝負は始まるから既に甲斐武田家は今川家の遠江に攻め込んでいるので戦いが終える前に駿河まで侵攻してあのリアルチート坊さんを苦しめてやろう。






自分はそう考えと伊豆での戦いなどを考えて水軍が上陸するのを待っているのだった。

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