第49話、酒吞童子の誤算、信政の反抗

さて、まずは諏訪姫のところに向かって来ていた。今頃、諏訪姫は愛する前田家元が牢獄にいて落ち着けない状況であろう。けれども俺との浮気もバレるわけにはいかないと思い出来る限り、普通に接してくるに違いない。






俺は二人の関係を知らないふりをして諏訪姫の前で前田家元を殺すことを話すと彼女はどのようにして助命をお願いしてくるのかなと思いながら俺は諏訪姫がいるところにたどり着いた。






早速、この話をするのは明らかに知っていると思われるのでまずは諏訪姫が無事だったことを喜んでいるように見せるところから始めた。






「諏訪姫、いろいろとあって遅くなってしまった。ともかく無事で何よりだ、謀反を起こして者たちに何かされなかったか」






そう聞いて聞いてみると諏訪姫はそのようなことはありませんでしたと返事を返した。それはそうだろう、前田家元はお前のことが大好きなのに危害など加えるものか、それに謀反を起こされてもこの屋敷が荒らされた形跡は無いし。




実はほかのところでは少ない被害であるが荒らされているところが多く逆に荒らされていないのは謀反人に関係するところだけでこれはある意味証拠にもなるような出来事になっていた。だからこそこの屋敷が荒らされた様子もない。






恐らく謀反を起こした前田家元がすぐに屋敷の安全を確保したのであろうと考えられた。だからこそ安全を確認をしたのですぐに諏訪姫に対して優しく言葉をかけながら






「安心してくれ、諏訪姫。この度に謀反を起こした者たちはすべて処刑をするつもりだ、これで国は一つにまとまることだ。だから今後は謀反など起こすものは出てこないだろう」






そう言うと明らかに諏訪姫の様子が真っ青になって来ていた。そうだ、諏訪姫が好きな前田家元も殺すと言うのだから当たり前の話であるがそれを聞いた時に諏訪姫は俺に対して






「殿、女子が出過ぎたことなのは承知しておりますがどうか一度は許してあげてください。そうすれば度量が広い殿さまだと各地で噂が広まるはずです。そうなれば今後のことも考えますとその噂は他国の侵攻の時に大いに役に立つと考えますのでどうか・・・家臣たちの処罰をお考え直しを」






「諏訪姫、お前の考えはよくわかった。確かにそのような利益が出ると思う・・・しかし、それは国が完全にまとまっている時だけだ。今は父上から家督を奪ったばかりで足元も安定をしていないこの状況でそれをするのは無理がある。一度は見せしめとしてやらねばならない、そうしなければ俺は甘く見られて謀反などまた起こされる。それを防ぐためにも一度は厳しく実行する必要があるのだ」






そう返すがそれでも諏訪姫は家臣たちの命乞いをしてきたので俺は意地悪く、諏訪姫に対して言葉を伝えたのであった。






「そこまで言うのであればほとんどの家臣たちを許してあげても構わないかな。けれども主犯ともいえる真田幸隆、そして前田家元の二名だけは殺さなばならないがな」






これを聞いた諏訪姫は二人ともとても優秀なのでどうかと言ってきたのでここで俺は諏訪姫に対して意地悪い表情で






「ならば諏訪姫、お前の本意を当ててやろう・・・前田家元を助けてください・・だろ。本当に助けたいのは家臣たちではない。ただお前が好きになった男だけを助けたいのであろう。この俺が気がつかないと思っていたのか」






そう言うと諏訪姫はこちらに対して驚きながらも睨んできたのでおいおい、浮気をして悪いのはどちらかなと言いながらこちらは笑っていた。実に愉快、だからお前の好きな人は残念ながら処刑は免れませんと言って笑いながら立ち去ろうとしてきたときに諏訪姫はこちらに対して明らかに殺意を出してきていた。






すると背後から声を出しながら隠し持っていた小太刀を出して俺に襲い掛かってきたが女子の攻撃など簡単に避けられるとの思いで避け、すぐに捕まえて床に押し倒した。






「本当に悪女だな、お前は。誰も助けてくれない状況から助けてあげて、ましてや側室などとゆう良い身分にもしてあげたのにその恩がこれか。獣である犬でも恩を感じて行動をするとゆうのにお前はい獣以下だな」






「うるさい、人の心など持っていないお前には言われたくない。お前など鬼だ、人の姿をしている只の鬼だ」






そうか、そう見えるか。まあ、確かに鬼だからそこは否定はするつもりはない好きに言うがいい。何を言ってもお前は愛する者を救えない、明るい未来など来ると思うなよ。






さてと押し倒して小太刀も奪ったことだしそろそろ始めると致しますかと思いながら俺は諏訪姫に対して






「さてと本音を言うとな、お前を助けたのも絶望をしているあの状況で襲ってもあんまり楽しみがない。だから一度は希望を与えてその上でまた絶望に落とした時にはどんな顔になるのかなと思っていたが想像以上にいい顔になっているではないか。さあ、俺を楽しませてくれよ」






そう言うと諏訪姫は泣きながら悲鳴を上げたが周りに誰もいないので助けなど来ないぞと思いながら襲おうとしたその時に急に先ほどまで元気であった身体が信じられないぐらいに調子が悪くなった。






何だ急にと思いながら一度、諏訪姫を襲うのはやめて立ち上がった。何がどうなっているのだと思い、この状態では女を襲える気分ではなくなっていたので諏訪姫に対してとりあえず後日にまた襲うからと言って俺は屋敷に戻ることにした。






それから気分は悪くなり続けて何が原因だと思っていた時に内部からあるものの声が聞こえてきた。






(これ以上は好きにされてたまるかーー、真里谷信政として家臣たちの命を守ってやる)






あの来世の俺が封じていたはずなのに無理やり破って出てこようとしていた。これには俺も誉めえてやるところだがふざけるなよと思いながらまた封じようとしたがそれ以上に大きく逆に俺を封じてきたのである。






この酒吞童子がそう簡単にいくら俺の来世だと言ってもできるものかと思っていたが来世の俺は






(家臣たちを幸せにするのもまた主としての義務でありそれを邪魔をするのは前世の自分でも許すわけにはいかないーー)






想像以上の信念の強さで俺が封じられていく、くそ、来世の俺を甘く見すぎていたと思いながら俺の意識は失っていた。












苦しいけど何とか戻ってこれた、自分が酒吞童子に乗ってられ一年近く、経過をしようとしていた。何とか戻ってこれたがあの様子ではすぐに封印は解けてまた酒吞童子に人格を乗っ取られる。だからその前にも家臣たちを助けなければならない。






これが自分が家臣たちにできる最後の行動になることだろう、真田幸隆さん・・・そして前田家元、必ず救い出すから待ってください。






そうして何とか人格を取り戻している間にも二人を助けるべくすぐに行動に移し始めたのであった。残された時間はあんまりない、これは時間との勝負だと思いながら自分は恭雲院、諏訪姫を自分の屋敷に来るように命令を部下に命じて自分はすぐに二人が捕まっている牢獄に向かって走り出すのだった。






頼む、自分よ。家臣たちを救えるだけの時間だけ持ってくれ。そう多くは望まないからそれまでは何とか酒吞童子の意思を封じていてくれ。まさか、このようなことになるなんてと思うがまあ、前世の悪行のせいだと言われたらもうしょうがないと諦めるしかないがな。






だけど良く、前世が悪党なのにこんな人格の人物が出来たことやらだけどそれは酒吞童子に封じられてからでも考えられることだ。今は家臣たちを救って国外に逃がしてあげることだけを考えていればいいと自分に言い聞かせて全力で走り出しているのだった。

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