第41話、自分とは・・・
いろいろと時間はかかったけど無事に都に到着することに成功したのだった。そこで都で自分の屋敷みたいな場所と言うか朝廷から買い取った場所の屋敷に向かっていた。前の世界よりも資金は余裕があり宿を借りるということはしなくてすんでいた。
屋敷に到着してみるとそこでは数日間の間を泊めてくれないかと言って自分の屋敷の前で門番と話している中年ぐらいの男性がいたので声をかけてみた。
「そこの浪人殿、いかがいたしましたか。ここは某の屋敷であるがもしよろしければ中で話でもしましょうか」
「本当ですか、実は泊まる場所がなくて困っているのです。数日だけでも良いですから泊めていただけないでしょうか」
そうでしたか、浪人だから良いかな。それにいろんな情報を聞けるかもしれないからとの思いで承諾して中に入れさせたのであった。
そうして浪人は感謝を言ってから自己紹介を始めたのである。
「聞いて頂いて本当にありがとうございます。わしは山本五郎左衛門と申します」
「山本五郎左衛門殿ですね、自分は真里谷信政と言います。あんまりよいものはないかもしれませんがゆっくりとしてください」
そうもしながら自分は浪人である、山本五郎左衛門と話をしていたがどうやらかなりの知識があるみたいで兵法にも通じていたので仕えてみませんかと聞いてみたが今は浪人でゆっくりとしたいのでと言われて断られてしまった。
こればかりはしょうがない、無理にお願いはできないからな。それといろんな神話なども詳しくていろいろと話してくれた。正直に言ってこれが一番うれしいかなと思っていた。
これでまた謎が解けるかもしれないと思いながら聞いていると山本五郎左衛門が自分に対して余程好きなのですなと言ってきたので自分はそれもあるかもしれないけど一応、ほかにも理由があるんだよなと思いながら返事をした。
しばらく話をして当分は食客としていることになった、実力もかなりあることだし用心棒をしてくれたら嬉しいかなと思いながら京の都に到着をしてから公家に仲介をしてもらってから朝廷に来ていた。
前の世界みたいに官位で過ちを犯さないために今度は上総介の位をお願いをした。これはかなりの資金を献上をしているのですんなりと承諾をしてもらった。これで役目も終えたことだし国に帰ってこの後のことを考えようと思いながら屋敷に戻ってきていた。
用事も済ませたことだから国に帰ろうとしたときに山本五郎左衛門が自分に対して伝えてきたのである。
「そうだ、ここのところ物の怪が出てくると聞く注意をするがいい。特に信政殿は注意がいるだろう。天から落ちてきた子供であれば余計に物の怪たちから命を狙われるだろうからな」
そんな怖いことを言わないでください、それに物の怪ぐらいは大丈夫ですから前の世界では神々に命を狙われていたので思いながら心配しなくても自分はそこそこ強いですからと言って屋敷を後にしたのだった。
その後、立ち去った屋敷で山本五郎左衛門は一人考え事をしていた。やはり追いかけたほうが良いだろうな。あの様子では自分が何者か理解をしていないだろう。
今は神々の多くが死んだ以上は物の怪たちが行動を起こすだろう、そうなれば真っ先に攻撃をされるのは信政なのに神々の子でありそれに物の怪としても有名なあの者をほかの物の怪たちが名をあげようとして襲ってくるだろう。
そうなれば最悪の場合は死ぬことになるだろう、恩を貰った以上は返すまでは死んでは困るからな。そう思いで山本五郎左衛門は持っていた刀を抜いて己の武器を見ていた。
そのころ信政は帰りに信濃の諏訪大社でやりたいことができたので向かって歩いていた。やりたいことは諏訪姫が生きていたら国までお持ち帰りをするつもりだった。何を考えているのかと言われたら今は言えないが自分なりに面白いことをしたいと思っている。
それは今のところ置いといて実は美濃の国の岩山城の付近に来ているがこの辺では化け物が良く出てくるらしく周りの村の者たちは怯えていたのである。もちろん地元にいる武士たちが討伐に向かったが全滅をしたらしい。
これを聞いて周りの豪族たちは一斉に岩山城付近を奪えるチャンスだと思って攻めたが、豪族はすべて全滅をしたらしい。そのためにこの岩山城付近は物の怪の住処として言われている。
この岩山城は本当に堅城でとても重要な城なのにここに留まれない何かがいるのかと思いながら歩いていた。だからこの辺で泊まれる場所がないので一気に抜けようとしていたが山が多いこの辺で抜けるのは難しく自分は山の上に立ってある建物がある場所に一休みをすることにした。
建物には山賊や盗賊がいても良いのに誰もいる気配はなく静かであった。本当に物の怪がいるのかと思いで周りを見ていた。誰もいない小鳥の泣き声も聞こえない場所でただ風の音のみで不気味さを増していた。
ここで物の怪が出て来ても可笑しくない場所だなと思っていた。でも出来ることであれば見たくはないなと思いで櫓の中に入り休むことにしたのであった。そして自分がこれまで獲得した情報の整理をしていた。
真田幸隆さんの仮説では自分は八咫烏の子供の可能性があるということ、そして桃花さんのとても恥ずかしい話も聞いたけど実はこの話はある話に非常に似ていることが山本五郎左衛門さんからの話で分かった。
それは八岐大蛇と須佐之男命の対決の時の話に非常に似ていた。そう、桃花さんの話では毎年のように女性と百合をしていたと伝えられている。そして八岐大蛇も毎年のように人身御供をした女性を食べていたと伝えられている。
桃花さんと八岐大蛇は何を食べているのかは違いはあるが食べていることには違いない。そしてお酒の話も桃花さんは女性を酔えるか試しに飲んで八岐大蛇もお酒を飲んでいた。理由は違うが結果的には一緒だ。
そして桃花さんの話に出てくる旅人はこれは須佐之男命のことを言っていたのではないかと考えている。そうなると桃花さんは八岐大蛇なのか、そうなるとあの時に現れた大蛇はやはり八岐大蛇であり桃花さんが自分を救ってくれたのか。
けれどどうして自分を救ったのであろうかと思っていたがここである自分なりの仮説を立てたのである。それは自分の本当の親は八咫烏と八岐大蛇ではないかと言う仮説を。
鳥の神様、八咫烏に蛇の神様としても伝えられている八岐大蛇が夫婦でありそれで生まれて親から離れた子供がいると言われていた。それがもしかして自分なのではないかと思い始めた。
そうなれば八岐大蛇の自分の味方にいた理由が納得がいく、それは我が子を守るために行動をしていただけで島津将希さんも同様、子供にこうなってほしくないから叱っていたと思えば納得はできる。
更に怪しいのは自分を初対面から男性とわかったことだ、ほとんどの人が自分を女性と思っているのに少なくてもこの二名は最初から男性として知っていた。最初は神様だからと思っていたけど親だからともいえる。
でもこれはまだ証拠が少ないから確信とは言えない、しかしもしこれが本当であれば実は神々がどうして自分に攻撃的だったのかは理由がつくのである。
それはそのはずだ、もしこの仮説が正しければ自分は人間ではない。少なくても人の形はしているが・・・八岐大蛇には有名な子供がいるのだがその子供が・・・鬼の総大将、酒吞童子だから。もし本当に自分が八岐大蛇の子供で酒吞童子だったら、神々たちは被害が出る前に倒そうとしていたとも考えられる。
だから神々は焦って天下統一を目指していたかもしれない、自分が支配される前に日ノ本を統一したかった。今ではそう考えられる、そうなると自分に大きな疑問が出てきたのである。
それは自分は悪なのか、自分は生まれてくるべき存在ではなかったのかと思いながら廃城となった櫓の中でそう考えているのだった。
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