第36話、信政・・・状況が理解できない

死んだらどうなるのであろうかと思いながら怪物に飲み込まれた、自分は意識が取り戻したらどうなるのだろうか。






・・・待て、なんで意識があるのだと思いで勢いよく、飛び起きた。そこは自分の屋敷でありどうなっている自分はこの国にいれば殺されるはずなのにと思って近くにある刀を手に取り警戒をしていた。






幸いなことに夜中であり逃げるのは最高な時間だと思いで準備をしていた。しかし、こちらの動き出したせいでバレてしまったのか。こちらに近づいてくる足音が聞こえた、自分はすぐに刀に手をかけて待ち構えていた。






この扉に入ってきたらすぐに倒せるようにして待ち構えていると外から中に入ってもよろしいですかと男性の声が聞こえた。自分は余りにも驚きでびっくりとしていた、男性が優しい態度で驚いたのではない。






この声の主は覚えているがそれはもう死んだはずだと思いで頭の中が混乱していたら扉が開いて姿を現したのは数年前で亡くなったはずの真田幸隆であり自分を何かあったのですかと言って見つめていた。






見ていた自分は嘘だろう、だって真田幸隆さんはもう佐竹家に謀られて殺されたはず。目の前にいるはずがないと思っていたがそうか、これは死後の世界なのかと考え直した。






ならば真田幸隆さんと出会うのは分かる、それにしてもこんな主を死んでもなお慕ってくれているのかそれは本当にうれしい限りだと思いで自分は真田幸隆に声をかけた。






「幸隆さん、自分は結局ダメだったよ。いくら頑張っても家臣たちを統率できずに更に一族からは裏切られて最後は化け物に丸呑みをされてしまったよ」






そう笑いながら言うと真田幸隆さんは何を言っているのですかと言われた。自分は家督を継いでおらずそして明日、妻を迎える儀式をやるのではないですかと言っていた。






それを聞いた自分はうん?と思いで首を傾げた。どうなっているの、自分はすでに諏訪姫と吉乃を迎えたことは真田幸隆さんが知っているはずだと思いでそう言うと






「殿、いくら結婚が嫌で夢でそう出会いがあったから中止とは言わせませんぞ。嫡男である以上は結婚は大切なことです」






全然話が分からない、でももしかして自分は走馬灯と言うものであろうか。死ぬ前にこんな現実みたいなことが起きるとは本当にびっくりだなと思いで分かったと言って真田幸隆さんは自分は隣の部屋で戻って寝ますからと言ってその場から立ち去った。






その後自分は扉を開けて綺麗な満月の月を見ていた、月の光で自分の状態も理解できていた。体が15歳ほどに戻っておりそれに体だけではない、世界も戻っていた。そう自分が死んだのは1549年であり今は1542年、すなわち7年前に戻っていた。






何がどうなっているのか、自分は混乱をしていたがこれは走馬灯、明日には諏訪姫と出会うことになるだろう。そう思いで眠りについたのであった。






翌朝には死んでしまった真田幸隆さんを始め世話になった者たちに最終的に裏切ることになる父上、家臣たちなどが集まって神社の儀式を見守っていた。






今ではもう出来れば見たくないと思っていた、あの一件があってからは諏訪姫とは関係は悪く、もし記憶がなくても会いたくはない。最初は結婚がしたくないと思いでこの儀式に参加していたが今は諏訪姫と出会いたくないと思いで参加していた。






自分はどんな顔で彼女と接していけば良いのかと思いで待っていたがここで自分の記憶にないことが起きたのである。今までは記憶通りだったのに儀式が終えても神社から彼女が現れることがなかったのであった。






なんでだここで彼女は現れて自分の正室になるはずだ、現れなかったのはそれはそれで良いけどこれが走馬灯であれば諏訪姫が現れなければならない以上は走馬灯ではない。






ならば桃花さんに教えてもらったことがある数少ないこの出来事に当てはまるものがあるのであった。それは邯鄲の夢と言う出来事。確か、桃花さんの話では趙と言う国の出来事である少年が見たことだと言われている。






内容は夢の中で人生を過ごした、栄光もあれば失脚もあり本当の人生のようであったらしい。しかし、亡くなってみると若いころの体に戻っており夢だったのかと言う言い伝え。






そんなことがあるのかと思っていたが実際に受けてみると信じるしかないなと思っていた。けれども夢の内容と少し似ているところもあり不安もあった。本当に父上の子供ではないのではないかとか佐竹家がこれから巨大になるとか。






いろんな不安があったが誰もその答えを聞いてくれる者はいなかった。話しても笑われるだけだ、そう思いで誰にも話すことはしなかった。けれどもせめて真田幸隆さんには信じて欲しいと思いで儀式が終えて帰っていく最中に自分は幸隆さんに今の幸隆さんには知らないことを伝えた。






「そうだ、幸隆さん。実は夢で予知をしてくれる人に出会っただけどその人がね、来年で幸隆さんの次男が生れるらしいと言っていたよ。ほかにも言っていたけどね」






それを聞いた幸隆さんはそれはそれは嬉しい話ですなと答えていた。顔の表情から見ても分かるが信用していない感じだったがこれはしょうがない、自分もそう言われても信じられないと思うからそれにこの状況もすべてが信じられるかと言われたらそうとも言えないから。






けれどもこうして進んでいる以上はまた頑張ろうと思えた、前に比べて知識も増えて内政も教えてもらった。また神々と戦うかもしれないがその時はまた頑張れば良い、こうして戻ってきたのか、それとも今が邯鄲の夢かもしれないけど夢でも良いからもう一度やり直したい。






今度は前よりも上手く、そして民にそして家臣に慕われる主になって見せる。そう決めた自分はその夜に満月に向かって決意をしたのだった。






必ず、前よりも上手くなって勢力を拡大して民に家臣に信用されて後世に恥じないような武将になって見せると思いながら拳を月に重ねた。するとどこから優しい声が聞こえたのである。






「頑張ってくださいね、信政さん。私は応援をしていますから」






それは最後の最後まで味方でいてくれた桃花さんの声であった。自分はどこにいるのですか桃花さんと声をかけても返事が返ってくることはなかった。それに桃花さんが本当の人物なのかも怪しいところだ。






自分が勝手に作り出した想像かもしれない、けれどもきっと自分が今まで出会った女性で一番魅力的だったのは間違いはなかった。せめてお礼を言いたかった、知識を教えてくれたことに自分の味方になっていてくれたことを。






でももし本当に実在しているのであれば自分は彼女の期待を裏切らないように努力をして行こうと改めて決意をしたのであった。まずは里見家を来年で前では倒せたが今回はもっと被害を少なく倒して見せる。






そうなれば国力は自然と上がるはず、そして家臣たちの話も聞いて。日々努力をしよう、今日よりも明日、明日よりも明後日と思いで自分の乱世はまた始まった。






これが誠かそれとも邯鄲の夢なのかはそれは知る由もなかったがただ懸命に頑張ろうと生きる意志が出ただけは間違いなかったのであった。

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