第32話、島津将希と言う八咫烏

自分はもうどうにもできるわけがなくただ八咫烏の言う通りにするかしなかった。幸いなことにまだ自分に対して何もお願いをしてきていないからそこだけが救いであった。






そして最近はよく側室の吉乃のところに向かって密かに打ち明けていた、すると彼女は大丈夫です。どんな状況になっても私はあなたの味方でいますからと答えてくれた。






嬉しい気持であったが神々が何かしてくると思うと素直に喜べなかった。本当ならば嬉しいと思うはずなのにと思いながら過ごしているある日に外に出て気分転換でもしようと思いで外に出ていた。






民たちの暮らしだけでも穏やかだけでも守っていくべきだなと思っていると子供たちが一つのところに集まっていたので何事かと思いでその場所に向かってみるとそこでは紙芝居をしている島津将希がいたのである。






あいつ、何をしているのと思いながら見ていた。けれども普通に紙芝居をしているだけで特に変わったことはしていなかった。その後は見ていた子供たちにお菓子なども配っていたけどそんなお金はどこから出しているのだと思いながら見ているとこちらに気がついて子供たちに今日は解散と言って解散してからこちらに向かってきた。






「これは信政殿、いかがいたしましたか。俺は別に子供たちに紙芝居をしていただけですよ、怪しいことなどしておりませんが」






「別にそこは気にしてはいないがそんなお金はどこから出てきたのだ。お菓子などは高いだろうに」






「それですか、商いをして稼ぎました。こう見えて人間だったときは商人みたいな職業だったのでそれを元にして稼ぎました」






ちょっと待って今物凄いことを話さなかったか、もともとは人間だったのか。だから人間社会に溶け込めるのかと思っていた。なんでお前みたいなやつが神様になったのか、そのわけを知りたいと思っていると






「ならば俺の家に来ますか、そのわけを教えてあげますよ。もちろん知ったら殺すとかはしないですから安心してください」






本当に人の心を読むなと思いながらも島津将希の家に向かうことにしたのであった。そこは家こそはそこそこ大きいが誰もいなく使用人とはどうしていると聞くと島津は






「それはお金がもったいないから一人ですべてやっております。そうすれば使いたいことに回せますし・・・今から何か出しますので待っていてください」






そう言って自分は待っていた、自分は島津将希をそれなりの高禄で雇っているのに家は立派であるが内装は殺風景であり、必要最低限しか置かれていなかった。本当にどんなことでお金を使っているのかと思っていた。






その時に戻ってきてお茶などを準備して持ってきてくれた、また和菓子も出してそこは礼儀正しいなと思っていたら島津が俺は何だと思っているつもりだと返してきた。






「国を乗っ取ろうとしている人物・・・いや、神だと思っているが・・・違うか」






「なるほどそう見えるか、はっはっはっはっは。別に俺はお前の国など興味はない、俺は俺なりの考えのもとで動いているだけだ。信政殿が言う通りにしていれば何もするつもりはない。ほかの神みたいに無茶な要求もするつもりもない、ただお願いをする時だけ聞いてくれれば俺は満足だからさ」






そんなことを言っても信用できるかどうか、それにこの神の目的も分からない以上は信用に値するとは思えないと考えている時に島津将希が






「なるほどな、それは一理あるな。何を思っている奴を信用できないのは当然やな、ならば軽く過去の話でもしようか。少しは信用されると思うからさ」






そうして島津将希は己の過去を話し始めた、その内容は人間だったころから始まり生まれはとても貧しい家で生まれて満足で食事を食べられない毎日が続いていた。下手にすれば一日何も食べられないと言う日もあったらしい。






それも平成の世の中でそのような体験をしたのだ。自分は信じられないと思っていたがその時に話している島津将希の顔は真剣そのものであり嘘ではないということが何となく伝わってきていた。






何とか大人になり生活ができ始めたと思っていた矢先に交通事故で亡くなったらしい。その後にこことは違う平行世界であるが天照大御神から神様になるための学園に入学しないかと招待状を貰ってそこに島津将希は入学をしたらしい。






自分はそもそも神様って習うものなの、学園とかあるの。自分は不思議な物だなと思いながら入学した島津将希は入学時はなんと落ちこぼれ扱いをされていたらしい。






どうやらほかの者たちよりも素質が少なく劣っていたらしいがその分、修行などの努力で補って頑張っていた。いろんな先生たちに教えてもらい神になろうと決意を固めていた。どうしてそもそも島津将希は神様になりたいと思ったのか。






ほかの者たちよりも才能があることを示すために己の利益のために、もしくは名声のためにと目的は何であろうと思っていたら






「それはな、己の夢のためと言うべきところかな。この前に信政殿を脅した理由にもなっていますね。ついでにどんな夢だと思いますか」






そう聞いてきたのでなんだ、己の宗教を作るためにか。もしくは裏から世界を操るためにかと思っていたら






「そんな大きなことではないですよ、ただ困っている者たち。何より罪もない子供たちを助けてあげたいと理由だけですよ。自分はこれを救って当たり前の生活が当たり前に迎えられる秩序を作りたいと思っているだけですよ」






なるほどだから諏訪姫の子供をかばっていたのか、それで今日も子供たちに対して紙芝居などしていた理由もこれで何となく理解をしたがどうしてそのようなことが夢なのであろうかと思っていた。






すると話してくれた、それは島津将希が長い生きてきた中で一番の恩人が子供には何も罪はないと考えの持ち主でそれを受け継ぐ形で行動をしていると言うのだ。そうか、それを言って行動ができる人がいたのだなと関心をしていた。






そして遺志を引き継いだ島津将希はいろんな世界を渡り助けを求めている場所に向かいそして助けては秩序を作り、安定したらまた別の世界を救いに行くと言う作業をもうすでに数百以上はしてきたと言うのだ。






そうなのかと思いながら聞いていた、この世界は乱れているから来る事態は可笑しくはないがどうして自分のところに来たのだと思っていると






「それは里見家の対応を見て子供や一族など約束通りに保護をして占領をした土地で略奪などしていなくこの者であればと思ってここに来たわけだ。ほかのところは子供でも容赦なく殺すところばかりだったからな」






なるほどそれで自分が目をつけられたわけか、それで聞きたいことがあったので聞いてみることにした。それはなんで諏訪姫をあの前田家元の場所に送ってあげなかったのかと聞くとそれはほかの神だ、俺ではないから分からないが・・・不幸であったなとしか言えないと返答をした。






そうかその辺は少し納得できないがこの者に対して少しは理解をしたような気がした。要は子供や民に対して優しく接してほしいとお願いをしているのかと思っていると






「流石、信政殿。正解ですー、それさえ守ってくれたらこちらも聞いてくれた義理としてあなたたちを守ってあげますから。こう見えて結構修行をしているので強いですよ、俺は・・・それにしても本当に怒ったあなたが子供を殺すとしたときにば焦りましたよ。必死で止めるほどですよ」






まあ、そんな考えの持ち主ならば焦るだろうな。流石に恨みがある子供までは生かしておきたくはなかったがみんなから反対されてはしょうがないと思っていた。ついでに家臣たちに洗脳とかしているのかと聞くと






「それは使えるけど使ったら俺の恩人が怨霊として出て来て祟り殺されるからしない。洗脳と言うより周りにいろいろとお願いを聞いてあげてそのお礼としてもし俺が何か頼んでいた時には賛同してくださいと頭を下げたことぐらいですよ」






そうか、それで少しは納得した。それで自分に何をしてほしいのか言葉を出して教えて欲しいと言うと島津将希は頭を下げて






「それは民に優しく治めて、まだ何もわからない子供の命を助けてほしいのです。それ以上のお願いは何もありません。孤児となった子供は俺が育てますからどうか聞いて頂きたいのです」






なんでかな、神様なのに誰の子も分からない。どんな子供が来るのか分からないのにどうして頭を下げることができるのであろうか。自分には理解をできなかったがでもわかることはこの島津将希はこの信念を曲げることは絶対にしないということだ。






自分は分かったと答えると島津将希はありがとうございますと言ってお礼を言ってきていた。お前は神様だろうと言うと己の頼みを聞いてくれるのに神など人間など関係はないですと言っていた。






本当にこの人物は自分の信じている正義を貫きたいだけなのだなと思っていた。そのためならばどんなこともするしどんな努力も惜しまない人物。扱いずらいかもしれないけど使いこなせばこれ以上もない戦力に・・・






「なることを保証をしますよ、信政殿。この八咫烏をどうか使ってください」






だから勝手に人の考えを読むな、癖は強いが信用は一応、出来るかなと思えた。それならば内政に文句は言わないだろうなと思っていた。それで近いうちに大規模な治水をしようと思っていたけど安心してできると思っていた時に






「その考えを見てお願いが出来ました、その大規模な治水作業を俺も手伝って良いですか。そうれなば多くの食料など生産できて飢えに苦しむものが減ります。それにいろんな世界を渡っただけにあっていろんな知識を持っていますから」






何となくそうするだろうなと思っていたから良いよと言うと喜びながら言葉を出していた。






「やったぜ、ならば全力で作業をしてやる、人間の時にしていた労働時間、21時間であっという間にやって見せますよ。民たちが喜ぶ顔が今からでも浮かびますよ」






後分かったことはこの八咫烏、島津将希は人間の時にびっくりするぐらいの社畜だったということかなと思いながら見ているのであった。

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