第28話、反撃戦、開始

運命よ、自分は今、自らの手で切り開いて見せると思いで敵軍に突撃をした、そして味方に大声で






「狙うのは佐竹義昭と前田家元の首、只二つのみ。それ以外は価値はなし、ただその二つを狙えーー」






そうして自分の後に続いて足軽たちや家臣たちも突撃をしていた、そしてこの突撃が余りにも予想外で敵本隊は大混乱を起こしていた。良し、今ならば統率もろくに出来ないはずだ、今しかない。今、殺さないと一生、この二人の首は取れない。






そう確信した自分は捨て身の覚悟で突撃をして敵軍を崩していた、それは決死の戦いであり真里谷軍は傷を負っても退くことはせずにただ前進をしていた。今、逃げ出せば確実に死ぬから生きるには敵総大将の首を上げる必要があるから、生きるためにも足軽たちや家臣たちは前進をしていた。






そして人間がその気になった時には普段の数倍以上の力が発揮されて、その上で敵方は命を捨てる覚悟を持っていないでここまで来ていたので、この真里谷軍の気迫に押されて逃げ出す兵士たちが現れ始めた。






一人、そしてまた一人と逃げ出して軍勢が完全に崩れ始めていた。自分はここまでで体力がかなり無くなったが今しかないという思いで、自分を奮い立たせてさらに攻勢を強めて敵陣深くまで斬りこんだ。






そしてついにに自分は神輿みたいな物を発見した。それは身分が高い大名家の者しか乗ることができない物であり、そこに敵の総大将、佐竹義昭が自分の視線の先にいたのである。それを理解した自分は






「敵総大将は目の前にいるぞ、あいつを討ち取り名乗りを上げたいものは前に出ろ」






そう言うと一斉に突撃をして神輿の周りに集まり攻防戦を繰り広げていた。そしてとうとう神輿から出て逃走を始めた佐竹義昭を見つけて自分は追撃をした。もうどこまで逃げても追いかけてやると思いで追撃をした。






「逃げるな、佐竹義昭。我こそは真里谷信政なり、大将同士で決着をつけようではないか」






そうして言っても逃げていたがとうとう逃げ場を無くして諦めたのか、自分に向かって斬りこんできた。よし、勝負が怖くなって自害をしなかったことだけは褒めてやると思いながら自分も反撃をした。






だが、ここで今までこの時のために修行などをしていた自分と普段から女性とお酒のことばかりを考えていた者とここで決定的に差を出したのである。






そう、自分は向こうから何も攻撃を受ける前に敵総大将、佐竹義昭の首を刎ねった、その後にすぐにみんなに伝わるように大声で






「敵総大将、佐竹義昭。この真里谷信政、自ら討ち取ったり!」






それを聞くと家臣たちから歓喜の声が上がった、そう総大将同士の戦いでこちらの大将が勝ったのであるから当たり前であるが。そして負けた佐竹側はとうとう逃げ出すものが多く軍隊としての機能はもはや死んでいた。






そこに家臣たちに追撃をするぞと命令を出して攻勢に転じていた。後方にいる味方にも敵が退却を始めたら追撃をするようにと命令書を残しているので一斉に追撃戦に入った。






こちらは屈辱を晴らせると意気込みで士気が異様に高くなり追撃戦はもはや戦いではなかったがそれはこれまで佐竹家がしてきたことを考えたのであれば無理もないことだ。






何よりまだ前田家元が見つかっていないのでその者の捜索もあった、ここであいつを逃がせばまた佐竹家は勢力を回復してしまうだろう。それに諏訪姫はあの前田家元に捕まっていると聞いている。






彼女がどこにいるかを知らなければ助けられないと考えて前田家元の確保を急いだ。その時に前田家元らしきものが常陸の国に向かって逃げ出していること、もし常陸の国まで逃げられたのであればかなり厄介だ。






常陸の国はなかなか治安は良くて攻めるには少し不安があるのでここは確実に彼女がどこにいるのかを教えてくれるだけでもとそう思いながら前田家元が逃げて常陸の国に向かっていることは明白したのでそれを阻止をするために進軍をしていた。






そのころ、前田家元はどうしてこうなってしまったのだと思いながら逃げていた、普通であれば勝てる戦であり負けるはずがない、それにこちらには神々の味方がいるのである、余計にどうして負けたのかと思っていた。






けれども常陸の国まで逃げてそこで軍備を整えたら勝ち目は出てくるはずだと思っていた。その時に背後からものすごい勢いで迫ってきている真里谷信政を発見してここで戦ったら危ないと感じて逃げることにした。






もし戦って負けたらどうなるかはわかり切っているからそのようなことはできる限りはと言うか阻止をしなければならない。幸いなことに味方は多いいから何とかなるかもしれない。






そう考えたらここで犬死をするわけにはいかずに常陸の国に逃げ込めば勝利問うことに一応できると考えた前田家元は足を速めて更に突き放して逃げ出そうとしていた。






もちろん視界から見えていた真里谷信政は絶対に逃がしてたまるかと思いながら追撃をしていた。また大切な家族と言うべき者たちに会うためにもここで逃がすわけにはいかない自分であった。


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