第26話、反撃の狼煙

それからまた一年と言う月日が流れて今まで大人しくしていたので佐竹の当主、佐竹義昭がもしかして臆病風に吹かれたかと自分に対してそう噂していた。






それならば本国の常陸の国に接している最後の勢力、真里谷家を滅ぼす好機なのではないかと思い始めた。もう周りには対抗できる勢力はおらず、北条家も粘ったがとうとう降伏して噂の娘をこちらに渡すことと伊豆の国以外の領土はすべて没収してもう勢力を弱体化させた。






そして噂通りに北条氏康の娘は美して大満足であるがそれと同時に真里谷信政の側室である吉乃も大変美人ではないかと噂を聞いた。それはぜひとも欲しいと思っていた。






ならばすぐにでも攻めよう、幸いなことに相手は臆病風に吹かれた大名であり負けることはないだろうと思っていた。それに前田家元も一緒に同行させるので勝利は間違になしと思っていた。






それにこちらには神々もついている、負ける要因が見つからない。そう考えた佐竹義昭は四万の大軍で上総の国に向けて出陣をした。その中に前田家元も存在していた、前田家元もこの戦は本当に退屈なものになるだろうと思っていた。






今まで普通の人ならば激怒をして攻めてきてもおかしくはないのに一向にその動きを見せない、こちらが怖くて何もできていない以上、本当に戦術と内政しかできない男なのであろう。






そう思いながら吉乃がどれだけの美人なのかも気になっていた、諏訪姫は本当に美しいがそれに負けないぐらいに美しいと言われている吉乃、会ってみたいものだなと思いながら佐竹義昭共に南下を始めていた。






神々たちもこれで佐竹家の天下は決まったと喜んでいた、その中でただミシャグジ様は約束を破られて攻められている現実を見て悔しくて拳が震えていた。これが今の神々の行為なのかと強く失望をしていた。






出雲大社から様子を見ていた天照も勝利を確信をしていた、これでようやくと思っていた。ならばここはすぐにでも戦いを終わらすためにも我々も動こうではないかと言った瞬間に下級神が天照に対して






「申し上げます、この出雲大社に約千体の物の怪たちと人間たちが攻めてきました」






それを聞いた時に天照はどこの者ですかとそのものに聞くとその下級神はあれは異なる世界で裏社会で勢力を持っている蝮組が攻めてきましたと話した。






それを聞いた天照はあのヤクザという分際でこの神々に牙をむいてくるか。天照がそう怒りを出してすぐにでも殲滅をしようとしたがほかの神々は思っている以上に深刻な顔をしていた。






数こそは多くはないが敵は精鋭の中の精鋭であり物の怪たちも名前が残るぐらいの猛者揃いでありわかるだけでも姦姦蛇螺、八尺様、鬼女、雪女などとんでもないものが揃っておりそしてその組長である人物はと神が思っていた時に






「どうも、訪問販売に来ました、島袋雅也と言います。本日は喧嘩を売りに来ました、是非とも買ってください」






天照は上等だと言った瞬間にその男、島袋雅也は笑顔でお買い上げありがとうございますと言うとお前らお買い上げのお客様の相手になるぞ、野郎どもーと声を上げると背後から先ほど言ってきた化け物たちが現れて島袋雅也率いる蝮組と天照側の神々連合軍は出雲大社の地で戦いが起きたのであった。






その戦いの最中に蝮組の組長である、島袋雅也がミシャグジ様に迫ってきて周りにばれない程度の声で






「君がミシャグジちゃんだろ、今のうちにここから離れて常陸の国に向かえ、今ならば諏訪姫ちゃんを奪還ができるで。ここはわしたちに任せてくれ、君は君の大切な者の場所に向かえや。ここはわしらの商い場所やお前は対象外だからさっさと行った」






それを聞いたミシャグジはありがとうございますと言ってその場から抜け出そうとしていた。しかしそれを天照に見られてしまった。裏切り者を殺せと言って一斉に手が空いている神々がミシャグジを攻撃しようとしたときに






「ド阿保、お前らはわしの獲物やーーー」






そう言ってミシャグジに攻撃しようとした神々が島袋雅也の攻撃で一斉に吹き飛ばされた。そして島袋雅也はとても楽しそうに笑っていた、それを見た天照は激怒の表情を隠さずにこの腐れヤクザがーーと叫んだと言って自ら戦場に出てきたのである。それを見て島袋雅也は






「そうや、そうこなあかん・・・だからな、引きこもり女神ちゃん・・・がっかりさせんなや!」






好機と見たミシャグジはすぐにその場から抜け出して諏訪姫がいるだろう常陸の国に向かって行くのであった。






そのころ真里谷家ではとうとう佐竹家の大軍が迫ってくると言う情報が入り緊張が走っていた。その中でも真里谷信政は大人しくしてただ待っていた。佐竹家の大軍だけならば勝ち目はあるがもし神々の参入があれば勝てる見込みはないと考えていた時に食客である島津将希が






「信政殿、安心してください。実はこの島津将希は意外に人脈がありまして古い親友に神々の足止めをお願いしました。なので神々の参入は難しいと思います、なんせ危険な物の怪揃いなので」






聞いた自分はそれは本当ならばこれ以上にもない心強い情報だがそれは本当か、万が一本当だとしてもこの男にそんな人脈があるのかと驚いていた。けれども神々が来る気配もないことだからこれは勝てる、今までの恨みや仇が討てると考えた。






自分は家臣たちにいつでも動ける準備だけしてくれと言って家臣たちは本当に大丈夫なのかと言っていた。そして食客の島津将希に敵の本陣や敵の動きを調べてもらっても良いですかと聞くと島津将希はなるほどと言ってすぐに行動を移した。






そうして自分はいつでも支度をできるようにしながら休みをしていた、吉乃は横でこの度は勝てそうですかと聞いてきた。自分は五千の精鋭がいれば勝てると見込んでいた。残りは相手が逃げ出した時に追撃をして攻撃する者たち。






相手は完全に油断をしている、自分が城から出てこない者ばかりと思っている。これを待っていた、敵総大将、そしてその右腕が自分の領国まで迫ってくるこの瞬間をあの屈辱な敗北をした三年前から待っていた。






そして何もせずに無能だと臆病風に吹かれたなど噂を流してそれを信じ込ませた。ならば本国である常陸の国に勢力が接しているので絶対に取り除きたいと考えるはず。






そして吉乃には少し悪いが餌になってもらって大変美しい姫がいると噂を流した、実際に大変に美しいから嘘ではないからね。佐竹家当主はもちろんのことその重臣たちも大変な女好きだと聞いている。






その二つさえあれば必ず攻めてくる、そして自分は大人しくするだろうと思っているから油断は必ずしている。そこをついて一気に今までの恨みを晴らしてやる、真田幸隆、滝川一益そしてどこにいるのかもわからない諏訪姫、お前たちの仇は必ず討ってやる。






家臣には飽きられて他国からは正室を奪われたのに取り返せない臆病者だと言われ続けたがその努力がついに実るぞ。






そして待ちに待っていた報告が遂に島津将希から届いたのであった。






「信政殿、敵は油断をしており我が領国に入ると敵の足軽たちが略奪を開始しましたので軍隊として機能はしておりません。逆に機能をしている部隊は僅か・・・そこにおそらく敵の本隊がいると思います」






民たちには悪いが少し頑張ってもらうことにしていた。無論、終われば助けるつもりだが今はあともう少しだけ我慢をしてくれと思いながら自分は興奮をしている自分を落ち着かせるために舞をしてみるかと思いで吉乃に小道具を持たせてお願いをしたのであった。






舞をするのはあの乱世の英雄が愛したあの場所を舞った。






人間五十年、


下天の内をくらぶれば、


夢幻の如くなり、


一度生を享け、滅せぬものもあるべきか






そうして舞を終えるとすぐに出来てあったご飯を食べてから夜中だが出陣をした、人数はもちろん一人だと思っていた。島津将希にはほかの者に伝えるようにお願いをしたので誰もないと思っていたら






「殿、この太田康資を甘く見ないでほしいです。殿ならばこの状況では野戦をすると信じて待っておりました。場所はどこに向かいますか」






最初の家臣だけにあって流石だなと思いながら自分はいつもお参りをしている神社に向かうぞと言って神社に向かうのだった。そして一人、また一人と増えて神社に向かって走り出していた。

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