第25話、真田幸隆一族のその後

とうとう真田幸隆さんはいなくなってしまったなと思いながら作業をしていた。みんな、真田幸隆がいなくなって混乱と裏切り者と呼んでいたが自分は真田幸隆の気持ちが分かるので何も言わないで作業をしていた。






今は裏切り者とか叫ぶ暇があれば内政をして国を豊かにして国を強くしないとと思って作業をしていた。ほかの者たちもしょうがないと思い始めたある日に一人の浪人が自分と会いたいと言って城まで来ていたので自分は何であろうかと思っていた。






けれどももしかしたら敵の刺客かもしれないと考えているとその浪人がこの子の一族に関してのことを話したいのだお願いできるかと言ってきたので誰かなと思っているとその浪人の横には小さな男の子がいた。






それも知っている子だと思い見てみると間違いない、*徳次郎君じゃないかと自分は驚いていた。すると真田幸隆さんに何か起きたのかと思いで自分は許可を出して城の中に入れた。




*徳次郎、真田幸隆の次男で後の真田昌輝






自分はどうしたのと優しく徳次郎君に声をかけてあげると徳次郎君は泣きだしたのである。自分はどうしようと思いながら大丈夫だからとかご飯でも食べるとか言ってみたがずっと泣いていた。






本当にどうしたのかと思いで何とかしようと思っていたら何か起きたのかと心配になって吉乃がここまで来てくれた。すると吉乃は徳次郎を抱きしめて大丈夫だったと言うと吉乃に寄り添うようにしながら泣いていた。






自分は吉乃に徳次郎を頼むと言うとその浪人と誰もない場所で話をしたいとお願いをして誰もない場所に案内をしてから話し合いを始めた。






「この度はどのような話ですかな、それと出来れば徳次郎がどうしてあなたと一緒にいたのかも話してほしいのですが」






そう言うと浪人は話を始めたのである、それはあの子の一族、すなわち真田幸隆さんを始めあの子以外の家族はすべて殺されたと言ってきた。ありえない、だってここを抜けたらすぐに佐竹家の領国だ。






これから召し抱える家臣を見殺しなどするはずがないと思っていると浪人はその佐竹家の手の者によって殺されたと言ってきた。元々佐竹家は最初から真田幸隆を含めて受け入れるつもりはなく。






上手く領国に呼ばせて殺すつもりだったらしいのである。それが見事に成功して殺している現場にこの浪人が助太刀をしたが助かったのは徳次郎のみで他は死んでしまった。






最後に男にどうか上総の主までこの子を連れて行ってくださいと苦しいはずなのにそうお願いをされたためにこの浪人はここまで連れてきたらしい。






了解をしたら男はありがとうございますと言ってそのまま息を引き取った。それで浪人はこの子をここまで守りながら連れてきたということであった。






自分は真田幸隆さんたちが亡くなったと余りにも急な話で信じられないと言いたいがあの徳次郎の泣き方はこの話を聞いて納得をするところもあった。けれどもついこの前まで話していたあの幸隆さんがと思っていたら自然と涙が流れていた。






いつかは別れは来る、けれどもこんな別れなんて残酷すぎる。奥さんもこんな幼い子供を残して死んでしまった悔しさなど自分では分からないぐらいに大きいものであろうに。そして佐竹家に対する怒りが高くなり必死に手を握って堪えていた。






怒りを抑えるために強く握りすぎて己の手から血が流れていた。けれどもそんなことも気にしないぐらいに怒りで痛みなど忘れていた。すると浪人がこれからはどうするつもりですかと聞いてきたので自分はすぐに






「今すぐにでも復讐はしたいけれども佐竹家は強大であり一人で戦いをすれば負ける。ここは状況を待ち行動をする。そして佐竹一族は根絶やしにしてやる。最後に幸隆の孤児である徳次郎を一人前まで育てる。これが自分が幸隆に出来るせめての手向けだ」






そう言うとそれが良いですと浪人が言っていた、その後は浪人がしばらくはここで養ってもらっても構わないかと聞いてきていた。浪人はどうやら食客になりたいみたいでこの国のことが気に入ったみたいで頼んできた。






自分は徳次郎を助けてくれた恩人でもあるために受け入れた、そして名前を聞いていなかったことに思い出して自分が聞いてみると






「俺は島津将希と申します、それではいざと言う時は俺を使ってください。必ずやお役に立てると思いますので」






聞いた自分は分かりました、いざと言う時は頼みますねとお願いをしたのであった。それにしてもこの男はなんか今までにないぐらいに異様な気配を感じていた。






何なんだこの男は、これまでにないぐらいに感じたこともない気配で自分は少し警戒をしながらこの浪人を食客に迎え入れたのであった。






そして徳次郎を子飼い武将として育てていくことをみんなに話した、最初は裏切り者の子供などそのままにしておけばいいと意見が出てきたが自分がここで






「そうだ、みんなに話しておくことがあった。真田幸隆の出奔は自分が認めたことだ。決して裏切りではない、ただ幸隆は故郷に帰りたかっただけであり、こちら側の時に手柄を持って投降すれば良かったのにしてこなかった。彼を攻めることはやめてくれ、そして孤児である徳次郎は自分が一人前に育てるから安心してくれ」






それでも反対するものが出ていたがこの時に横に護衛としていた島津将希が威圧を出して反対者の者を脅していたがそれがこちらまで伝わってきてマジで怖いですけど。






絶対にやばい人物だと思いながら感じていた、無論なことにそれを受けた者たちは反対をやめて黙り込んだ。そうして正式に徳次郎は自分の手で育てていくことになった。






大切な家臣の孤児、そしていろいろと教えてくれた恩人の孤児を後世に恥ずかしくないような功績をあげて真田の名前も残してあげたいと思うのであった。






そう心に決めた自分は神社にお参りに向かっていた。それにミシャグジ様にも状況を報告しないとと思いで向かって来ていた。しかし、一向に姿を現すことがなくどうしたのであろうかと思いで神社の中に入っても良いかと神主の許可を頂いてから入ってみると一つの手紙が残されていた。






もしかしてミシャグジ様が書いて手紙であろうかと思いで開けて読み始めたのである。






上総の龍、真里谷信政へ




お主にはとても悪いことをしてしまって申し訳ない、けれど諏訪姫を助けるにはこれしかなかったのである。真田幸隆の場所を教えたのも童がしたのだ、真田幸隆の暗殺に協力してこちらに寝返りをすれば諏訪姫の命は保証をしてやると天照にそう言われたのだ。




童は考えた末に天照に従って真田幸隆の暗殺を手助けをした。だからもうお主とは会えない、そして諏訪姫も諦めて欲しい。お主ではもう届くところにはいない、そしてお願いをしたい。




どんなことをされても佐竹家とこれ以上の戦いをしないでほしい、代わりに童が天照に頭を下げて上総、安房の国をお主の統治として認めてもらえるようにするからお願いしたい。




これが童がお主にできる最後のお返しかしら・・・・もう、会うことはないだろう。せめて吉乃とうまく行くように心から祈っている。信政よ、いろいろと短い時間であったが楽しかったぞ。




そして信政が幸せになることを祈っている。




                  裏切りをした愚かな柱、ミシャグジより






そのような手紙が残されていた、手紙には悔しさと悲しさが文字から見ても伝わってきていた。ミシャグジ様は結構自由な神様で我儘な一面があるなと思っていたのに本当はここまで優しい神様だったのかと呼んでいた。






確かに真田幸隆の暗殺は許せるものではない。けれども元々は自分が弱いせいでミシャグジ様はこうするしかなかったのだ。一番悪いのは自分だ、だから自分は真田幸隆の暗殺に関わってもミシャグジ様を恨むことはできなかった。






そして身近に自分たちを守ってくれる柱はいなくなってしまったと感じながらもなぜ佐竹家に天照が味方をするのか。なぜ、天はあのような無道な奴を手助けをするのか。






自分は悔しさのあまりに空に向かって叫ぶのであった。それは負け犬の遠吠えと言うべき行動であったが悔しさでそんなことは忘れてただ今は空に自分の想いを伝えるのだった。

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