第23話、あの時の川越では・・・
時は少しさかのぼって真里谷軍を追い出した後の北条家で会議を開いていた。それは本当に向こうはこちらのことを助けに来ただけで敵意はなかったのではないかと話していた。
そうなると貴重な味方を失ってしまったことになると北条氏康はそう考えていた、今回で戦に負けると武蔵の国は一度放棄をするしかなくなるのでそれはしたくはなかった。
関東地方の中心と言える国から勢力が無くなるのは北条氏康は阻止をしたかった。控えめに言っても相模の国、伊豆の国は豊と言える場所ではないところでありそれに比べて武蔵の国を統一するだけでも大きな勢力になる。
その攻略するための拠点を失いたくはないと思っていた。けれども佐竹家に大切な娘を渡したくはなかった。佐竹家の関するうわさで女性に関するうわさで良いものは聞いたことないどころかむしろ悪い噂しか耳にしないのでそんな場所に大切な娘を嫁がせたくはないとそのような思いもあった。
落ち着いたら真剣に娘の嫁ぎ先を考えなければならない、もし真里谷信政に正室がいなかったのであれば娘を上げたのにと思っていた。性格も悪くなく評判も良いその上に能力もあるので良いのかなと思っていたが違う武家の娘を娶ってしまったために思い止まっていた。
しかも正室に対する信頼は大きく背後を任せるほどの仲であり仲が悪くなることはないだろう、そうならば娘がそこには入れる場所はないと考えてやめていた。
実は娘はかなり真里谷信政のことが気になっているのである。幼いころに出会って遊んでくれたこともあるが実は娘は城下町に出た時に偶然にも真里谷信政と出会ったみたいでその姿を見て見惚れてしまったらしい。
それを聞いた時はまさかと思っていたがその後に京の都で真里谷信政が来た話を聞いて嘘ではなかったのだなと思っていたぐらいだ。帰りもこちらからくると思っていた娘は待っていたが残念ながら違う方向から戻ってきたみたいでとてもがっかりとしていた。
一人の父親としては娘には好きな人と末永くしてほしいがこの時代ではそれは無理だろう。だからと思っていた。娘にはとても悪いがこれはしょうがないことだと言い聞かせるしかなかった。
その話を聞いていた娘の反応は今でも覚えている、今まであれほど悲しい顔をしたことが初めてぐらいに落ち込んでいた。そして未だに娘と和解をしていない。
それで良いと思っていた、それでまた元気になってくれるのであればと思っていた時に氏康の耳に信じられない報告が届いたのである。それは関東管領家が佐竹側に着いたと言う報告を聞いた。
その直後に関東管領家が襲い掛かってきたのである、氏康はすぐに応戦を始めたが急な攻撃で多くの死亡者を出していた。これに怒りを覚えたのが北条綱成は攻勢に出たのである。
その時にまるでそれを待っていたかのように横から佐竹家が襲い掛かってきたのである。それも北条家のみではなく関東管領家も襲っていた。
急なことで足軽たちはみんなが混乱を起こしていたのでこのままで戦っても負けて想像以上の被害を出すだけと考えた氏康は悔しいがこの地を捨てて退却することに決めた。
ほかの者たちも悔しがっていたがもうそれしかないと思いで氏康に賛成して逃走を始めた、殿は北条綱成が引き受けての退却が始まり氏康たちはその後、相模の国に何とか生き延びることに成功したが殿を受けた北条綱成は討ち死にしたらしい。
それを聞いた時に氏康は涙を流しながら綱成の死を無駄にするなと言って相模の国の防御を強めていた。本当ならば今すぐにでも佐竹家に反撃をしたいけれどもこちらにその力はなく今はただ耐えるのみであった。
そう、命を懸けて稼いでくれた綱成のためにもと氏康はそう決意をしていた。
一方、川越城に残っていた関東管領家はひどい有様でった、主は討ち死にしてそして有力な家臣たちもすべてが討ち死にしてしまっていた。そして佐竹家の川越方面で指揮をしていたのはあの前田家元でありそれらの顔を確かめていた。
すると家元がここであることに気がつくのであった、それは北条綱成の首は偽物、つまりは本物ではない。
しかし、どれだけ探しても本物は見つかることはなくこちらもこのまま死んだことにしたほうが良いかと考えてそのまま討ち死にしたと宣伝をした。
その後に探索をして見つかったのは一人の武者が傷を負っていた跡とその付近に烏の羽としては余りにも大きい羽が落ちており家元はこれは何であろうかと思いながら見ていた。
何か別の勢力が介入をしたのかと思っていたがそれでもこちらには天照大御神がついているのである。負けるはずがないと思い気にしないでいた。そしてこれで関東管領家も倒したことで北条家に止めを刺したかったがその間に守りを固められてすぐに落とせるような状態ではなかった。
これを見た家元は矛先を信濃に変更してまずは村上氏から討伐に向かうかということになり上野国から信濃に侵攻して村上氏を滅ぼしたのであった。
けれども確実に佐竹家に対して立ち向かおうとする老将が今、越前の国から出てこようとしていた。それが何をもたらすのかは誰も知る由もなかった。
そして烏みたいな大きな黒い羽が生えている人物も今、佐竹家の勢いを止めるべく動き出していた。
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